小売業界に破壊的な変化をもたらす、新しいコンテンツのトレンドとは

2016年11月10日


【POINT】

  • 小売業界が、顧客を勝ち取り売り上げを伸ばしていく方法を試行錯誤する中、モバイル端末向けの「ショッパブルコンテンツ」という新しいトレンドが注目されている。
  • ショッパブルコンテンツは、商品購入までの道のりに「広告からカートへ」という近道を作る。
  • モバイルショッピングの爆発的な増加は、より多くのブランドが、自社モバイルアプリの外で見込み客を取り込む新しい方法を探し始めたことを意味する。

モバイルにふさわしいショッピング体験

私たちの買い物の仕方は、オンラインショッピングの登場前後で、大きく変化した。今また、次の大きな変化が訪れている。その原動力がモバイルだ。小売業界は激しい顧客の奪い合いを繰り広げている。そうした中、試行錯誤する業界の一部で、新しいトレンドに火がつきつつある。モバイル端末との親和性の高い新機軸のコンテンツ形態で、トレンド発信源の米国では「ショッパブルメディア」や「ショッパブルコンテンツ」と呼ばれている。

「ショッパブルコンテンツ」とはどのようなものか。それは、ある商品を訴求する記事や動画、広告などのコンテンツに、その商品をすぐ購入できるようリンクを埋め込む方法のことだ。先進的マーケターの間では認知度の高いコンセプトだが、使用されてからまだ日が浅く、その真価を開花させるには道半ばの段階にある。

ただそうした初期段階にも関わらず、ショッパブルコンテンツは消費者の買い物の仕方を大きく変容させつつある。背景にはモバイル端末向けのコンテンツマーケティング技術があるだろう。またこれは、マーケターの注力領域とも一致する。世界中のマーケティング幹部を対象にした最近の米Forbesの調査では、「収益アップに最も大きく影響している要素は何か」という質問から、ふたつのトレンドが明らかとなった。「モバイルマーケティング」(48%が回答)と「コンテンツマーケティング(43%が回答)である。

消費者のデバイス利用動向は、昨年、モバイルがPCを抜いた。モバイルシフトとも呼ばれたこの事実を受け、企業のモバイル戦略強化も加速している。割合を増すモバイル顧客に対し、多くの企業では、ソーシャルメディアのフィード、ブログ、カタログなどをどのように取りまとめ、配信していくかに苦心している。そこで、モバイル端末向けにショッパブルコンテンツを提供すれば、顧客は記事や動画の中に出てくるアイテムをタップするだけですぐに購入できるようになる。消費者には、気になった商品にすぐ反応できる利便性が提供される訳だ。

消費者が望む理由

ショッパブルコンテンツが先取的な企業から注目されている理由は、消費者の利便性だけではない。ある調査によると、78%もの消費者が、適度に個人に向けて最適化(パーソナライズ)されたコンテンツを望んでいる。そうした潜在的ニーズに対応し、消費者の個人的な嗜好と関連性の高いアイテムをさりげなく提案できる点も、ショッパブルコンテンツの大きな可能性のひとつだ。つまりショッパブルコンテンツは、「広告からカートへ」という消費者がたどる商品購入までの道のりに、近道を作ることになる。

小売業におけるマーケティングの進展に伴い、今やモバイル端末が年中無休24時間営業のショッピングモールとなりつつある。コンテンツ内に商品情報を配置しておけば、消費者はバーチャルでの買い物がさらに簡単になるので、より魅力的なモバイルモールの体験を実現することができる。実店舗は「実際に出かける」という体験を提供してくれる。一方モバイルモールは、消費者に「いつでもどこでも自分の好みの方法で、すぐにショッピングができる」という、より利便性の高い体験を提供する。

このモバイルモールは、急激な成長を続けている。Flurry Analyticsによると、モバイル用途において、2015年に最も大きな成長を遂げた領域4つのうちのひとつが「ショッピング」だ。これは2014年と比べて、81%の成長に相当する。したがって、2018年までに小売業でのモバイル購入額が7,070億ドル以上に達すると見込んだJuniper Researchの調査結果は、決して驚くに値しない。

モバイルショッピングの爆発的な増加は、より多くのブランド企業が、自社モバイルアプリをまだ利用していない見込み客を取り込むために、新しい方法を探し始めたことを意味している。

コンテンツ体験による差別化

モバイル上で他社とは違うコンテンツ体験の提供に成功しているブランド企業は、消費者に関するデータと知見という貴重な財産を獲得することができる。データを活用すれば、より適切な相手にまとを絞ったオムニチャネルマーケティングを展開できる。例えばMicrozineというサービスでは、洗練されたブランドのインスタグラム画像やYouTube動画、ファッションブログなどのコンテンツをモバイル体験向けにまとめている。そして「シャビーシック(古着や中古品を活かすスタイル)なランプ」「アイリッシュグリーンのカシミアセーター」などをショッパブルコンテンツとして活用し、ユーザーの関心に合わせて提示できるのだ。ブランド中心だったコンテンツから、感情にうったえるショッピング活動へと変えることで、消費者の記憶に残り、ソーシャルメディアでも共有したくなり、特別感を味わってもらえるだろう。

モバイルを手にした消費者は、まさにショッピングモールも手中にした。そしてこれを、単なる「オンライン購入のための手段」から、魅力的な「モバイルショッピング体験」に変えることができるかどうかは、ブランド企業が魅力的なショッパブルコンテンツを生み出せるかどうかにかかっている。

 

CMO.com記事を翻訳


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