IT戦略としてのコンテンツ管理の条件
IT部門とマーケティング部門のニーズを両立するには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CIOや情報戦略担当役員をはじめとするITリーダーは、各事業部門のビジネスニーズと、IT部門の優先事項のバランスを取る、という課題に絶えず直面しています。マーケティングを例に取ってみましょう。マーケティング施策を展開する各事業部門は、IT部門の手を借りることなく、最新のコンテンツを効率よく顧客に配信したいと考えています。対するIT部門は、システムを保護し、アクセスを制限したいと考えています。
 
どのような状況においても大切なことは、自社の顧客を満足させ、自社を成長させる、という共通の目標に向かって全社一丸となって歩むことです。顧客は常に「自分のニーズを満たす情報」を求めています。顧客志向であること、すなわち常に顧客を満足させることで、自社の成長につなげる、それが現代の企業にとって最優先の経営課題です。そうした環境において企業に求められるのは何でしょうか。顧客の期待する情報をタイムリーに届けること、つまり、第一にさまざまな情報を載せた多数の有意義な「コンテンツ」をあらかじめ準備しておくことと、第二に顧客が求めたときに該当するコンテンツをすばやく臨機応変に提供できるよう「管理」することです。そして、このふたつの要件を満たす仕組みが、コンテンツ管理システム(CMS)です。
 
デジタル時代のいま、CMSに求められる要件も大きくかわりました。次世代のCMSは、次のようなマーケティングニーズとITニーズを両立させる役割を果たさなければなりません。
 • 業務担当者の権限を拡大しながら、システムを保護する
 • コンテンツを迅速に配信しつつ、コストを削減する
 • 一貫したブランディングを維持しつつ、ブランドリスクを低減する 
space
かの有名な科学者アルバート アインシュタインはかつて、「人生とは自転車のようなものだ。倒れないようにするには走り続けなければならない」と述べています。
 
この言葉は、変化の速いITの世界にもうまく当てはまります。ITリーダーは日々、リスクとイノベーション、コストと価値、効率性と品質を天秤にかけています。そしてその視線は常に、「企業を前進させ続ける」という目標に向いています。現状維持は企業の老衰を意味するからです。ここでの最も大きな課題は、IT統制、セキュリティ、コスト削減という、以前から取り組まれているIT部門に固有の優先事項と、各事業部門の野心的なニーズのバランスを取ることでしょう。
 
顧客志向の企業におけるITリーダーとしての成功は、顧客中心の大きな目標に向けて事業部門といかにうまく連携するかにかかっています。調査会社のEconsultancyによれば、マーケターは優先順位リストの最上位に顧客体験とコンテンツマーケティングを置いています。ITリーダーも顧客志向の必要性を認識しており、Deloitteによれば、顧客が企業にとって最優先であると答えた人は57%に上ります。
 
しかし、有意義なコンテンツと、そのコンテンツを臨機応変に提供することに適した情報基盤がなければ、顧客体験の構築は失敗し、ひいては経営目標を達成することはできません。デジタル変革というもっと大きな視点で見ても、主導的な役割を果たすのはコンテンツです。そして、チャネルをまたいで一貫性のあるコンテンツを活用した体験を構築し、分析と顧客データにもとづくパーソナライゼーションを実現することが、優れた顧客体験の実現には欠かせません。そのためには、各事業部門とIT部門の協調を図り、持続的に維持されるような仕掛けが必要となります。
 
このような市場の変化という観点から見ると、多くの企業では現行のCMS基盤の陳腐化やレガシーシステムの限界に直面しています。それが、顧客満足度の低下、IT部門の負担増、事業部門とIT部門の間の摩擦といった問題を招いています。例えば、マーケターは担当者の権限を拡大し、コンテンツをすばやく配信し、ブランドメッセージの一貫性を維持したいと考えていますが、IT部門はアクセスを制御して、システムを保護し、コストとリスクを抑制したいと考えています。
 
成功の鍵を握るのは、それぞれの手法が異なっても、目的地は同じ、つまり顧客の満足と自社の成長であることを認識することです。次世代のCMSであれば、IT部門と各事業部門のニーズを両立させることができます。そうして社内の連携が深まるにつれて、強力な顧客体験を構築できるようになるでしょう。 
space
次世代CMSで的確なバランスを保つには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユーザーの権限拡大とシステムの安全性

各事業部門は変化する顧客ニーズに対処するために担当者の権限を拡大したいと考えますが、IT部門はシステムの安全性を維持することを重視します。 
規制の厳しい金融業界で重要なものは俊敏性であり、顧客は規則や法律の変更をすぐに知らせてほしいと考えています。投資管理会社であるMorningstarでは、既存のCMSを最新の基盤に置き換えることにより、コンテンツ制作者とマーケターによる重要な更新を、これまでより迅速に公開できるようにしました。また同社のIT部門は、マーケティング部門によるwebサイトの構築、変更、管理を効率化するべく、テンプレートとコンポーネントを開発しました。このとき採用したアジャイル開発手法には、公開までに要する時間を短縮するとともに、IT部門への作業依存度を低下させるというメリットがあります。
 
Morningstarの事例のように、次世代のCMSは、変わりゆく顧客の期待に担当者がすばやく対応できるようなものでなければなりません。それと同時に、IT部門の最優先事項として、システムのセキュリティを維持する必要があります。この両方を実現するために、CMSに求められる要素を以下に示します。  

すぐに利用できる機能 
CMSは、つどコストを要するものではなく、担当者がすぐに成果を得られるものでなければなりません。機能の80%以上をマーケターのような業務担当者がすぐに利用でき、一方で、必要に応じたカスタム開発やテクノロジー設定の余地も求められます。これにより、利用者の生産性と自己解決能力が高まるだけでなく、CMSに対する投資の回収率が高まります。  

ユーザーアクセス権
各事業部の利用者の増加に伴うリスクを減らすために、CMSへのアクセスを統制し、webサイトのコンテンツを制作、表示、削除、編集できる担当者を明確に規定します。グループレベルのアクセス権を設定することで、権限構造が単純化されるだけでなく、システムの長期的な維持管理が容易になります。  

高度なセキュリティ管理 
CMSは、システム基盤やアプリケーション、サービスを保護するためのセキュリティプロセスと統制能力を備え、ISO27001、SOC2、HIPAA、FERPA、FedRAMPなどのセキュリティ認定や標準、規制に準拠している必要があります。 
space
俊敏なチームとコストの低減
マーケターはコンテンツをすばやく配信したいと考えていますが、ITリーダーはコストを低く抑え、リソースを節約することを重視しています。
金融機関のUBSは、コンテンツの一元管理がマーケティングに役立つことを理解していました。UBSの企業webサイトは50,000ページ以上、イントラネットは100,000ページ以上に上ります。そのため、技術的な知識がなくてもサイトをまたいで構成要素を再利用でき、ワークフローを効率化し、必要に応じてすぐにweb公開できることが求められていました。また、社外の顧客、社内の従業員といういずれの訪問者に対しても動的にコンテンツを配信し、結び付きを強めたいと考えていました。しかし、従来のCMSでは、サイトを維持し更新することですら困難でした。
  
そこで、次世代のクラウド対応CMSを導入。これによって開発者とコンテンツ制作者は、顧客向けwebサイトとイントラネットサイトの両方で、ボタンやフォームフィールド、グラフィックなどの構成要素を再利用できるようになり、コンテンツの更新も迅速に公開できるようになりました。 
Elian Kool
UBSのように、クラウド対応CMSと統合プラットフォームを利用すれば、ハードウェアやライセンスの予算を増やしたり、専門スタッフを雇用したりしなくても、増大するコンテンツの需要をタイムリーに満たすことができます。 
 
クラウド対応 
クラウド対応CMSであれば、ハードウェア、スタッフ、ソフトウェア開発のための初期費用をかけずに、コンテンツやデジタルアセットの制作、管理、配信に要する時間を短縮できます。クラウド内のサイト数が何百、何千まで拡張すると、マルチサイト管理の効率が高まります。  
 
ハイブリッドCMS
マーケターは常に、新しいチャネルやデバイス、無数の顧客接点をうまく取り扱う必要に迫られています。この課題に対応するには、適切な顧客体験を構築できる、オープンフレームワークと柔軟性を備えたハイブリッドCMS環境を選択する必要があります。 
CMSアーキテクチャの定義
ハイブリッドCMSを選択すれば、ページ構造はIT部門が制御しつつ、ページのコンテンツ公開や変更は事業部門に任せることができます。つまり、事業部門はビジネスニーズに即したweb体験を展開できる一方で、開発者はコンテンツを再利用して、シングルページアプリケーション(SPA)やスマートウォッチアプリなどのカスタムプロジェクトを容易に構築できます。  

統合プラットフォーム
既存のアプリケーションやシステムに投資してきた費用やリソースのことを考えると、新たな基盤を導入して既存の基盤を切り捨てるのは、賢い選択ではありません。したがって、データベース、CRM、EC基盤などの既存システムとうまく連携できるCMSを選ぶことが重要になります。 
Carol Fineagan氏(Franklin Covey、CIO)
「何よりもまず、多くのAPIを備えたシステムを探しています。そのようなシステムは、他のシステムとの統合が容易だからです。前進するために、持っているものをすべて捨てる必要はありません」
Carol Fineagan氏
FranklinCovey、CIO
同時にCMSには、コンテンツとアプリケーションを単一基盤の上で一元的に管理し、コンテンツの展開と同様にアプリケーションの展開も容易にする、という役割が求められます。
space
一貫性のあるブランディングとリスクの低減
マーケターはブランドの一貫性とアイデンティティについて懸念していますが、IT部門は企業のブランドを大きく損なうリスク上の問題を心配しています。
世界的なテクノロジーおよび製造企業であるPhilipsは、複数の地域にまたがる500名以上のコンテンツ制作者の権限を拡大する、新しいデジタル基盤を構築したいと考えていましたが、その際に重要視していたのが、ガバナンスでした。一貫性のある顧客体験を維持しながら、製品とブランドをプロモーションするための動的コンテンツの制作、配信、ローカライズを標準化する方法を求めていたのです。それと同時に、高品質なコミュニケーションとブランド標準への準拠を維持するために、より厳格な業務統制をおこなう必要があると考えていました。 
 
CMSの刷新により、フロントエンド用のページテンプレートを使用して、共通のルックアンドフィールの構築を実現しました。またアセット管理機能により、ページを構成する画像や動画などの素材要素の管理方法を標準化し、コンテンツ作成者がドラッグアンドドロップ操作するだけでアセットを活用できるようにしました。
 
あらゆるコンテンツの一元管理を実現することによって、何をページに組み込み、誰に作成権を付与するかを、マーケティングマネージャーとブランドマネージャーが管理できます。また、コンテンツをページに追加する作業者は誰でも、企業のブランドガイダンスやコンテンツ標準に関するトレーニングを受けるという取り組みを行い、正しい承認手順の遵守を維持しています。  
Joost van Dun氏(Philips、コーポレートエクスペリエンスおよびドットコム担当マネージャー)
IT部門は、ブランド管理については重要な役割を担いませんが、ブランドリスクの低減については中心的な役割を果たします。社内のデータやシステム基盤のセキュリティが損なわれると、大きな損害が発生します。システムの保護は最初の防衛線ですが、発表期日前の誤掲載、改訂済の古い名称の使用、年号の誤記のような、コンテンツ制作における人為的なミスを減らすことは、マーケターが誤ったメッセージを不適切なオーディエンスに配信した場合に生じるブランド価値の低下を抑える有効な方法です。  
 
人工知能(AI)を活用すれば、コンテンツをよりインテリジェントなものにして、顧客の期待に応える体験を作成、管理、提供し、ビジネスを推進できます。これにより、レガシーシステムで同じことをしようとした場合にIT部門に課せられる負担を低減し、機械的な反復作業に費やしていた時間を節約し、ミスを減らすことができます。 

 

space
AI:ヒューマンエラーを減らし、ブランドリスクを限定
space
強力な戦略的パートナーを利用してコンテンツ体験を向上
事業部のマーケティング担当者やサービス担当者などが、より優れた顧客体験を提供できるようにするためには、利用価値の高い実績あるテクノロジーと信頼できるビジネスパートナーが不可欠です。チームの調和を保ち、ビジネスニーズを実現するための鍵は、Forresterが「顧客体験のテクノロジーとコンテンツ配信のバックボーン」と呼ぶ次世代CMS基盤です。 
アドビ


アドビが選ばれる理由

 
次世代コンテンツ管理プラットフォームを活用して、IT部門とマーケティング部門がより優れたコンテンツを提供する方法について詳しくは、「魅力的なブランドストーリーを届けるための、コンテンツ管理」をご覧ください。
space
Digital Intelligence Briefing: 2017 Digital Trends」、Econsultancy(2017年2月)

Giselle Abramovich、「 “IT and Marketing Have to Be in Lockstep,” Says FranklinCovey CIO」、CMO.com(2017年9月5日)

Investing in the Future」、アドビのユーザー事例:Morningstar(2017年8月)

Khalid Kark、Mark White、Bill Briggs、Anjali Shaikh、「 Navigating Legacy: Charting the Course to Business Value」、Deloitte(2016年11月10日)
Quadrant for Web Content Management 2017」、Gartner(2017年7月)

Mark Grannan、「 The Forrester Wave™: Web Content Management Systems, Q1 2017」、Forrester(2017年1月24日)

Philips Crafts a New Digital Identity」、アドビのユーザー事例:Philips(2017年2月)

Ted Schadler、Stephen Powers、Steven Kesler、「 The Forrester Wave™: Web Content Management Systems, Q1 2015」、Forrester(2015年2月4日)

UBS, delivering superb customer and employee experience online」、アドビのパートナー事例:UBS(2016年10月)