アクセシビリティ

第一線のユーザが語る Adobe InDesign CS2 セミナー


ゲストセッション3 印刷会社から見た今のInDesign

セミナーの最後を飾ったのは、図書印刷株式会社に勤務する石川 良太氏だ。石川氏は印刷会社から見たInDesignの対応状況についてと、出力時に関するいくつかの注意点および自社でのInDesignを使用した組版事例について講演をおこなった。

InDesign発売当初から積極的に取り組んだ図書印刷

石川 良太氏

InDesignは他のDTPアプリケーションにくらべて、まだ発表されてから5年しか経過していないアプリケーションだ。そのため発表当初はRIPが対応していないなどの理由から印刷会社が対応できないケースが相次いだ。その後、RIPも進化し、InDesignそのものも大きく改善されたにもかかわらず、未だに当時の状況と変わらないのではないかと思い続けているユーザも少なくない。

石川氏は、自身が所属する図書印刷株式会社では、InDesign発売当初から積極的に取り組み、1.0は問題があったため未対応としたが、InDesign 2.0から「最新のCS2まで」正式にサポートしていること、また、クライアント向け資料を作成し常に情報発信していることを語ってくれた。

つぎに、印刷会社の立場からInDesignのデータを安全に出力し、ワークフロー全体が円滑に進むためのTipsをいくつか紹介してくれた。

 ・ 段落コンポーザではなく、 Adobe日本語単数行コンポーザを指定すること
 ・ ロングファイルネームは利用しないこと
 ・ OCFフォントは動作保証外であること

以上のような点に注意をすれば、InDesignでも安全に入稿、出力することができるはずだと語ってくれた。

また、InDesignの便利な機能もその使い方に注意が必要である例が説明された。

 ・ PDF入稿
  →PDF/X-1aが基本だが、InDesignの書き出しはダウンサンプリングが
    設定されているので「なし」にする
 ・ Mac⇔Winの互換性
  →OpenTypeフォント使用が前提だが、ノンブル等でtype1を
    使用してしまう例あり

最後に、事例として図書印刷株式会社がInDesignを利用して制作した2つの出版物の紹介がされた。はじめに紹介されたのは集英社刊「学習漫画 中国の歴史 全10巻」。本書では漫画形式という都合上、画像の上に文字を乗せるための工夫が必要であったが、InDesignを使うことによって、文字枠の半調のせなどが簡単にできたという。しかし、白フチ文字の処理についてはInDesignの現在の機能では不十分で今後の充実を期待したいとのことだった。

もうひとつの事例は日本製薬団体連合会刊の「DSU」という準月刊誌で、本書では薬品の表組みを作成しなければならなかったが、クライアントがデータベースで利用しているアプリケーションがMS-DOS用の古いアプリケーションであるため、これまでデータのコンバートに時間がかかっていた。そこでInDesignのタグ付きデータに変換するアプリケーションを開発することと、InDesignの表組機能を活用することによって、一日かかっていた組版の仕事が大幅に短縮されたとのことだった。

多くのリスナー達が印刷の現場に携わる人物からの貴重なアドバイスや実際の導入事例を聞くことができ、今回のセミナーにおけるすべてのセッションが終了した。

セッションの風景

セッション終了後には、株式会社Tooの協力により、会場の一角にAdobe製品のライセンス契約に関する特別ブースが設置された。このコーナーでは、大規模なDTPシステムを有する企業では、ライセンスの取得や管理が複雑化している状況にあるため、今後のアップデートや新規のライセンス取得に関して、効率的かつ経済的なシステム運用ができるよう、専門家のアドバイスを受けることができる。参加者は熱心にアドバイザーの話に聞き入り、Adobe製品に対する熱い期待を感じつつセミナーは閉幕した。