第1部では、イラストレーター/デザイナーとして活躍する海津ヨシノリ氏。イラストレーションの作成からパッケージデザイン、企業CIまで幅広く手がけ、その制作の中心にIllustratorを据えている。そんな海津氏が、自身の仕事の中でどのようにIllustratorを活用しているのかを紹介した。
OpenTypeとPDFを仕事に活用する 海津氏はまず、Illustrator CSが従来のバージョンと比べて優れている点として「OpenTypeへの対応」を挙げた。Illustrator 10からOpenTypeへの対応は行われているが、CSになってそのメリットが最大限に活かせるようになったという。「©や®といった文字を簡単に入力できるようになり、作業が効率的になる」と海津氏は話した。
また海津氏は、Illustrator CSからのPDF書き出しも活用している。「パッケージデザインの案を提案する際に、いくつかのパターンをIllustrator CSでラフを制作しました。ソフトウェアメーカーの国内代理店との仕事だったのですが、US本社との確認も含め、すべてPDFでやり取りしました。電話もしていなければ、FAXさえも使っていません」(海津氏)
Version Cueも活用し「MacでもWindwosでも大丈夫」 海津氏は、MacとWindowsの両方でIllustratorを使用している。先に挙げたパッケージデザインの仕事では、Windows版のソフトウェアを実際に使用してみる必要があったので、Windows版を使用したということだったが、同じフォント環境を揃えてカラー設定を共通にすれば、どちらの環境で仕事をしても大丈夫だと語った。
Illustrator CSになり「Version Cue」が登場したことで、MacとWindowsの垣根はさらに低くなったという。「Macで大きなデータをダウンロードしているときに、急ぎの修正作業をやってしまいたいという場合には、Windowsのほうで作業をします。Version Cueでハードディスクを指定して作業しているので、どのマシンを使っていても同じデータにアクセスできます」と海津氏は話す。
Illustrator CSで下絵のスケッチ 続いて海津氏は、Illustrator CSでスケッチを作成する際のTipsを紹介した。「鉛筆ツールのオプションをすべて解除することで、手描きのようなスケッチができます。後からサイズを自由に変えることもできるので、私はIllustratorをスケッチにも重宝しています」(海津氏) また海津氏は、Illustrator CSで下絵をトレースする方法などを、その場で披露した。
作ったイラストをシンボルで管理する 海津氏は、作ったイラストの管理方法も紹介した。ひとつは、イラストをPDFで保存し、Acrobatでページを追加していくことで、どんどんとストックしていく方法だ。
そしてもうひとつが、作ったイラストを「シンボル」に登録するというもの。イラストをシンボルとして登録すると、イラストそのものをIllustrator CSのデータとして保存するよりも、データが軽くなるのだという。シンボルでは、ベクトルデータでもビットマップデータでも、Illustrator CSで扱えるデータなら何でも登録できるので、データベースのような感覚でパーツやイラストを登録しておけば、後から呼び出すのも便利というわけだ。
テキストの自由度が高くなったIllustrator CS 海津氏は、Illustrator CSのメリットとして「テキストの自由度が高くなったこと」も挙げた。テキストの連結が可能になったほか、テキストボックスの回転、テキストの回り込み等も簡単に設定できる。パッケージデザインのように、小さな文字がたくさん、しかもさまざまな方向に入るようなものの場合には、大変有効だという。
さらに、文字スタイルや段落スタイルも設定でき高度な組版が可能になったほか、異体字も豊富に利用できることから、デザイナーの細かい要求にも応える美しい組版が実現するというわけだ。
Photoshopとの連携 Illustrator CS(9以降)の大きなメリットのひとつに「Photoshopのネイティブデータの貼り込み」が挙げられる。Illustrator CSでは、レイヤーを持つPhotoshopの画像を貼り込むことができる。読み込んだ画像に、マスクをかけることも可能だ。
Illustrator CSでは透明を含むグラデーションを扱うことができないが、これもPhotoshopとの連携でカバーできる。透明を含むグラデーションをPhotoshopで作成し、その画像をIllustratorに貼り込むこめばよい。PhotoshopとIllustrator CSでは統一されたカラーエンジンを採用しているので、色が異なるという問題も発生しない。海津氏は、実際に作例を示しながら解説した。「Photoshop画像を読み込んでグラデーションを活用することで、Illustrator CSでも非常にPhotoshopライクな作品を作ることができます」(海津氏)
その他に海津氏は、テキストの3D効果や、レイヤー全体に対してエフェクトをかけることで生まれる効果、透明を含むビットマップ画像のシンボルへの登録と、それを活かしたナチュラルな表現方法など様々なテクニックを紹介した。
最後に海津氏は「様々な機能を理解することで、今までIllustratorでは苦手とされてきたような表現も、可能になります。まだ最新バージョンにアップグレードしていない人は、体験版でも構わないので、ぜひ一度使ってみてください」と話し、第1部を締めくくった。
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