| |
先進の「たいせいG-net」システムと電子契約システム
「社内で専門工事業者との電子化を始めたのは、実は建築本部からなのです」と鼠入氏は「たいせいG-net」について話す。「6年前に開発をはじめ、5年前から運用に入りましたが、「たいせいG-net」を利用することで、それまでFAXや郵送に頼っていた見積依頼と見積書の交換や、注文書や請書案の合意、出来高調書や請求書の提出・審査をオンライン上で行うことができるようになりました。
しかし、何の問題もなく、スムーズに進んだわけではない。「社内と社外との情報のやりとりをそちらに徐々に切り替えていったのですが、最初は抵抗がありました。紙やFAXの方がずっと楽でしたから」と鼠入氏は打ち明ける。業務を電子化しようとしたとき、必ずぶつかる壁がこれである。「今のやり方の方が楽だ」「今のやり方で十分仕事が回転している」といった守旧派の考え方に、大成建設建築本部はどのように対処したのだろうか。
「EDIは、「たいせいG-net」に限らず、情報をやりとりする業者の双方が利用しなければ意味がありません。現在でこそ、3000社以上に参加してもらっていますが、開始当初は20社でしかありませんでした。それをここまで浸透させることができたのは、インターネットでの情報通信がこの数年間で急に一般的になってきたということもありますが、むしろ重要だったのは、建築本部の強い意志があったからだと思います。その意志があったからこそ、各作業所や専門工事業者まで利用者が広がり、さらには新しいシステムの導入に対する心理的な障壁も当初よりは小さくなっています。「今度こんなことをやるよ」と言ったときの反応がずいぶん違ってきました」。
鼠入氏はさらに続ける。「一部門(建築本部)から通達するだけだったら、ここまで浸透したかどうかわかりません。経理部門などいろんなところから導入を勧めたのが、結果的に功を奏したのでしょう。現場で実際に使っている人たちの力が結集することによって、システムが当初想定していた以上の力を出すことができるように感じます。その結果として、実に全体の75%の文書が電子化されています。もちろん、この電子化において、Acrobatは大きな役割を果たしているのです」。さらに鼠入氏は「電子契約の導入により、見えないところのコストを削減できることにもっと注目すべきです。都心から離れたところに住んでいる人ほどよくわかると思いますが、もっともコストがかかるのは人の移動です。紙と同じように扱えるPDFは遠方の業者さんにとっては、とてもメリットがあります。事実、「たいせいG-net」の電子契約に最初に参入したのは沖縄の業者さんでした」と話す。また、澤田氏もこれを補って、「生のまま送ると支障がある文書はAcrobatでPDFにを変換すれば安全・確実に渡すことができます」と、電子化の基本となるAcrobatの利点を繰り返し話す。
また、「たいせいG-net」では、2002年4月より電子契約書の交換をサポートするシステムを開始した。ここでもAcrobatとPDFの電子署名は大きな役割を果たしている。「e-Japan構想の一環として2000年に電子署名法が制定されたことにより、国交省に関係する事業についてはPDFファイルによる電子契約書が認められています。PDFファイルならば、紙に印刷された通常の契約書と同じだという感覚です」と澤田氏は話す。
さらに広がるAcrobat/PDF利用の可能性
PDFファイル利用のシチュエーションは、ますます増えている。新聞記事をイメージスキャナで読み取り、PDFファイルに変換してインデックスを付け、保存・検索するシステムを試験運用中であるほか、さらに広範囲な利用方法も考えられている。一例として、澤田氏は次のように述べた。「ASPを提供する企業と協力して、Webを使った情報共有システムを目下準備中です。ただ、写真や議事録、品質管理などいろいろなコンテンツが有りますが、全部をデジタル化しているわけではないので、紙の部分をどうデジタル化していくかをこれから関係者間で協議しつつ、解決していく予定です。Acrobat利用の可能性をまだまだ追求していきたいと考えています」。
|
|

 |