Illustratorは、表現したい人の一番の味方」北井陽菜さんに聞く創作の原点
北井さんにとって{{illustrator}}はどのような存在ですか?
最初は{{illustrator}}はもちろん、パソコンすら苦手だったんです。それでも“作りたい”という想いだけはあって、毎日のように{{illustrator}}に向き合ううちに、自分の身体の一部のように感じられるまでになりました。
仕事がなかったときも、毎日、{{illustrator}}で作品を作り、SNSで発信を続けてきた結果、世界とつながることができました。私にとって、{{illustrator}}はただのデザインツールではなく、表現に必要不可欠なパートナーであり、人生を変えてくれた存在なんです。
いまのお仕事について教えてください。
私はいま、アートディレクターとして活動をしながら、企業の公式案件や自身のSNS発信を中心としたさまざまなブランディング業務に関わっています。
また、SNSを通じて“世界観”でデザイン受注をしてきた自身の経験をもとに、同じように悩むデザイナーさんへのサポートや講座の提供も行っています。
デザイナーを目指したきっかけは?
私は物心ついた頃から何かをつくることが大好きで、描くものと紙さえあれば幸せ……そんな子どもでした。小学生の頃には“絶対ものづくりを仕事にする!”と決めていましたね。
通っていた中学校は原宿にあったのですが、街を見渡すといろいろなポスターが貼ってあって。そうしたものに囲まれているうちに、どんどんデザインへの興味が湧いてきたんです。
決め手になったのは、たまたま美術館で見たアメリカンポップアートとの出会いです。まるで雷に打たれたような衝撃を受け、表現のためのデザインをもっと学びたいと考えるようになりました。
でも、決して絵がうまかったわけではありません。小学生の頃は描いた絵をバカにされることもありましたし、中学校で入った美術部の先生には“あなたは絶対、美大には行けない”と言われるくらいダメだったんです。女子美術大学付属高等学校に進んでからも、周りはみんな上手な子ばかりで、自分だけ最低評価だったこともあります。
そんなふうに言われても、作りたい、描きたいという気持ちだけは途切れることはありませんでした。“やりたいからやるんだ”。その一心で、自分を信じてきた。それはいまでも変わっていませんね。
完全個室ジム・脱毛サロン「アーデルハイド」チラシデザイン(2023)
デザインを学ぶなかで印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
女子美術大学に在学しているとき、私にとってターニングポイントと呼べるできごとがありました。
女子美術大学は活字や活版印刷をはじめ、文字・書体に関する資料を数多く持っているのですが、タイポグラフィーの授業を受けたときに見せてもらったモンセン(『モンセン・スタンダード欧文書体清刷集』)に衝撃を受け、全ページ、コピーを取らせてもらったんです。
それをもとに、紙とデザインを変えた12枚のカレンダーを必死になって作ったとき、“モンセンをすべてコピーした人はいままでにいなかった”、“あなたにはS評価をつけます”と、一番いい評価をいただくことができました。
これまで何を作ってもダメだった私が、はじめて認めてもらえた。これは自分にとって大きな自信になりました。
モンセン・スタンダード欧文書体清刷集の文字をもとに構成されたカレンダー作品
在学中に担当した「日本女子体育大学附属保育園」ロゴ(左)と、浅草九劇「音楽劇 パンピスの森」グラフィック(右)
{{illustrator}}との出会いについて教えてください。
{{illustrator}}を使い始めたのは女子美術大学の2年目のときです。
当時はMacの起動方法すらわからないほど機械音痴で、{{illustrator}}なんて訳がわからないことばかり。授業にもついていけませんでした。
それでも、自分が思い描いていることを表現したいという気持ちだけはあったので、操作を一つ一つ調べながら、とにかく毎日、{{illustrator}}に触れ続けました。次々に出てくる課題をかたちにするために、わからないことがあるとまた調べて……その繰り返しで、少しずつ使えるようになったんです。
いま振り返ると、周りと比べることなく、自分のペースで一歩ずつ進もうと思っていたからこそ、続けられたんじゃないかと思っています。
{{illustrator}}のいいところは?
{{illustrator}}のいいところは、頭の中にあるイメージをそのまま形にできるところです。思いのままに、さらに想像以上のものが作れてしまうのは、{{illustrator}}ならではの魅力ですよね。機能を知れば知るほど、作れるものも増えていく。
でも、私が使っているのはきっと{{illustrator}}の機能の3%くらいだと思います(笑)。ペンツール、長方形や楕円形のような図形を描画するツール、文字ツール、そしてこだわりのポイントである“色”を扱う機能……それさえあれば、私が作りたい世界は十分に表現できますから。
“ヒラメキの女神 メッケラス”を呼び込む儀式と祝祭を柄×柄の衝突で描いた空想世界「MECKERAS CARNIVAL」
大学時代は本当にいろいろな画材、手法を試して創作を行いました。自分の世界観も定まらないなかで、とにかく表現の試行錯誤を続けるなかで、一番、しっくりきたのが{{illustrator}}でした。
左右対称に描く、同じものを描くというような、アナログでは難しい表現が、{{illustrator}}なら思い通りにできる。何より楽しくて、いつまでも作っていられるし、苦痛がひとつもない。自分の体の一部のように描けるんです。こんなツールは、{{illustrator}}だけですよね。
大学卒業後、どのようにキャリアを積まれたのでしょうか。
大学卒業後は、自分の作品を作り、ポートフォリオを充実させることと並行して、デザインTipsの発信を始めました。
2000文字のBlog記事は70本は書きましたし、PinterestやTikTokでも300本は投稿しましたが、バズることはなく、仕事に結びつくこともほとんどありませんでした。
“なんとかしなくちゃ!”と思い、あらためてトレンドや見せかたをリサーチして切り口を変えて作ったのが『デザインのプロが***を作ってみた』シリーズです。これが私にとって2つめのターニングポイントになりました。
このシリーズのうち、りんご飴専門店のメニュー表を作った動画は、TikTokで190万回以上も閲覧されたことで、いろいろなところからお声がけをいただけるようになり、一気に世界が広がったんです。
「デザインのプロがりんご飴専門店のメニュー表 ガチで作ってみた」動画
私にとって、{{illustrator}}はただのデザインツールではなくて、本当に人生を変えてくれた良きパートナーのような存在です。
まったく仕事がなくて、アルバイトをしながら過ごした日々も、{{illustrator}}だけは毎日触って、作品を、そして未来を描いていました。
その{{illustrator}}を使ってデザインをする動画がきっかけとなって、仕事だけでなく、素敵な縁をつないでくれました。
北井さんが創作を続けるモチベーションはどこにあるのでしょうか。
自分だけの世界観や表現したいという気持ちは、どんなにAIが発達しても、決して奪われることはありません。自身のフィルターを通して見てきたものと、身につけてきた知識と技術……そのすべてを集約して作られる世界観は、誰にも真似できない、その人だけが持つ価値なんです。それこそがこれからの時代を生き抜く鍵になると思いますし、表現に関わる誰もが、自身の価値観を大事にできる世界を作りたい。そう思っています。
私はSNSで発信をはじめてから、お仕事をいただけるようになるまで何年もかかってしまいました。いまはそのときの経験を活かして、これからデザインの世界を目指す人たちがよりスムーズにチャンスを掴むためのサポートも行っています。
一人でも多くのデザイナーが、自分らしい働きかたができる日々を実現したい、もっと幸せに生きられる道を作りたい--そんな想いを胸に、活動を続けています。
左:言葉が届かないもどかしさから生まれた“みんなの心に棲む珍獣”を描いた「珍獣★Language」/右:親の無償の愛が創作しか取り柄のない娘の胸に静かな灯を灯したものが語りを描いた「娘への手紙」
表現に悩む人たちにアドバイスをお願いします。
自分が表現したいことを思うようにかたちにできなかったり、周りと比べて落ち込んでしまうこともあるかもしれません。でも、自分の“好き”という気持ちや、誰かに届けたいという想いを持ち続けていれば、必ず届く瞬間があります。どうか諦めずに表現しつづけてください。
“自分の表現で、誰かの心を動かす”……これは本当にすばらしいことですし、デザインにはその力があると信じています。
{{illustrator}}は、表現をしたい、想いを届けたいというあなたの、一番の味方になってくれるはずです。
北井陽菜
アートディレクター/SNS戦略プロデューサー
TikTokで190万回再生を達成した動画をはじめ、累計再生数は3,000万回を突破。TikTok公式PR動画の制作や、Adobe・Pinterestなどの公式イベントにも登壇。アートディレクターとして多数のブランディング案件に携わる一方で、SNS発信を軸に「仕事が向こうからやってくる」新しい受注の仕組みを実現。“デザイン×SNS”を掛け合わせた独自の発信スタイルが共感を呼び、現在はプロモーション・教育・アートの分野で横断的に活動中。
「好きなデザインで、正当な対価を得ながら働く」。そんな未来を叶えるために、再現性あるノウハウを体系化し、オンライン講座を開発・提供している。
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