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Jennifer Sterling Design | artist profile | gallery |
デザイン界の歌姫、ジェニファー・スターリングは、歌うように文字を表現する
2001年6月
Jennifer Sterling San Francisco
ジェニファー・スターリングがデザインする文字は歌を歌っているようだ。そして、そのデザインワークは、単に歌っているだけではなく抑揚がある。つまり、ハーモニーがあるのだ。時にはささやくように歌い、しかし、決して沈黙することはない。これこそがまさに、成功の秘訣なのである。

サンフランシスコのトレソン・デザインと袂を分かって、スターリングは自らジェニファー・スターリング・デザインを興した。1995年のことである。 それ以来彼女は、現代有数のデザイナーとして君臨している。受賞歴も数知れず、美術館のキュレーターでさえ、彼女の作品を常設の展示物として買い上げたいと思うほどなのだ。

クライアントが「まともな」ビジュアル・コミュニケーションを期待して、ジェニファー・スターリング・デザインに足を運ぶことはない。万が一そんなことを期待したとしても、とうてい無理な話。彼女の会社で制作するデザインには、視覚的に複雑な階層構造が含まれており、見る者は、大きなスケールおよび、より繊細な部分という、両面からメッセージを読みとることになる。そのデザインは、ポスターや年次報告書に、革新的なタイポグラフィーを使用したりと、ルールを無視したアプローチを試みていることでも人気がある。しかも、このように革新的でありながら、実用性という点でも怠りない。ダイカットのエンボス加工や、一風変わった材質の利用といったことは、文字の破壊と同様に、最終的な製品に仕上がった際に、重要な役割を果たしている。このような要素が総合されて、この会社の作品に、躍動的で先進的なイメージを刻印しているのだ。それゆえ、サンフランシスコ現代美術館のアーロン・ベツキーは、スターリングの作品を、「我々の現代社会を象徴する、継続的な組み替えのプロセスのスナップショット」であると評している。

今年はスターリングにとってもとびきりの年である。彼女はすでに、「Sterling - Utility」というモノグラフの作成を始めており、Gingko Pressから出版される予定だ。また、サンフランシスコ現代美術館の主催で、彼女の作品展も開催された。この展示会用に彼女は、特別なポスターとパンフレットを作成している。ポスターには、彼女の円熟の境地が表現されており、その一方で、最近の作品からの要素も取り込まれている。べた組みや、途切れた線を収束させて、丸みを出し、小さめの文字を際だたせたり、モノクロ風のスペースを大胆に使ってみたり、あるいは、手書き風の文字と、明朝体およびゴシック体のフォントを混ぜて利用し、1999年に亡くなったデザイナー、P・スコット・マケラへの敬意を表したりといったことまで行っている。彼女は、ポスターとパンフレットの作成には、 Adobe® InDesign®を利用している。

スターリングの作品はラディカルでしかも実験的なものが多い。だが、彼女の会社のデザイナーたちの優れた技術のおかげもあって、彼女は数多くのクライアントを獲得している。「デザイナー中には傲慢な人もいるのよ。私だったら、あんな仕事のやり方は絶対にしないわ」とは彼女の弁。スターリングがキャンペーン用のポストカードを作成した、写真家のデイビッド・メイゼルも同意見のようだ。「彼女は、う〜ん、何と言ったらいいのか、要するに、衝動的なんだ。いつか彼女が言っていたんだが、『私は大作をデザインするのよ。人に何かを伝えるアートじゃなければ仕事なんかしないわ』ってね。で、実際に彼女はそういう仕事をしているわけだ」。

さて、デザイン界の歌姫の次なる作品は? 彼女によれば、もっとWebプロジェクトを手がけたいということだ。それにプロダクト・デザインも。もちろん彼女はきっと、この世界でも成功を収めることだろう。どのような場合でも彼女の文字がすばらしい歌を聴かせてくれるということは、実証済みなのだから。

Adobe.comのシニア・エディターであるマット・デイヴィッドソンは、植字工の経験があるそうだが、彼の組んだ文字列は、いつも陳腐なものばかりだったそうだ