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「顧客体験戦略」を担うリーダーが取り組むべき4つの施策

2017年12月11日

【POINT】
  • 30%の企業では、顧客体験向上に向けての具体策はおろか、顧客体験のマネジメントはいかにあるべきかについて全社合意が取れていない
  • 顧客体験戦略は、各社のビジネス、ブランド、将来的なビジョンを反映するものでなければならない
  • 顧客体験にもとづく他社との差別化は長期的な取り組みになるが、たどるべき道筋は明確にできる

多くの企業の経営陣にとって、「顧客体験(CX)」に関わる戦略は、避けようのない経営課題となっている。これは、業界、地域、企業の規模に関わらず、広く共通していることだ。
 
ある調査によると、顧客の10人のうち9人が、顧客体験の悪さを理由にその企業を見限り、他社に乗り換えた経験があるという。そして企業の経営陣の90%以上は、顧客体験(の向上)を、この先数年にわたる自社の優先事項として挙げている。しかし、30%の企業では具体策はおろか、顧客体験のマネジメントはいかにあるべきかについての定義を持ち合わせておらず、社内全体での合意も取れていない。 
 
なぜ、このようなズレがあるのか。優れた顧客体験が自社の利益となることに疑いの余地はなく、早急な対応の必要性を実感しているのに、なぜ企業は顧客体験の向上に向けて全力で取り組むことができないのだろうか。
 
 

顧客体験を向上したい。でもどこへ向かえばいいのかわからない

 
顧客体験を向上したい。でもどこへ向かえばいいのかわからない
 
答えの一つとして、「全力で取り組む」とはどういうことか、企業が理解できていないという点があるだろう。言い換えると、「顧客体験を向上したい」という願望は、現状から変化し、どこか目的地に達しなければならないことを示唆している。「我々はどこに向かっているのか、どうしたらそこにたどり着けるのか」という問いが、戦略の要諦となるだろう。
 
筆者の所属する顧客体験マネジメント企業McorpCXは、これまで、フォーチュン100に入る企業数社、そして中堅リーダーも含む複数の企業と、顧客体験の向上に取り組んできた。その際、どの企業も「どこから始めてよいのか、いまひとつわからない」状態だった。そこで重要になるのが、顧客体験のための戦略だ。米テクノロジーサービス企業Aberdeenグループのレポート、「Customer Experience Strategy: Get It Right To Drive Success(顧客体験戦略を成功へと導く方法)」では、顧客体験戦略を担うビジネスリーダーたちの、戦略の策定と実行における主な取り組みを調査している。
 
 

適切な戦略を立てているビジネスリーダーの取り組みには、4つの共通点がある

 
適切な戦略を立てているビジネスリーダーの取り組みには、4つの共通点がある
 
適切な戦略を立案し、顧客満足に向けた施策を指揮するビジネスリーダー、いわば「CXリーダー」に共通する取り組みとして、以下の4つが挙げられる。
 
 

顧客満足に向けたCXリーダーの施策(1):

自社の企業文化を顧客中心に変革する

 
 
自社の文化を顧客体験に反映させることは、極めて重要となる。変革を実現するには、自社にとって「顧客中心」「顧客第一」とは何を意味するのか明らかにし、全社員に伝達していかなければならないからだ。
 
 

顧客満足に向けたCXリーダーの施策(2):

ブランド戦略と顧客体験戦略を連携させる

 
 
顧客のリアルな期待値を設定するのはブランドであることを認識し、顧客からの期待に応えられるよう、自社のブランド戦略と顧客体験戦略をしっかり連携させることが不可欠となる。
 
 
 

顧客満足に向けたCXリーダーの施策(3):

顧客体験の責任者となる幹部職を設置する

 
 
顧客体験の取り組みを成功させるには、全社的な取り組みが不可欠となるが、全社の理解を得ること自体、大きな課題となり得る。それなりの影響力を持って全社員を先導し、啓発に勤め、ビジョンを伝えられる幹部が必要となる。
 
 

顧客満足に向けたCXリーダーの施策(4):

経営戦略と顧客体験戦略を整合させる

 
 
ブランド戦略と同様、経営戦略も顧客体験戦略と整合性が取れていなければならない。例えば、イノベーションを競争力としている企業であれば、安売りで勝負している企業、きめ細かな顧客サービスが売りの企業とは、企業姿勢や顧客体験の期待値は当然異なるはずだ。
 
 

正しい顧客体験戦略は、企業によって異なる

 
正しい顧客体験戦略は、企業によって異なる
 
顧客体験戦略は、多くの形をとりながら、複数の目標を同時に達成しなければならない。実施策につなげやすい具体性と、誰にでも理解できるわかり易さが求められる。ときには、相反関係にある要件同士のバランスを取ることも必要となる。まず、顧客にどう感じてもらいたいか、どんな体験を提供したいか、どのような層を顧客として想定しているのかを明らかにする。さらに、社員にどう動いて欲しいのか、どう指導していくのかを明確にし、自社に戦略を深く根付かせるためのガイダンスを提供するのも、顧客体験戦略の役割だ。
 
ビジネスを取り巻く現実は厳しく、どの企業にも適用できる万能な顧客体験戦略というものは存在しない。これは、どの企業にも効果をもたらすブランド戦略やビジネス戦略など存在しないことと一緒だ。当然ながら、顧客体験戦略は、自社のビジネス、ブランド、将来的なビジョンを反映するものでなければならない。これらすべての整合性を取り、社内の人々に情報とインスピレーションを提供しながら、将来的な道筋を明確に示すという仕事は、難しくはあるが、大きなチャンスと捉えることもできる。
 
 

地道な取り組みから見えてくる顧客体験向上のポイント

 
地道な取り組みから見えてくる顧客体験向上のポイント
 
顧客体験戦略の策定とその伝達/啓発には、多大な労力を要することは間違いない。しかし、程度の違いこそあれ、その見返りは労力を補って余りある。優れた顧客体験にもとづく他社との差別化は、長期的な取り組みになるが、その道筋は具現化し明確化することができるはずだ。
 
目標地点への道筋を明確にし、そこに向けて全力で取り組んでいけば、ある時点を境として、組織、データ、テクノロジー、プロセスがすべてシンクロするようになる。その時点に達するとき、社員だけでなく、熟考された戦略の受益者たる顧客も、努力の成果が実感できるだろう。
 
 
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