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ジェニファー・スターリングがデザインする文字は歌を歌っているようだ。そして、そのデザインワークは、単に歌っているだけではなく抑揚がある。つまり、ハーモニーがあるのだ。時にはささやくように歌い、しかし、決して沈黙することはない。これこそがまさに、成功の秘訣なのである。
サンフランシスコのトレソン・デザインと袂を分かって、スターリングは自らジェニファー・スターリング・デザインを興した。1995年のことである。 それ以来彼女は、現代有数のデザイナーとして君臨している。受賞歴も数知れず、美術館のキュレーターでさえ、彼女の作品を常設の展示物として買い上げたいと思うほどなのだ。
クライアントが「まともな」ビジュアル・コミュニケーションを期待して、ジェニファー・スターリング・デザインに足を運ぶことはない。万が一そんなことを期待したとしても、とうてい無理な話。彼女の会社で制作するデザインには、視覚的に複雑な階層構造が含まれており、見る者は、大きなスケールおよび、より繊細な部分という、両面からメッセージを読みとることになる。そのデザインは、ポスターや年次報告書に、革新的なタイポグラフィーを使用したりと、ルールを無視したアプローチを試みていることでも人気がある。しかも、このように革新的でありながら、実用性という点でも怠りない。ダイカットのエンボス加工や、一風変わった材質の利用といったことは、文字の破壊と同様に、最終的な製品に仕上がった際に、重要な役割を果たしている。このような要素が総合されて、この会社の作品に、躍動的で先進的なイメージを刻印しているのだ。それゆえ、サンフランシスコ現代美術館のアーロン・ベツキーは、スターリングの作品を、「我々の現代社会を象徴する、継続的な組み替えのプロセスのスナップショット」であると評している。
今年はスターリングにとってもとびきりの年である。彼女はすでに、「Sterling - Utility」というモノグラフの作成を始めており、Gingko Pressから出版される予定だ。また、サンフランシスコ現代美術館の主催で、彼女の作品展も開催された。この展示会用に彼女は、特別なポスターとパンフレットを作成している。ポスターには、彼女の円熟の境地が表現されており、その一方で、最近の作品からの要素も取り込まれている。べた組みや、途切れた線を収束させて、丸みを出し、小さめの文字を際だたせたり、モノクロ風のスペースを大胆に使ってみたり、あるいは、手書き風の文字と、明朝体およびゴシック体のフォントを混ぜて利用し、1999年に亡くなったデザイナー、P・スコット・マケラへの敬意を表したりといったことまで行っている。彼女は、ポスターとパンフレットの作成には、 Adobe® InDesign®を利用している。
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