パッケージダミー制作におけるデザインの可能性を広げるIllustrator
「必要な時に、必要な量、必要な形で」納品できるという同社のパッケージダミー制作は、印刷機だけでは成り立たない。「デジタルデザインを容易に行えるIllustratorの存在が大きいのです。」と林氏。
デジタル印刷を導入する以前から同社ではIllustratorを活用していたが、それまでに積んできたIllustratorの経験・スキルという優位性と、完成したデータをスピーディーかつ効率的に印刷できるというデジタル印刷機のメリット、その両者の組み合わせによる相乗効果により、様々なデザインバリエーションをジャストインタイムで用意することができるという、パッケージダミー制作にとって後押しとなる利点を享受することができたのである。
最新バージョンのIllustrator CS3ではライブカラーが搭載され、デザインに対して様々なカラーパターンをスムーズに適用することができるようになったため、パッケージのカラーバリエーションを作成する作業時間を大幅に短縮することができたそうだ。
ライブカラーでは、各カラーを個別に変更するだけでなく、各カラーをリンクさせ全体のバランスを見ながらカラーの調整を行うことが可能だ。また、カラーを減色したり、特色に置きかえることもできる。

お菓子のパッケージのダミーサンプル

各カラーをリンクさせると、バランスを保ちながらオブジェクトのカラーを簡単に変更することができる。今回のケースのように、パッケージをはじめ、ロゴのデザインなどを行う時にも大変便利だ
「以前はデザイナーがパッケージのデザインを作成していると、どうしても各個人の嗜好によって似たようなカラーパターンに偏りがちになっていました。ライブカラーを使用して直感的にカラーの組み合わせを試しているうちに、自分でも思いつかない意外性のあるパターンを発見することもあるんですよ。」と製作現場での面白いエピソードを林氏は語ってくれた。
また、営業的な面でも、ライブカラーによる思わぬ恩恵を得られているとのこと。クライアントにデザインを見せる際に、Illustratorが実装しているライブカラーが提示したカラーパターンであることを説明すると、非常に説得力があるのだそうだ。
現在、デジタル印刷機とIllustratorの組み合わせで構築されたパッケージダミー制作というビジネスモデルは、およそ450社のクライアントを有するデプリ事業部として、精工の一翼を担う業務にまで成長している。
BtoBからBtoCへ。広がる小ロット印刷ビジネス
当初、パッケージダミー製造で始まった精工のフルデジタル印刷事業は、BtoBとして成功を収めたもの。それを現在では、さらに一歩進め、BtoC事業へと展開を図っている。「低コストでの小ロット印刷という特性を活かせば、ダミーではなく、製品製造も可能だと気付いたんです。」
小ロット印刷によるパッケージを広告媒体と捉えた林氏は、ノベルティに目を付けた。たとえばワンドリップ式のコーヒーパッケージに企業広告を印刷することでノベルティとしての付加価値を高めるのである。
また、ノベルティの特性としてデザイン的に多様な製品を用意することで、コレクター欲なども刺激し、ノベルティとしての品質をさらに高めるという施策も取る。
「最新のIllustrator CS3のライブカラーを使えば、同じレイアウトでも異なるカラーバリエーションを簡単かつ高品位に制作することが可能」であり、新たなビジネスモデルとして、すでに成功を収めている。
「今後も小付加価値、高付加価値の両面で、小ロット印刷の強みを活かしたデプリ事業を躍進させていきたい。」と林氏は語った。

企業広告が印刷されたワンドリップ式コーヒーのパッケージ