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よくわかる!ADOBE CREATIVE SUITE 3 DESIGN PREMIUM

大日本タイポ組合

 


 

創作文字での印鑑作りから書籍デザインまで

カタカナを組み合わせて漢字風のタイポグラフィを作り出すというスタイルは二人にとって、大きな発見であった。しかし、単に漢字風のタイポグラフィを作り出すだけではなく、作品に意味を持たせるきっかけとなったのが、印鑑作りだった。

「あるイベントで個展会場に来てくださった方の名前をその方の個性に合わせた漢字に組み立て、印鑑として制作したんです。たとえば、同じ“タカハシさん”であっても、こちらのタカハシさんは長男なので“兄”という字に似せたり、外国人の方には“外” という字に似せた文字を作ったりしました。」

これまでの創作文字に意味を持たせることで、より多くの人に受け入れられたそうだ。印鑑作りは好評を博し、プロジェクトを終えた今でも問い合わせが来るという。

二人の作品が徐々に浸透していくにつれて、デザインの仕事依頼も多くなっていく。

アイドルグループ「V6」のメンバーである井ノ原快彦氏の著作である『イノなき』という本では、カバー、本文デザインを担当した。二人のこだわりである創作タイポグラフィをふんだんに散りばめた個性的なデザインに仕上がっている。

「この本では、コラム中にあるイラストも担当しました。コラムの内容に合わせた一字を選び、イラストに仕上げています。“挿し絵” ならぬ“挿し字” と呼んでいますけど(笑)」

また、最近では紙媒体におけるデザインワークのみならず、Flashを利用した携帯の待ち受け画面や文字が変化するアニメーションを作成する仕事にも携わっている。

 Flashを利用した携帯の待ち受け画面では、その日の天気によって、「曇」という字が変形する仕掛けだ。晴れの日であれば曇という漢字の「日」の部分が広がり、雨の日ならば「雨」が広がるという仕組みになっている。「雲」の字を一番下の「云」という字は元来、「くも」を表す漢字だったことも偶然発見し、「曇」の漢字の中に「はれ」「あめ」「くもり」が全て含まれることを利用した文字遊びだ。

このほかにも事務機器の販売で有名なコクヨから、創作タイポグラフィを積み木にした「トイポグラフィ」を発売。組み合わせ方によって同じ意味の英文字と漢字が同じパーツから出来上がる。組み合わせ方次第では絵まで作ることができる知育玩具だ。

「どのような物やテーマであっても、その物にふさわしい自分なりの答えを見つけることに楽しさを覚えます。そのきっかけとなったのはやはり印鑑作りでしょうか。」

様々な方向性を模索しながら進化し続ける二人の作品には、いずれも大日本タイポ組合のこだわりを見ることができる。

羽のパスから、消しゴムツールを使用して抜きを作成し模様を作る

以前、個展会場において、オーダーメイドによる人名のタイポグラフィを制作した。大日本タイポ組合が、作品そのものに意味を持たせるきっかけとなった作品だ。図は「タカハシ」という人名を、ファミコンゲームの達人として活躍していた「高橋名人」から連想した「名人」という漢字に置き換えている


携帯用待ち受けムービーの制作風景

携帯用待ち受けムービーの制作風景。Flashで制作したムービーは、Device Centralでプレビューし、細部のチェックを行っている

 

アプリケーションの進化が発想に与える影響とは?

二人の作品づくりには、アプリケーションの持つ機能が大きくかかわっているという。たとえば、Illustrator 9では、レイヤーやオブジェクト単位で「描画モード」と「透明度」を設定できるようになった。これによって、複数の透明フィルムを重ねなければ見えないフォントを発明した。

 「これは、シアン、マゼンタ、イエローと色別に出力した透明のフィルムを重ねないと文字が見えてこない、そんなフォントがあったら面白いかもと思って作ってみました。この作品なんかは、以前のIllustratorでは思い浮かばなかったでしょうね。」

このケースはアプリケーションの持つ機能を最大限に利用し、自らの発想へと役立てている好例とも言えよう。

では、現在、最新のバージョンであるAdobe CS3 Master Collectionを使用しているお二人だが、最新のバージョンでは、どのような機能に注目しているかを尋ねてみた。

「CS3ではIllustratorやPhotoshopとFlashのファイル互換がグンと上がって感動しました。たとえばレイヤーを保持したままデータがコンバートできたり、他のアプリケーションとの連携が良くなった。アプリケーション間の行き来が簡単だから、それぞれのアプリケーションを意識することなく、モノ作りに集中できますね。」

CS3の数々の新機能でさえも、二人にとっては新しいオモチャを手にしたような感覚で使いこなしている。

今後も大日本タイポ組合が作り出す不思議な創作タイポグラフィに要注目だ。

KUROFUNE20000

大日本タイポ組合制作のFlashムービー/KUROFUNE20000

Flashアニメーションを見る

重ねると文字が浮き出るデザイン「YMC フォント」

一枚一枚は、透明フィルムに3色分版された図形にしか見えないが、3枚のフィルムを重ねるとアルファベットが浮き出る仕掛けになっている。Illustratorのレイヤー機能から発想されたデザインワーク