動画を「回転」させて自由自在に画面を調整する方法
撮影した動画が水平になっていなかった場合、動画を「回転」させることで水平にすることができます。また、演出のために動画を回転させたいという場合もあるかもしれません。いずれの場合も、動画を回転することで、思ったとおりの動画を作ることができます。
ここでは、動画を回転させて、自由自在に画面を調整する方法をご紹介しましょう。
傾いている画面を水平にする
動画を水平に撮影できていないと、動画を回転させて調整しなければなりません。
背景に水平または垂直の物が映っていた場合、ひと目で画面が水平でないことがわかってしまいます。例えば、講義形式の動画で、講師の手前に映り込んだ机の天板が斜めになっている、背景の黒板の縁が斜めになっているなどした場合、画面が水平になっていないことがすぐにわかります。そのような場合は、編集で動画の画面が水平になるように修正しましょう。
動画の向きを変更する
スマートフォンで撮影した動画は、たとえ撮影時に横向きの画面で撮影していても、素材として動画編集ソフトウェアに読み込んだ場合、縦向きに表示されてしまうことがあります。
例えば、電車の車窓からの景色を、スマートフォンの横向きの画面で撮影したとします。その動画を編集ソフトウェアで読み込んだときに縦向きに表示されてしまうと、本来左右になる部分が上下となります。そのような場合に、動画を回転させて、縦横の向きを変更する必要があるのです。
演出として静止画やテロップに角度をつける
メインとなる動画の画面の角度を、演出で変えることはないかもしれません。ですが、動画の上に動画や静止画などを重ねる「ピクチャーインピクチャー」という手法を用いるときには、重ねる動画の角度を変えることで効果的な演出となる場合があります。
テロップ(文字)もピクチャーインピクチャーのように回転させることが可能です。例えば、食べ歩きシーンで「めっちゃウマい!」など、驚きを強調したい場合は、水平や垂直にテロップを入れるよりも斜めにしたほうが効果的な場合があります。このように、演出目的で動画などの素材を回転させることも編集のテクニックといえるのです。
Adobe Premiere Proを使って動画を回転させる手順
動画を回転させる方法は、直接数値を入力する方法と手動で回転させる方法があります。
ここでは、Adobe Premiere Proを使って動画を回転する手順をご説明します。なお、Premiere Proでは、読み込んだ動画素材を「クリップ」と呼びます。
<数値入力で回転させる手順>
1. 回転させたいクリップを「タイムラインパネル」で探し、「選択ツール」で選択します。
2. 「ソースパネル」で「エフェクトコントロールタブ」を選択し、「ビデオ」の「fxモーション」から「回転」項目を選択します。
3. 「回転」の横にある数値を変更することで、動画(画面)の角度が変わります。
<手動で回転させる手順>
1. 回転させたいクリップを「タイムラインパネル」で探し、「選択ツール」で選択します。
2. 「プログラムパネル」で「選択ツール」を選択し、画面四隅に表示されている「バウンディングボックス」の外側にカーソルを近づけます。
3. マウスカーソルが回転用のカーソルに変わるので、変更したい角度になるようにドラッグします。
動画を回転させた場合、そのままでは四隅に動画が表示されず、黒い部分ができてしまいます。また、縦向きの動画を横向きに回転しただけでは、表示される画面の枠は縦のままです。編集作業をスムーズに進めるためにも、このような画面を調整する必要があります。
続いては、Premiere Proで回転させた動画を調整する方法を見ていきましょう。
四隅の黒い部分を見えなくする
四隅に黒い部分ができてしまった場合は、動画を拡大することで調整できます。数値を入力して動画を拡大する場合は、「fxモーション」の「スケール」横の数値を変更します。また、手動で動画を拡大する場合は、「プログラムパネル」で「選択ツール」を選択し、画面四隅に表示されている「バウンディングボックス」の外側にカーソルを近づけ、拡大用のカーソルに変わったら外側に向けてドラッグします。
なお、動画を回転・拡大させた場合、水平と垂直を修正できても、思ったような画面にならないことがあります。例えば、動画を回転させる前は人物が画面の中央にいたのに、動画を回転させた後は左右どちらかに寄ってしまうことがあります。このような場合は、画面を拡大させると同時に、画面の位置の修正も必要です。
数値入力で修正する場合は、「fxモーション」の「位置」横の数値を変更します。また、手動で修正する場合は、「プログラムパネル」の「選択ツール」を選択し、画面をダブルクリックで選択してからドラッグします。
表示画面のサイズを修正する
縦向きの動画を横向きに回転できたものの、表示されている画面の枠が縦向きのままの場合は、「フレームサイズ」を変更することで調整できます。
表示画面のサイズを変更する場合は、「プロジェクトパネル」で変更したい動画を選択し、右クリックで「クリップに最適な新規シーケンス」を選びます。次に、動画を選択したまま「シーケンス設定」を選びます。「シーケンス設定」ウインドウが開かれたら、「フレームサイズ」の縦と横の数値を入れ替えましょう。最後に「OK」ボタンを選択すれば完了です。
動画の回転を使って、より見やすい動画に編集しよう
スマートフォンや手持ちカメラでの撮影は、水平がとれないことも少なくありません。また、動画を演出する上で画面を斜めにしたいこともあるでしょう。
そのような場合は、動画を回転させることで思いどおりの画面を作ることができます。動画編集の技術のひとつとして、使ってみてください。
(取材協力:高澤 けーすけ)