Adobe AIR Gallery を使いやすくリニューアル
注目のアプリ「今日のナカツリ VIEWER」
Adobe AIR アプリケーションのポータルサイト「Adobe AIR Gallery」がリニューアルしました。アプリケーション制作者自身が登録できるフォーム、ソート機能の強化、カテゴリリストの設置、ユーザ自身が行うレーティング(評価)機能の実装など、ユーザが探しやすく、選びやすくなるように改善しています。この記事では、新しくなった Adobe AIR Gallery の使い方を説明します。また、新着作品の中から、注目のアプリとして「今日のナカツリ VIEWER」を紹介します。AIR をサービスプラットフォームとして活用し、新しいビジネスチャンスを開拓している興味深い事例です。そのビジネスモデルの詳細について、開発したアップフロンティア株式会社の花本浩さんに伺いました。
Adobe AIR Gallery を探しやすく、選びやすく
「Adobe AIR 1.1」は今年6月のリリースに伴い、正式に日本語環境にも対応しました。それ以来、日本発の AIR アプリケーションが続々と登場してきており、今後もますます増えていくでしょう。今どんな AIR アプリがあるのか知りたいという人も多いのではないでしょうか。一方で AIR アプリ制作者としては、どうやってみなさんに知ってもらうかが悩みどころです。そういう時にこそ活用していただきたいのが、Adobe AIR Gallery です。9月16日、より「探しやすく」「選びやすく」するためにリニューアルし、すでに 40 以上の AIR アプリケーションが登録されています。
それでは、新しくなった Adobe AIR Gallery の使い方を説明しましょう。図1のように、登録された各 AIR アプリケーションの情報は、サムネイル/アプリケーション名/アプリケーションの概要/制作者名などといったシンプルな内容で構成されています。アプリケーション名をクリックすると、制作者が用意した AIR アプリケーション配布ページへとアクセスするようになっています。そして、以下のように「ソート機能」「カテゴリリスト」「レーティング機能」「検索機能」を用意することで、探しやすく選びやすくなるようにしています。

図1 新しくなった Adobe AIR Gallery と各機能
【ソート機能】
3つのソート基準が用意されています。「新着順」は登録された日付を基準にしたソート。「人気順」はレーティング結果を基準にしたソート。「閲覧順」は閲覧数(アプリケーション名のクリック数)を基準にしたソート。
【カテゴリリスト】
14のカテゴリが用意されていて、カテゴリ項目を選ぶと、該当AIRアプリケーションだけが表示されます。カテゴリ選択時は、そのカテゴリ内のAIRアプリケーションだけを対象としてソートすることができます。
【レーティング機能】
ユーザ自身が行う5段階評価。☆部分にマウスオーバーして、評価☆数のところでクリックすると登録されます。
【検索機能】
Adobe AIR Gallery 内の情報だけを対象としたキーワード検索を行うことができます。また、Adobe AIR Gallery 専用の RSS フィードを配信しているので、RSS リーダーなどで随時新着情報をチェックしてください。
AIR アプリ制作者のみなさん、サイトには登録フォームを用意しています。ぜひ、登録して、みなさんの AIR アプリケーションをアピールする場として活用してください。
今日のナカツリ VIEWER:AIR をサービスプラットフォームとして活用
この記事を読んでいる多くの人が、「AIR = デスクトップアプリケーション用ランタイム/API」という認識をされていると思います。確かにそうです。Adobe AIR Gallery を見ると、便利なツール、楽しいツール、既存のオンラインサービスを補完するツールなど、実にさまざまな用途の AIR アプリケーションが並んでいます。しかし、AIR の可能性はデスクトップアプリケーションだけにとどまりません。それを実感させてくれるのが、電車の中吊り広告を表示する「今日のナカツリ VIEWER」です。AIR をサービスプラットフォームとして活用し、直接的な収益をあげるビジネスモデルとして確立された興味深い事例です。その詳細について、開発したアップフロンティア株式会社の花本浩さんに伺いましょう。
Edge:「今日のナカツリ VIEWER」の機能について教えてください。
花本:「今日のナカツリ VIEWER」は、デスクトップ上で、電車の中吊り広告を雑誌の発売日に見ることができるウィジェットです。機能を考える上で、中吊り広告をいかに自然に見てもらえるかにフォーカスしました。ウィジェットには、標準サイズとフルスクリーンモードがあり、中吊り広告が自動で配信されるようになっています。ユーザは、ボタンをクリックしたり、スライドショーモードを使ったりして、広告を閲覧します。気になる広告があれば、ボタンをクリックして、その雑誌のページにアクセスしたり、Amazon などのオンライン書店で購入したりすることができます。
図2 「今日のナカツリ VIEWER」のインターフェイス
標準サイズでは、画面上の好きなところに広告を配置でき、マウスオーバーするとUIボタンが表示されます。なお、中吊り広告の未読/既読の判別を行い、未読のものだけが表示されるようになっています。また、中吊り広告に連動したお知らせがある場合は、吹き出しで表示されます。
Edge:Adobe AIR をデスクトップアプリケーション用のプラットフォームというよりは、広告メディア用プラットフォームという視点で捉えていると感じました。こうしたアイデアは AIR の性能・環境がきっかけで生まれたものでしょうか? それとも、もともとアイデアはあり、その実現手段として模索していたところにAIRが合致したのでしょうか?
花本:ウィジェットをサービスプラットフォームとして利用するというアイデアは何年も前から抱いていたのですが、実現のための環境がなかったところに Adobe AIR が登場しました。従来のアプリケーション開発環境では、自由度は高いものの、時間、コスト、複数のOSへの対応、更新性の低さといった点で、気軽にサービスを始められる状況にはありませんでした。でも、AIR だとクロス OS プラットフォームで開発し、シームレスなインストールが可能で、さらに一度配布しても手軽にバージョンアップ版をリリースできるというメリットがあります。ウィジェット導入時の障壁が低く、バージョンアップ時の更新性も高い。コンテンツ配信を行なうサービスプラットフォームとして、AIR は Web サイトに勝るとも劣らない素晴らしい環境です。実際、「今日のナカツリ VIEWER」の開発は、仕様が決まってから1ヵ月程度でリリースできましたし、ユーザのニーズに応じて随時バージョンアップしています。
Edge:登場してまだ間もないこともあり、みなさん AIR を利用したビジネスモデルを模索している状況だと思います。そうした中で、「今日のナカツリ VIEWER」は直接的な収益をあげるビジネスモデルとして確立されており、非常に興味深いです。どのような収益モデルとなっているのでしょうか?
花本:現在の収益モデルとしては、中吊り広告の出稿にともない媒体費をいただくというメディアのモデルとなります。また、単なる広告枠という側面だけでなく、利用者のデスクトップ上で販売促進を行なえるソリューションを提供することもできるので、ソリューションとしての収益化も目指しています。その際には、動画の連動やガジェット広告とよばれるインタラクティブ性の高いフォーマットの導入も検討したいと考えています。
Edge:現時点で非常に多くの出版社の中吊り広告が掲載されています。サービスリリース当初は無料掲載だったとはいえ、前例がないだけに各出版社への説明や交渉で苦労されたのではないでしょうか?
花本:実際、無料掲載だからといって、中吊り広告の原稿を簡単に借りることはできませんでした。原稿を提供するとなると、出版社側は手間もかかりますし、もちろん契約を含め社内での確認作業も必要です。また、版権問題をクリアする必要があります。企画の段階では利用者も想定でしかないので、その点でも説得力を持ちえませんでした。ですから、企画書単体では独り歩きしないように、モックを真っ先に制作し、担当者や編集長のデスクトップ上でデモを行なうようにしました。そうすることで、「これって便利だね」の一言を引き出すことができ、関係者の方々を企画の協力者として巻込むよう努力しました。ウィジェットの場合、多くの方に自己体験が少ないので、「動くものを見せる」ということが大事なステップだと実感しました。

図3 「今日のナカツリ」に出稿している中吊り広告の一覧
一般誌、女性誌、ファッション誌、ライフスタイル誌など、様々なジャンルの雑誌が並び、30誌以上の中吊り広告を見ることができます。
Edge:これまでにない目的や機能を持つアプリケーションなだけに、操作性や閲覧仕様についてかなり試行錯誤されたのではないでしょうか?
花本:試行錯誤するほどの時間がなかったのですが、まずはできるだけシンプルにして、後から足したり引いたりすることができるものを制作しました。その上で、ユーザからのリクエストをできるだけ受け入れやすくし、リクエストを基本にバージョンアップするようにしています。そうして追加した機能が、この9月のバージョンアップ時に加わったスライドショーモードです。Web サイトではページを自動送りしないのが当然です。なので、最初のリリース時には、デスクトップ上の中吊り広告もユーザが手動で送るようにすることで十分だと思っていました。でも、それは間違いだったというわけです。ウィジェットを開発する場合は、利用者の使い方にできるだけ寄り添うのが基本です。提供するサービスの利用シーンを限定し過ぎず、利用方法の自由設定やカスタマイズ性などの余地をできるだけ取った方が長く利用されるサービスとなります。ゆるく作って、徐々に良くしていくのが王道でしょうか(笑)。
Edge:「今日のナカツリ VIEWER」に関する開発やサービス展開について、今後の予定を教えてください。
花本:機能面では、表示する中吊り広告の選択機能や表示サイズの選択肢を増やすなど、細かな使い勝手部分のブラッシュアップを予定しています。また、中吊り広告を見て終わりでなく、雑誌の立ち読みのようなサービスの提供も考えています。先程もお話しした動画やインタラクティブ性のあるコンテンツ提供スタイルも、タイミングをみながら提供していきたいと思っています。サービス面では現在のデスクトップ上でのウィジェット、ブログパーツだけでなく、iPhone アプリでの提供、携帯用ウィジェットでの提供を予定しています。そうすることで、「今日のナカツリ VIEWER」を、いつでもどこでも楽しめるサービスに少しでも近づけていきたいと考えています。
アップフロンティア株式会社
代表取締役社長
2000年に米国Promotions.com Inc.の国内での事業展開の PM として、Webstakes.com の日本語版「ちゃっかリーナしっかリーノ」をはじめとしたメディア事業の起上げに携わる。その後、株式会社プロモーションズに籍を移し COO として活動。2005年には、アップフロンティア株式会社を設立し、「ウィジェット」を軸にした新たな事業展開を行なっている。
