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「大日本タイポ組合」は、現在のデザイナーズシーンで活躍するデザインユニットだ。 「文字で遊ぶ」をテーマにした個性的なタイポグラフィを15年にわたり制作しつづけている。これまでに数々の賞を受賞。海外での個展も成功させ、日本を代表するタイポグラフィユニットとして注目されている。
普段、見慣れていると思ってた漢字が、よく見るとカタカナをうまく組み合わせて作られたオリジナルのタイポグラフィだった。二人のデザイナーによるデザインユニット“大日本タイポ組合” は、本来、職人の領域とも言えるタイポグラフィの世界に遊び心を持たせ、デザインワークに還元することで、個性的で独特な文字の世界を作り上げて来た。そんなお二人に現在のクリエイト環境や創作タイポグラフィにおける発想の源について伺った。


創作文字のきっかけは卒展ポスターの制作だった
そもそも二人がユニットを結成するきっかけは、当時二人が在学していた多摩美術大学の卒業制作展ポスターを制作することに端を発している。
多摩美術大学では、毎年、ラフォーレ原宿で卒業制作展を開催し、そのポスターも学生の手で制作されていた。その時、塚田氏と秀親氏の二人を含む数人の有志が集まり、二人の卒業年のポスター制作を担当することとなる。
当時、二人は写真を専攻していて、連日現像、プリントに明け暮れる毎日だった。
そんな暗室での日々の中、「多摩美の暗室には準備室というのがあって、そこに露光時間などを記録するメモ帳が置いてあるんですけど、それにデザインのアイデアを落書きしていたんですね。なんとなく“タマビ” という片仮名を組み合わせていたら“祭” の漢字に似たタイポグラフィができあがった。これは面白いということで、” グラフ” “卒展” あと“ラフォーレ” も漢字風にして、四文字熟語のように組んでみたんです。」
現在の二人を象徴する創作文字は意外なところで作られていたことになる。こうして出来上がった、二人にとって初めての作品だったが、“いったいどこの文字なんだ” と教授の間では理解されなかったようだ。しかし、その中にある不思議な感覚を二人は見逃さなかったのだ。

大日本タイポ組合が手がけたデザインワークの数々。アルファベットの積み木からは、英文字や漢字、さらにさまざまな図形を作り出すことができる仕掛けになっている。大日本タイポ組合が手がけるデザインワークにはどれも遊び心がふんだんに散りばめられている
大日本タイポ組合
塚田哲也氏と秀親氏の二人によるデザインユニット。1993年より活動を開始し、漢字をモチーフとした片仮名の組み合わせによる独創的なタイポグラフで注目を浴びる。東京タイポディレクターズクラブの公募展に入選のほか、数多くの賞を受賞。またスペインやロンドンなど海外でも個展を開き世界的に脚光を浴びている。
ユニークなユニット名の由来
二人は多摩美術大学を卒業後、秀親氏は美術系予備校の講師、塚田氏は広告代理店とそれぞれの道を歩んでいたが、東京タイポディレクターズクラブ(現・東京TDC)のコンペには毎年欠かさず出品していた。これが当時、彼らのモチベーションを維持することに役立っていたのだそうだ。以後、毎年のように入選を果たし、自信へと繋がっていく。
「本格的に二人で活動していこうと考えたのはそのくらいの時期ですね。ユニット名を考えようということになって、どうせなら大きく行きたい。ということでまず“大日本” という言葉が浮かびました。で、まぁ連合とか結社とか色々案が出たんですが、あまり派手なのもちょっと…。ということで“組合” くらいがちょうどいいんじゃないかというところで落ち着きました。」
あとで気づいたそうだが、本来「タイポ」とは「誤植」を意味するのだそうだ。図らずも意図的に誤植を作り出す彼らの作品にマッチしたユニット名となったわけだ。
国内での展示はもとより、スペインのバルセロナやロンドンで個展を成功させたことで自信をつけた彼らは「大日本タイポ組合」として本格的に活動を開始することになる。
「当時のMacには書体が二種類くらいしかなかったし、Illustratorにもアウトラインを作成する機能がなかったので、そのまま使うわけにはいきませんでした。なので、大きく拡大した写植の中から、使えそうなパーツを切り出して組み合わせて、アウトラインを手作業で墨入れし、それをスキャンしてIllustratorでトレース。紙焼きに出力したものに製版指定を入れて作りました。」

ナイキのタイポグラフィ。カタカナの「ナイキ」で「在」の字を表現している