Adobe AIR Contest 2009
Grand Prix は「ブログパーツデスクトップ」

昨年に引き続き2回目となる「Adobe AIR Contest」。前回の2倍以上となる約160の作品の中から Grand Prix に選ばれたのは、ブログパーツをデスクトップウィジェットとして楽しめる「ブログパーツデスクトップ」です。他の受賞作品も非常にクオリティが高く、急遽特別賞が設けられるほどの接戦でした。本記事では、Grand Prix をはじめ各受賞作品を制作者のコメントとともに紹介します。いずれも楽しい役立つアプリです。ぜひ、みなさんのデスクトップで試してみてください!

コンテストの概要

今回は、2008年8月28日~2009年8月31日の期間に Adobe AIR Gallery に登録された160以上の作品を対象とし、5つの表彰カテゴリを設け、審査員の評価と Adobe AIR Gallery のユーザ評価(人気度・閲覧数)により審査を行いました。概要は以下の通りです。

対象作品 2008年8月28日~2009年8月31日の期間に Adobe AIR Gallery に登録されたアプリケーション
表彰カテゴリ
審査員 阿部淳也氏(株式会社ワンパク)
横田聡氏(クラスメソッド株式会社)
山本博士氏(genephics design, inc.)
林信行氏(フリーITジャーナリスト/コンサルタント)
受賞賞品 Grand Prix
Adobe Master Collection CS4/AIRヘリコプター/heteml 永久無料利用権※
その他
AdobeCS4 Premium/AIRヘリコプター/heteml 1年無料利用権※

heteml は、株式会社paperboy&co. が運営する air拡張子に対応したレンタルサーバです。

Adobe AIR Gallery
http://adobe-ria.jp/air/

それでは、各受賞作品を紹介していきます。

Grand Prix 「ブログパーツデスクトップ」

【アプリケーション名】
ブログパーツデスクトップ

ブログパーツデスクトップ

【制作者】
quq ロゴ

飯田建一 quq.jp

ブログパーツデスクトップ画面写真1画像をクリックして拡大表示

ブログパーツデスクトップ画面写真2画像をクリックして拡大表示

ブログパーツデスクトップ画面写真3画像をクリックして拡大表示

【アプリの概要】

「ブログ向けに作られた無料で公開されている多彩なブログパーツをデスクトップウィジェットとして楽しんじゃおう!」というのがこのアプリケーションの機能です。ブログパーツをデスクトップに取り付ける作業はとてもシンプルです。ブログパーツデスクトップを起動して「ウィジェットの登録」メニューを選び、ブログパーツ名の入力、あらかじめコピーしておいたブログパーツコードを貼り付け、そして一覧表示用のキャプチャを撮ったら登録完了です。

登録したブログパーツは、ウィジェットとして「ウィジェット管理」メニューに登録され、カバーフロー風のインターフェイスで一覧表示されます。この画面からデスクトップへの取り付け、取り外しが容易に行えます。また、登録したブログパーツコードはいつでも取り出す(コピーする)ことができるので、ブログパーツの管理にも便利です。

【開発時に努力した点】

このアプリケーションを作る上で大きく2つのシーケンスがありました。

  • ブログパーツの登録(コードの登録からデスクトップへの取り付け)
  • 登録したウィジェットの管理(一覧、デスクトップへの取り付け/取り外し、コードコピー)

これらを分かりやすくナビゲートできるようなユーザインターフェイスの設計に取り組みました。たくさんのブログパーツを登録することが想定されるので、一覧性の高いインターフェイスが必要と考えて、カバーフロー風のインターフェイスを採用しました。ブログパーツの管理のしやすさと、コレクション感を演出できたのではないかと思っています。

【使用ツール】

Adobe Flash CS4、Adobe Photoshop CS4、Adobe Illustrator CS4

<審査員のコメント>

人それぞれで違った楽しみ方ができるため、もっとも人に勧めやすい、それでいて一番うまくAdobe AIRの魅力を形にしている作品でした。ブログパーツをデスクトップに表示というだけなら、Mac OS X の「Web クリップ」という機能でもすでに実現していますが、そこをブログパーツのコレクションを 作るという楽しさを加えてうまく差別化しています。見た目や操作感もよく考えられています。(林信行)

とにかく誰にでも楽しめるアプリです。特にブログパーツをコレクションする時のワクワク感がとてもいい。楽しさの裏付けには、きちんと使う立場のことを考えたユーザインターフェイスと操作性の高さがあります。これは単なるネタアプリではないのだぁ。(山本博士)

使い方がユーザに委ねられているという視点が非常に面白いと思いました。ブログサービスによっては、オリジナルな JavaScript の埋め込みを禁止している関係で、ブログパーツを貼れないサービスがありますが、このアプリを使えばどんなブログパーツでも貼って集めることができるため、ユーザの使い方次第でとても楽しくなる可能性が秘められています。ブログパーツの企画や開発をしている方々のサポートツールとしても、とても役立ちます。(阿部淳也)

すでに世の中に多数ある Flash や JavaScript のブログパーツをそのまま活用することができるコンセプトが良かったです。登録する手順やナビゲーションも迷わずに先に進めることができました。ウィンドウを消す際の煙の演出や、プリントスクリーンでキャプチャした画面を貼り付けるテクニックなど、Adobe AIR の機能を活かした点も良かったです。(横田聡)

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業務アプリケーション賞 「Colabolo(コラボロ)」

【アプリケーション名】
colaboloアプリケーションアイコン

Colabolo

【制作者】
imaHimaロゴ

イマヒマ株式会社

【アプリの概要】

チームメンバーのタスクのアサインに手間取っていませんか? 社内のメール件数に圧倒されていませんか? Colabolo は、メールソフトのように使いやすい、チーム向けの画期的な課題管理ツールです。「課題を更新したら通知&リアルタイム同期」「課題の変更箇所をハイライト表示」「同一課題での複数更新も、通知は1件に集約」「メールから課題やコメントを自動作成」などの機能があり、不要なメールを一切送信することなく、課題の最新状況をチームメンバーで共有できます。また、外部のメールも送受信できるので、チームのメールクライアントとしても利用できます。 課題の種類は、業務フローに合わせてカスタマイズが可能です。プロジェクト全体の状況は、ダッシュボードやスケジュールを見れば一目で分かります。企業内のプロジェクトチーム、中・小企業、ベンチャー企業、バーチャル組織、営業案件管理、ヘルプデスクなど、さまざまな業務用途に利用できます。

【開発時に努力した点】

Adobe AIR のクロスプラットフォーム対応という点は素晴らしいのですが、ネイティブアプリと比べた場合、動作速度はまだまだです。そこをカバーするために、ユーザエクスペリエンスを向上させるように工夫しました。Colabolo は、世界中にユーザがいます。安定したサービスを提供するには、パフォーマンスを向上させる斬新な設計が必要と考え、Google App Engine のサーバを利用しています。また、チームメンバー同士の更新をリアルタイムに同期させるために、独自のプッシュサーバを開発しました。

【使用ツール】

Adobe Flex Builder、Adobe Photoshop CS4、Adobe Illustrator CS4

<審査員のコメント>

見た目の派手さはありませんが、業務アプリケーションに求められるシンプルさと操作の一貫性がありました。タスクを登録した後に文字列検索したり、表示にフィルタをかけたりする部分も簡単で使いやすく、データ件数が増えた際も目的の情報に早く辿り着けると思います。開発に Flex を使っていることにより、後々の機能追加などにも対応しやすく、ファイルアップロードにドラッグ&ドロップ機能を活用したり、情報の保存に SQLite を使ったりと、Adobe AIR の機能を多く活用しているところも選出のポイントとなりました。(横田聡)

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Colabolo画面写真1  Colabolo画面写真2  Colabolo画面写真3
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エンターテイメント賞 「PyroDirectory」

【アプリケーション名】
PyroDirectoryアイコン

PyroDirectory

【制作者】
小澤氏写真

小澤太一
(東京工芸大学 メディアアート表現学科)

【アプリの概要】

PyroDirectory は、「思い出に残るフォルダの捨て方」を実現するゴミ捨てアプリケーションです。思い入れのあるファイルの入ったフォルダを捨てる時、このアプリケーションを使ってください。そのフォルダの構造を模した花火をデスクトップいっぱいに打ち上げ、その後静かにゴミ箱に移動します。普通にゴミ箱に入れるには忍びないファイルやディレクトリ、最後に一花咲かせてから捨てましょう!

【開発時に努力した点】

「ただランダムに爆発しているように見えるが、実は管理されている」というバランスを取ることに苦心しました。例えば、階層が深いフォルダの場合は何段階にも爆発することになりますが、あまりデスクトップ外に出て行ってしまっては困るので、どのアイコンにどの飛散方向をどのように割り当てるのか管理しています。

【使用ツール】

Adobe Flash CS4、コピー用紙

<審査員のコメント>

見た瞬間に思わずクスッとしてしまいました。本来、ファイルを捨てる行為はネガティブな行為(不要だから捨てる)ですが、それをエンターテイメント化し、思わずファイルを捨てたくなる、もしくは捨てると楽しいと、ファイルを捨てる行為自体をポジティブにしてしまうという発想に感服しました。さらに、難しくなく誰でもできてわかりやすいというシンプルな点もエンターテイメント的な観点で非常に評価が高かったです。フォルダの階層が深い方が派手に打ち上がるというあたりも、いろいろと試したくなる気持ちをくすぐられました。(阿部淳也)

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PyroDirectory画面写真1  PyroDirectory画面写真2  PyroDirectory画面写真3
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ユーティリティ賞 「echo」

【アプリケーション名】
echoアイコン

echo

【制作者】
trustConvection

株式会社トラストコンベクション

【アプリの概要】

echo は、新しいコンセプトに基づいたチームワーク活動のためのタスク管理サービスです。echo のテーマは、チームや組織のメンバーが自発的な貢献心を養い、チームや組織に自律性を育てることです。チームワークでは、個々のメンバーが小分けされた様々な仕事を担当し、時にはお互い助け合い、一つのゴールに向かって進みます。echo では、仕事の一部をチームの誰かに依頼することが可能です。仲間に依頼する仕事の単位を「タスクセル」というボールで表現し、仲間に投げる。受け取った仲間は、また別の仲間に分割したタスクセルを投げるかもしれません。投げられたタスクセルは、仕事が終わると依頼者の元に投げ返されます。最終的に最初に作られた大きな仕事、最初のタスクセルが完了すれば、チームワークは完了です。

チームワークを円滑に進めるには状況把握が欠かせません。echoには「タスクセルツリー」と「プレイヤーネットワーク」という2つのモニター機能があり、サーモグラフィやレーダーチャートのように全体を俯瞰して進捗状況を確認できます。他にも感謝を伝えるポイント機能など、メンバーを意識したりサポートしたりするための機能が満載です。

【開発時に努力した点】

開発当初、ビジュアリゼーションとエフェクトはFlashで、ロジック部分はFlexでという役割分担で開発を進めていましたが、かえって切り分けと連携が複雑になってしまい、途中からFlex一本で実装をするという選択をしました。Flexでアニメーションをしたりエフェクトをつけたりするのが、できるのかどうか手探りの状態でしたが、作業していくうちに、案外簡単に実装できることがわかってきました。 難しかったのは、インタラクションに応じてロジックとエフェクトを複数連続して実行する部分で、Flexはコードが非同期に実行されるフレームワークであるため、処理の並びをわかりやすく記述できる仕組みを作るなどの工夫をしました。

【使用ツール】

Adobe Flex Builder 3

<審査員のコメント>

チーム」と「タスク」というキーワードをもとに、人と人との繋がりを重要視するというコンセプトに好印象が持てました。オペレーションは若干複雑な部分もありますが、良く作り込まれたユーザインターフェイスによってそれが相殺されています。アイデア、表現力ともにオリジナリティをとても感じました。(山本博士)

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echo画面写真1  echo画面写真2  echo画面写真3
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ソーシャルネットワーク賞 「ASKUL DESKTOP」

【アプリケーション名】
ASKUL DESKTOPアイコン

ASKUL DESKTOP

【制作者】
ASKULロゴ

アスクル株式会社

ASKUL DESKTOP画面写真1画像をクリックして拡大表示

ASKUL DESKTOP画面写真2画像をクリックして拡大表示

【アプリの概要】

ASKUL DESKTOP は、毎日の購買をより簡単に便利で楽しいものにする、革新的なユーザエクスペリエンスを提供するプラットフォームとして開発しました。デスクトップからダイレクトかつスピーディに「アスクル・インターネットショップ」「ぽちっとアスクル」への来店、購買が可能となります。アスクルにご登録いただいているお客様向けの「オフィス用品検索」と、アスクルのお客様ではない一般のお客様にも活用いただける機能「みんなで調整メモ」の2つの機能を実装しています。
「オフィス用品検索」では、アスクルの商品検索が可能です。オフィスの備品を注文する際の商品検索と同時に、プライベートで商品を購入する際の商品検索ができ、別々にカゴに入れて別々に決済に進むことができます。「みんなで調整メモ」は、ASKUL DESKTOP をインストールしているオフィスの仲間同士で、コメントを書き込んでコミュニケーションができる、招待制の非公開掲示板です。オフィスの仲間に購入予定の商品を確認したり、社内の催事などを調整したりするのに便利です。

【開発時に努力した点】

お客様とともに進化するアプリケーションとして、ASKUL DESKTOP はお客様からいただいた声をもとに機能改善を繰り返しています。旧バージョンの ver1 から現在の ver2 への移行で最大の課題は「動作を軽快にすること」でした。会社で使用する PC は低スペックである場合が多く、初期版の ver1 で動作が遅いとのお声を多くいただいたことから、ver2 では、より PC 負荷を軽減し、業務ツールとしての使い勝手を向上させました。

【使用ツール】

Adobe Flex Builder 3、Adobe ColdFusion 8

<審査員のコメント>

EC サイトのアプリがどうしてソーシャルネットワークと最初は不思議でしたが、オフィスで購入を検討している品物について社員同士で意見を交換できる機能に目から鱗。素晴らしい機能と整理された操作体系の上で、企業ブランディングも、使い続けてもらうための工夫も、活用頻度を高める工夫も凝らされている素晴らしいできに脱帽しました。AIR に興味がある人はぜひ試してみるべき1本です。(林信行)

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特別賞 「はがきデザインキット」

【アプリケーション名】
年賀状デザインキット2009 アイコン

はがきデザインキット

【制作者】
PUZZLE ロゴ

株式会社パズル

【アプリの概要】

はがきデザインキットは、年賀状などのはがきのデザイン&宛名印刷ができるアプリケーションです。1,000種類以上のテンプレート素材をサーバに用意しており、ユーザが選ぶスタイル(Normal、Woman、Man、Family、Business)に合わせて適切なテンプレートが読み込まれるようになっています。
年賀状という国民的な行事に使われるものなので、できるだけ多くの人が利用できるように、ユーザの OS 環境に左右されない Adobe AIR を採用しました。また、マニュアルを見ないでも直感的に簡単に操作できるインターフェイスになるように工夫しています。今回は年賀状がテーマでしたが、自動アップデート機能とサーバ連動を利用すれば、テンプレートを差し替えることができ、一年を通したプロモーションに活用できるアプリケーションとなっています。

【開発時に努力した点】

個人情報管理とアプリケーションのバージョン管理を効率化させ、サーバ負荷を軽減させています。その他にも、印刷した際のレイアウトの精度が向上するように工夫し、テキストの縦書き入力に対応したシステムを独自に組み上げました。

【使用ツール】

Adobe Illustrator CS3、Adobe Photoshop CS3、Adobe Flash CS3、Adobe Flex Builder 3

<審査員のコメント>

はがきデザイン作成ソフトとしての基本機能をしっかりと押さえつつ、どんなユーザにも分かりやすく使える親切なユーザインターフェイスは、このアプリケーションのバランスを絶妙に保っています。郵便事業の本家が提供するアプリケーションだけあって、より多くのユーザ利用を考慮した素晴らしい完成度と言えるでしょう。審査員の注目度が高かった本作品の今後の進化も非常に楽しみです。(轟啓介)

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はがきデザインキット画面写真1  はがきデザインキット画面写真2  はがきデザインキット画面写真3
画像をクリックして拡大表示

総評

轟写真 轟啓介
アドビ システムズ社

Adobe AIR Gallery が2008年8月にオープンして以来、160作品を超える登録がありました。その多くのアプリケーションが「こんなアプリケーションがあったらいいのにな」という制作者自身の「小さな要望」から生まれ、他の人にも広く使ってもらえる便利なものへ!という「大きな目標」に育っていったように感じられました。Adobe AIR は、アプリケーション開発の手軽さと幅広いユーザに使ってもらえる実行環境を兼ね備え、これらの素晴らしい作品を実現する上で最適な方法だったと強く認識しています。

今回受賞したアプリケーションはもちろん、惜しくも受賞を逃したアプリケーションの中にも多くのユーザの指示を受けている作品があります。今後も増え続けていく AIR アプリケーションを ぜひ楽しんでください!