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生成AIでアイデアを拡張し、イラストの精度を上げる浦野周平さんのイラスト制作術

ゲームコントローラーを持ち、四方向から表示された人物キャラクターのイラスト。背中には大きな四角いバックパックを背負っている。
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イラストレーターの浦野周平さんが制作環境のデスクに座り、キャラクターイラストを表示したモニターの前でカメラを見つめている。

AI x CREATIVE 03

{{adobe-cc}}で提供されるアプリケーションはいま、数多くの生成AI技術を使った機能を搭載しています。
クリエイターたちがツールのなかでどのようにAIを使い、どのようなクリエイティブを作りあげているのか、その実践活用法を紹介する企画「AI×CREATIVE」。第3回目は、イラストレーターの 浦野周平さん に登場いただきました。

生成AIでイラストの正確性を高める

広告、雑誌、web等のさまざまなメディアでユーモアあふれるイラストを展開するイラストレーター・浦野周平さん。{{adobe-illustrator}}を使ってマウスで描く、独特のスタイルによって生み出されるイラストは唯一無二の個性を放ち、その独創性と魅力的なタッチは、活動歴25年を超えたいまなお、厚い支持を受けています。

ときにありえないシチュエーションすら描き出す制作工程のなかで、AI/生成AIはどのように活用されているのでしょうか。お話を伺いました。

「ChatGPTやClaude、Gemini等、AIは仕事のいろいろな場面で使っています。イラストの資料探しだけでなく、契約書の確認ややりとりのサポートをしてもらうこともあります。

特に助かっているのは、資料だけではわからなかった部分が、生成AIによってシミュレーションできるようになったことです。

たとえば、武士がこう動いたとき、甲冑はどう動くのか/歌舞伎役者がこういうポーズをしたときに着物のシワはどう入るのか/猫が人にすり寄るとき、どういう姿になるのか。スケッチしたものを生成AIに渡して、それを参考にまた描くというキャッチボールを繰り返すことで、これまで想像するしかなかったディテールを、より正確に描けるようになりました。イラストが構造上、破綻していないように見せるためのアイデアツールとして、生成AIはすごく役立っていると感じています」

Adobe Illustratorでキャラクターイラストを編集する画面を見ながら、制作作業を行う浦野周平さん。

リアルな等身で描き込まれるからこそ、不自然な点は目についてしまうもの。違和感を減らすための検証ツールとして、イラストの正確性を高めるツールとして、浦野さんは生成AIを活用しています。

「生成したものはあくまで資料で、下絵にするわけではありません。あくまで資料のひとつとしてインプットしておくと、ゼロから描くよりも、スムーズに描けるんです。

これまでも、人物を描くときに自分でポーズをとって写真を撮り、参考資料にすることはありましたが、写真や生成画像をトレースしたところで自分の作品にはなりません。

何を足して、何を引くのか、どうやってコミカルさを出していくのか。自分のなかのフィルターを通しながら工程を重ねていくことで、はじめて自分の作品と呼べるものになると考えています」

{{photoshop}}の「生成塗りつぶし」であり得ない構図を再現

資料作りにおいて、生成AIが特に力を発揮するのは、現実ではあり得ないシチュエーションを描くとき。参考資料すらない状況でも、生成AIがそれをリアルに描き出してくれます。

「たとえば、びっくりするような肥満体の人がブレイクダンスをしているイラストを頼まれたとします。ブレイクダンスの資料を探しても、踊っている人はみんな痩せていますから、服や肉の偏りがどうなるのかはまったくわかりません。

こういうときは、人体ポーズアプリでつくったポーズ画像と{{STOCK_ASSETS}}で見つけた太った人物写真を、 {{adobe-photoshop}}の『生成塗りつぶし』で合成してみるんです。生成した画像に多少、違和感があったとしても、パツパツした服の様子や肉の動きがわかれば、資料としては十分。この質感を参考に{{illustrator}}でアタリを描きます。ここまでくれば、あとはディテールを描き込んで完成を目指すことになります。

これまではいろいろなAIを使い分けていたせいで、参考資料として生成した画像がどこでどう作ったものか、わからなくなってしまうこともありましたが、いまは{{photoshop}}で{{firefly}}、Gemini(Nano Banana)等複数の生成モデルを使うことができます。いくつものツールを行ったり来たりしないでいいのは、やっぱり便利ですよね」

3DポーズモデルのポーズをPhotoshopへ読み込み、写真を参考にしながらキャラクターの動きを検討する作業例。

「イージーポーズ」で作成したポーズ画像を{{photoshop}}に読み込み、{{STOCK_ASSETS}}の写真を参考画像として追加

ブレイクダンスのポーズを取る人物写真を参考に、Adobe Illustratorでキャラクターのラフスケッチを作成した例。

{{photoshop}}の「生成塗りつぶし」(Gemini 3・NanoBanana)で合成した画像を元に{{illustrator}}でアタリをとる

Adobe Illustratorで作成した線画に色を付け、キャラクターイラストへ仕上げる工程を示した比較画像。

{{illustrator}}でディテールを描き込み、着色して完成

ポーズアプリで作った画像を{{STOCK_ASSETS}}素材と組み合わせて、参考資料を生成する。こうしたプロセスを踏む背景には、商業イラストレーターとしての権利への配慮があります。

「生成AIについて、僕が一番気にかけているのは、商用利用ができるかどうか、生成したものが誰かの権利を侵害していないかどうか、です。
その点、アドビの{{firefly}}なら商用利用も問題ありませんし、自分のイラストに対して生成AIの機能を使うぶんには権利を侵害する可能性もありません。{{photoshop}}上のGemini(NanoBanana)で生成したものも、あくまで資料として参考にするに留めるようにしています」

思いがけない配色に出会える「生成再配色」

生成AIを活用した機能を搭載しているのは、{{photoshop}}だけではありません。{{illustrator}}にもさまざまな機能が次々と追加されています。

「最近、{{illustrator}}に搭載された機能のなかで、便利だと思ったのは『生成再配色』です。カラーが決まっているwebサイトや雑誌に合うトーンを検討したいとき、いろいろな配色パターンを試せる『生成再配色』を使えば、イメージを掴みやすくなります。

ほかにも、手癖で決めてしまう色をいつもと違うふうにしたいときや、どうしても配色がしっくりこないとき、『生成再配色』で色を変えてみると、自分では思っても見なかったようなアイデアが見つかることがあります。迷ったときに、違う人の意見を聞く……そんな活用ができるんじゃないかと思っています」

Adobe Illustratorの生成再配色機能を使い、同じキャラクターイラストの配色バリエーションを作成している画面。

「生成再配色」を使ったシミュレーション

Adobe Illustratorの生成AI機能メニュー。回転ビュー生成、シーン作成、生成再配色などの機能一覧が表示されている。

{{illustrator}}の生成AI機能は、コンテキストタスクバーやツールバーからアクセスできる

ベクターのままイラストを広げる「生成拡張」

{{illustrator}}のデータをベクターデータのまま拡張できる「生成拡張」も、生成AIを使った機能のひとつです。

「イラストの背景を少しだけ伸ばしたいときや、サイズを変更する必要があるときに便利な機能だと思います。ただ、僕のイラストが描き込みが多いこともあり、拡張した部分が崩れてしまうことがあるので、ある程度、修正をすることを前提にすれば使える機能だと感じています」

キャラクターイラストを使って作成したサービスカウンター風の背景イラスト。収納棚の前で店員が案内する様子が描かれている。

オリジナルの状態

Adobe Illustratorで制作したキャラクターイラストを、サービスカウンターの背景デザインと組み合わせた完成イメージ。

「生成拡張」で上下を拡大した状態

イラストの微調整にも使える「ターンテーブル」

{{illustrator}}の「ターンテーブル」は、ひとつのイラストデータから異なる角度のイラストを生成し、ターンテーブルのように回転させることができる機能です。-180°から180°まで15°刻みでイラストを生成するほか、上下30°の角度でもイラストが生成されます。

「僕の絵柄だと、回す角度を増やすと破綻してしまうことがありますが、イラストの角度を微調整したいときには便利な機能ですね。

少し手の動きを変えるような修正なら、{{illustrator}}上ですぐに対応ができるのですが、人の向きを大きく変えるような修正はゼロから描き直しになってしまいます。そういうときに『ターンテーブル』を使って、角度を調整し、納品クオリティに仕上げることができれば、イラストレーターとしてはすごく旨みのある機能になると思います」

Adobe Illustratorの回転ビュー生成機能を使い、シーツをかぶった人物と猫のキャラクターを異なる角度から表示したバリエーション例。

ターンテーブル使用例❶ハロウィーンコスプレの子どもと猫のイラストにターンテーブルを適用

Adobe Illustratorの回転ビュー生成機能を使い、丸まって眠る猫のイラストを側面・斜め・背面など複数の角度で生成した例。

ターンテーブル使用例❷猫のイラストをもとに角度をつけたものと正面を作成

イラストレーターとしての生成AIとの向き合いかた

生成AIをはじめ、AIを使った技術はいま、急激なスピードで進化を続けています。日々、変化するクリエイティブ環境のなかで、浦野さんはいま、生成AIをどのように捉えているのでしょうか。イラストレーターとしての向き合いかたを聞きました。

「イラストレーターとして生成AIを自分の作品のなかにどう取り入れるかは非常に悩ましい問題ですが、AIを取り入れたことで資料探しが大幅に効率化できたように、生成AIを自分のタッチに沿うかたちでうまく活用することができるのなら、そこで節約した時間を別のディテールを描き込むことに充てられるようにもなります。
その意味でも、僕自身、生成AIをネガティブなものとは捉えてはいません。むしろツールとして表現の幅をもっと広げてくれるんじゃないかという楽しみを感じているんです。
長くイラストレーターを続けていると、どうしても自分の中にある種のパターンができてしまい、仕事に対する新鮮さを感じられなくなってしまうことがあります。そうしたとき、生成AIとの対話を通して、思いついたアイデアをかたちにしてみると、思いがけない見せかたを発見できることがある。生成AIは言わば、自分の想像力を補完してくれる存在であり、“もっとおもしろいことができるよ”とお尻を叩いてくれる存在なんですよね」

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イラストレーターの浦野周平さんが、自身の制作環境でインタビューに応じながら笑顔を見せている。

イラストレーター

浦野周平

株式会社スネイル代表。美術大学在学中よりイラストを制作しはじめ、1999年、雑誌『POPEYE』でShu-Thang Grafix名義にてデビュー。「海外の説明図に出てくるような人物」「80年代初頭の海外ドラマに出てくる脇役」をテーマにコミカルかつわかりやすいタッチで描く。自動車、オートバイ、自転車などの機械系を描くのも得意。

企業広告、web、雑誌、書籍、連載用挿絵、CM、テレビ番組などにイラストを提供しているほか、abingdon boys school、aM、Life RecordersといったミュージシャンのCDジャケットやグッズ類、ウエア等のアートディレクション、グラフィックデザイン等にも関わる。

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