しょこたんとファンを繋ぐ新しいカタチ
「しょこたん AIR」

“しょこたん”の愛称でお馴染みの中川翔子さんは、「しょこたん☆ぶろぐ」や「しょこ♥らんど」など、積極的にインターネットを活用し、ファンとのコミュニケーションを行っています。そして、9月1日、新たなコミュニケーションツールとして、デスクトップアクセサリー「しょこたん AIR」が公開されました。しょこたん AIR は、Web ブラウザ/動画プレーヤー/カレンダーといったマルチな機能を持っており、そこにしょこたんの各 Web サイトや運営側から、各種情報がプッシュ配信されるようになっています。いわば、「しょこたんから情報が送られてくる」のです。それでは、しょこたん AIR の機能や仕組みについて、開発を手掛けた株式会社ティーケーラボの小坂武史さんに解説していただきましょう。

しょこたんのすべての活動を教えてくれる

しょこたん AIR では、以下のようにメインウインドウから Web ブラウザ/動画プレーヤー/スケジューラーといった機能を利用して、送られてくるしょこたんの最新情報を楽しめるようになっています。

しょこたんAIR
図1  しょこたんAIRが持つ主な機能

メイン画面

更新頻度が高いことで有名な「しょこたん☆ぶろぐ」。その最新記事の画像が表示されます。画像をクリックすると、しょこたん AIR ブラウザが起動して、該当ページへアクセスします。

新着情報

運営側から、しょこたんの最新活動情報やオリジナル映像が配信された場合に表示されます。「閲覧する」をクリックすると、ブラウザや動画プレーヤーが起動します。

しょこたん AIR ブラウザ

レンダリングエンジンとして Webkit を使い、しょこたんワールドに合わせてデザインしたオリジナル Web ブラウザです。メインウインドウの「Blog」「Net」「Land」ボタンをクリックすると、それぞれ「しょこたん☆ぶろぐ」「しょこたん☆ねっと」「しょこ♥らんど」にアクセスします。

しょこたん AIR プレーヤー

プロモーションビデオやしょこたん AIR オリジナル映像など、FLV 形式で配信されている映像を見ることができます。

カレンダー

運営側から情報が送られてきた日付はオレンジ色になり、日付をクリックするとその情報内容が表示されます。また、このカレンダーにはメモ機能が付いており、ユーザも自由に書き込むことができます。

 

しょこたん AIR は上記の機能を搭載しており、運営側は「新作 CD の案内」「イベント情報」といった情報を、テキスト形式だけでなく、画像/映像/PDF などのマルチメディアを組み合わせてプッシュ配信することができるようになっています。また、各種サイトで特別ページを設けて、その URL を送り、該当ページへ案内することもできます。

このようなプッシュ配信は、Adobe AIR とオープンソースの BlazeDS を使って実現しています。図2は、その概念図です。

しょこたんAIRの仕組み
図2 しょこたんAIRの仕組み

しょこたん AIR のプッシュ配信について補足説明をしておきます。Adobe AIR と Adobe LiveCycle Data Services(LCDS) を使えば、リアルタイムでのプッシュ配信が可能です。しかし、しょこたん AIR のように大規模なユーザ数が見込まれるサービスの場合、リアルタイムでマルチメディアをプッシュ配信するには相当な規模のサーバ体制が必要となります。そこで、しょこたん AIR では、運用面を考えて、LCDS のリモーティング機能など一部の機能をオープンソース化した BlazeDS を活用することにしました。BlazeDS を使い、リアルタイムに配信するのではなく、あらかじめユーザのローカルのデータベース (SQLite) にスケジュールデータなどを配信しておき、そのスケジュールデータに沿って、ユーザに動的アクションやサウンドでお知らせするようにしています。

しょこたん AIR の元となった PLUSLU Media

しょこたん AIR は、弊社のリッチデスクトップアプリケーション「PLUSLU Media」をベースに開発しています。PLUSLU Media は、もともとあるプロジェクトがきっかけで生まれました。そのプロジェクトのクライアントからは、以下のリクエストがありました。

相反する、なかなか実現するのが難しいリクエストです。試行錯誤している時に出会ったのが、AIR+LCDS でした。AIR のリッチインターフェイスと、LCDS のプッシュ配信機能を組み合わせることで、クライアントのリクエストに応えることができたのです。

このプロジェクトを通して確立したノウハウを他にも活かせないか。今の Web サイトやサービスの多くは、ユーザからアクションを起こさなければ情報を得ることができないプル型です。情報発信側としては、ユーザに「見てほしいタイミング」でお知らせをしたいものです。ただ、情報発信側としてのメリットを押しつけるのではなく、ユーザ側にとってもほしい情報を「良いタイミング」で得ることができ、しかもリッチなインターフェイスで便利に活用できるサービスを「プラス」したい。そういうコンセプトのもとに、PLUSLU Media を開発しました。そして、しょこたん AIR へと繋がったのです。

PLUSLU Media サイト
図3 PLUSLU Mediaはポータルサイトから入手可能

当初は、PLUSLU Media を広告モデルとして検討していましたが、「Adobe AIR Developers Night」での発表後、企業からイントラシステムとしてのニーズを多くいただき、想定外の利用シーンやニーズを知りました。今では広告モデルとしての「PLUSLU Media」と、企業向けの「PLUSLU Business」との2つのサービスに分けて展開しています。

BlazeDS/LCDS 活用のポイント

しょこたん AIR や PLUSLU Media を実現する上で、BlazeDS/LCDS は非常に大きな役割を果たしています。その BlazeDS/LCDS のメリットを挙げておきましょう。

しょこたん AIR や PLUSLU Media では、BlazeDS/LCDS のリモーティング機能を利用しています。リモーティング機能とは、AIR/Flex と J2EE アプリ間の通信をオブジェクトでやりとりできるようにする仕組みです。ベースプロトコルとして HTTP または RTMP(BlazeDS は未対応)を用い、その上でオブジェクトを AMF フォーマットに変換して通信を行っています。リモーティング機能を使えば、簡単な設定ファイルにより、AIR/Flex アプリのオブジェクトと J2EE アプリのオブジェクトの対応付けを共通の Bean として利用できるようになります。

AIR/Flex アプリと J2EE アプリ間の通信を行うにあたって、通常の HTTP POST や REST などを使う場合は、事前に電文のフォーマットの取り決めが必要になりますが、BlazeDS/LCDS のリモーティング機能を用いることにより、Bean をそのまま引き渡すことが可能になります。

また、AMF はバイナリで通信するため REST などと比べて通信量が軽くなるほか、バイナリのデータや複雑な電文の扱いが容易になります。電文が複雑になった場合のリクエスト/レスポンスの解析では、オブジェクトをそのまま扱えるため、平文から配列部分のパースを行うといった開発コストを軽減させることができます。

なお、しょこたん AIR のサービスインに際して BlazeDS を採用した大きなポイントは、オープンソースであるという点です。オープンソースなので、テストマーケティングとしてコストを抑えたい場合や、早期にサービスを提供したい場合などに利用することができます。さらに、サービス開始後、ユーザ増加に伴い、システムを拡張したい、信頼性を高めたい、リアルタイム性を追求したい(BlazeDS は RTMP に未対応)などのリクエストに応じて、LCDS に移行できるところもポイントです。

今後の展開

AIR にはアプリケーションの自動バージョンアップ機能があり、それを使ってどんどんサービスや機能を拡張することができます。しょこたん AIR の場合、今後、朝には「おはよう。朝だお」、昼には「お昼だお」、3時には「おやつだお」というしょこたんの音声メッセージ機能など、いくつかの機能を追加していく予定です。また、しょこたん AIR をはじめ、多くのコミュニティサイトやファンクラブなどに「楽しくて、便利なツール」として提供できるよう準備をしております。

その他にも、PLUSLU Media を広告モデルとして展開できるよう、PLUSLU をプラットフォームとする ADNetwork 構築も考えています。また、アドビの「Open Screen Project」にも賛同しており、将来的にはあらゆるデバイスでの展開を目標にしています。ちなみに、現在、携帯電話との連携やマルチメディアキオスク端末対応のプロジェクトを進めています。

BlazeDS とは

これまで、LiveCycle Data Services ES としてのみ提供されていたアドビ製のサーバサイドリモーティング&メッセージングテクノロジーを、LGPL v3 に基づいたオープンソースソフトウェアとして提供しているのが BlazeDS です。オープンソース化により、リモーティングとメッセージングを使った、開発効率の高い、高速、リアルタイムな RIA 開発を、より多くのデベロッパーの方々に手軽にご利用いただけるようになりました。

LiveCycle Data Services ES と BlazeDS についてはこちらをご参照ください。

 


株式会社ティーケーラボロゴ株式会社ティーケーラボ
代表取締役 小坂武史

日本初商用インターネットプロバイダ、デジタル系デザイン会社を経て、2002年に会社設立。「ひとにやさしいデジタル」の創造をコンセプトに、ユーザビリティ、ユーザインターフェイス、マルチプラットフォームにこだわり、プロジェクトを展開している。AIR に関しては、2007年 Apollo プロジェクトの頃から関わっており、2008年6月より、新規事業として AIR サービス「PLUSLU Media/PLUSLU Business」を開始。