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B2B企業が手間とリソースを投下すべき「ABM」の可能性 | UNITE

2016年07月28日


【POINT】

  • どの業界でも、既存客は新規顧客より多くの収益を、より短期間で、しかもより少ない労力でもたらしてくれる可能性を秘めている
  • 既存客の営業サイクルは、新規顧客よりもかなり短い
  • 「アカウント ベースド マーケティング(ABM)」は、競争力を保つ上で必須のものだ

 

製造業やハイテク企業などのB2B企業におけるマーケターの役割は、新しい商談機会を開拓することである。さてここで、膨大な数の機会がマーケティングの対象にされないまま、毎日眠ったままになっていると言ったら驚くだろうか?
手の届く場所に大量のリードが放置されていると言っても、信じてもらえないかもしれないが、気づいて欲しい。それはつまり、既存客である。

すでに「獲得」済みの顧客への訴求に手間とリソースをかけるのは、一見無意味に思えるかもしれないが、実は大いに努力に値する。どの業界でも、既存客は新規顧客より多くの収益を、より短期間で、しかもより少ない労力でもたらしてくれる可能性を秘めている。どんなビジネスであろうと、この潜在的な利益に働きかけない手はない。既存客に特化したマーケティング施策を行っていない企業は、知らないうちに競合に遅れを取っている可能性がある。そこで「アカウントベースドマーケティング(ABM)」が必要となる。

既存客が「金の卵」である理由

EngagioのCEOであり、B2Bマーケティングの第一人者であるジョン ミラーは、ABMの定義とは次のようなものであると述べた:

アカウント ベースド マーケティング(account-based marketing: ABM)とは:

「特定の顧客アカウントにおいて、パーソナライズされたマーケティングと営業活動を連携させ、新たな機会をみつけ、エンゲージメントを深めるための意図的な市場開拓活動」

このABMによって多くの「新たな扉」が開かれるのを待っているのだ。

長年のキャリアを通じ、エンタープライズ企業で経験を積んできた筆者は、「リピーター」客の価値についてはよくわかっているつもりだったが、それでも我々Altifyの調査で明らかになった「既存客がもたらす価値」の大きさには驚いた。我々が調べたすべてのカテゴリーにおいて、既存客は、新規客よりも投資に対するリターンが大きい存在であることがわかったのだ。

特に重要な調査結果は以下の通り。

  • 既存客での商談勝率(win rate: 取引が成立する割合)は、新規客よりも顕著に高く、多くの回答者が50%以上と回答している。
  • 既存客の営業サイクルは新規よりも短く、新規客の営業サイクル日数は、既存客にくらべ263%多い。
  • 一般的に、商談規模も既存客のほうが大きい。一部回答者によれば、既存客との取引の規模は、平均的な新規案件よりも162%大きいと回答している。
  • 既存顧客は、企業の持つ製品ポートフォリオからより多くを買うようになる。商品が気に入った既存客は、取引を広げる傾向にある。その取引は、製品ポートフォリオのうち50%から100%にものぼる。

既存客という市場を活用していない企業は、明らかに多大な機会を見逃していることになる。マーケターはもっとABMに注力すべきであるし、これを支援するテクノロジーも必要となる

これは営業チームの課題ではないのか?

なぜ、マーケターが既存客を考慮しなければならないのか。上記の調査結果は、営業担当が既存客に働きかければ良いだけの話ではないのか?と思われるかもしれないが、それは少し違う。

つい最近まで、大部分のマーケターは、貢献したリードの数でのみ評価されてきた。この方法は便利でわかりやすく、最近のソフトウェアのおかげで、比較的簡単に計測できる。しかし問題は、より多くのリードがより多くの売り上げにつながるとは限らない点だ。実際、その逆も大いにあり得る。

営業とマーケティングの間で仕事をしたことがある人間なら、営業担当が「見込みが薄いリード」のフォローアップに時間をかけすぎるという問題をよくご存知だろう。そこまで興味を示していない見込み客に無駄な時間をかけると、それだけポテンシャルの高い案件に営業が割く時間が少なくなることを意味している。リードは多ければ良いというものではないことに、企業はやっと気付きつつある。「大きな可能性を秘めた機会を掘り起こす」ことは、優れたマーケターの得意技であるはずだ。既存客からの新しいリードは、まさにこのカテゴリーに当てはまる。

 

先述の調査から、既存客は、新規客にくらべ50%も商談勝率が高いという驚くべき結果が得られた。営業担当にとっては笑いが止まらないレベルの数字である。しかし、これは営業担当だけでは達成できないものだ。営業部門の時間やリソースは限られており、顧客の履歴やデータへのアクセスも限られている。そこでマーケターの出番となる。

眠っている膨大な商談機会の発掘

調査結果の中でも今マーケターが注目すべきものに、既存客は、まだ購入していない関連製品に関心を示す可能性が高いという点がある。既存客への売り込みにフォーカスすれば、企業は自社の持つ製品ポートフォリオの50%から100%を既存客へ販売できる可能性があるのだ。この数字は、既存客の関心を多様な製品に向けることの重要性を証明している。企業はたいてい既存客との取引履歴情報を有している。その情報を使えば、個々の得意顧客に特化したメッセージを作成し、効果的なターゲティングができるはずだ。顧客データから明らかになる得意顧客のニーズ、過去の購入実績、そして業界情報は、将来的な購買行動の予測に役に立つ。

既存客に特化した販促資料の作成や、彼らに働きかけるベストのタイミング(つまり、顧客にとって都合のよいタイミング)の把握は、有益な取り組みとなるだろう。既存客にどうやって新製品やアップグレード製品を紹介していくかの戦略や、機会の成熟度を計測し、頃合いを見計らって営業にフォローアップを促すメカニズムも必要だ。

こうしたABMの具体策は、適用価値のある企業数の規模から比べると、まだまだ発展途上にある。しかし、今からABMに投資を始めておけば、長期的にみて会社を飛躍的に成長させることになるだろう。既存の顧客ベースをじっくり観察してみよう。ポテンシャルはあるか?既存客に関心をもってもらえるように情報を展開できるだろうか?この極めて大きな可能性を秘めたオーディエンスに、営業チームが働きかけるには? 何か他に、既存客に特化した資料を作れないだろうか?

ABMという施策は、「実施するほうが望ましい」ものではなく、競争力を保つ上で必須のものだ。マーケターとして、テクノロジーのイノベーターとして、そして企業人として、この機会を逃してはならない。自社をレベルアップさせるには、自社にふさわしいABMを確立し、マーケティング活動の一部として取り込まなければなければならない。これを行わずして、企業の可能性を最大に引き出すことはできないからだ。
 

(2016年5月26日 CMO.comの記事より)

Lara Shackelford(AltifyのEVP&CMO)

 

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