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顧客ロイヤルティ戦略のための8つの実践事項で、顧客満足と顧客維持を推進せよ(後編)

2017年03月16日

【POINT】

  • 顧客体験改善の予算は、デジタル、ソーシャル、マーケティング、セールス、ITなど、複数のチームから出し合い、ひとつの予算としてまとめるべきだ
  • 顧客体験のイノベーションは、トップダウンの変革プロセスで行うべきだ
  • チームが独自の顧客体験改善目標を設定し、達成に向けて自主的な決断ができるよう仕向けるべき

(前編はこちら)

顧客体験のパーソナライゼーション(個人に特化した対応)と、顧客ロイヤルティ向上における取り組みを企業が自己評価するために、8つの質問を用意した。前回に続き、マーケターが自問すべき「8つの質問」について、残り4つを見ていこう。

高まる消費者の期待値を満たすために

企業との関わりから得られる価値、パーソナライズ、ロイヤルティに対する消費者の期待値は、かつてないほど高まっている。この記事は、消費者の高い期待を満たすための戦略、アクションプラン、社員のイニシアチブの開発に役立ててもらうことを目指している。

質問5: 顧客とのつながりに必要な、顧客体験/ロイヤルティ/CRMテクノロジーが導入されているだろうか?

コンサルティング企業 Econsultancyでアジア太平洋地域統括ディレクターを務めるジェフリー ゴメス氏は、次のように述べている。

「先々のことを考え、進歩を遂げている企業では、テクノロジー、データ、オーナーシップの3つの要素に注目している」(B&T記事)。

同じくコンサルティング企業Epsilonのアジア太平洋地域統括ディレクター、マイケル カストレバ氏も、この点に同意している。

「データ、テクノロジー、適切な方法論を組み合わせれば、有意義な知見を得ることができる。企業はこうした知見を活用して、顧客体験の向上を図ることができる」。

こうしたコメントを裏付けるケースを見てみよう。靴のオンラインショップZapposでは、顧客の不満を解消し、すべてのチャネルで顧客体験を最適化することを目指して、モバイルアプリ「Zappos Labs」を立ち上げた。このアプリを使用すれば、顧客は街で見かけたアイテムの写真をメールやインスタグラムでZappos社員に送ることができる。すると、そのアイテムをオンラインショップで購入できるリンクが、顧客に送信されてくるという仕組みだ。

さらに、Zapposの顧客サービスエージェントの社員には、「ハピネス体験フォーム」と呼ばれる仕組みがある。これによって、顧客体験向上の使命を果たすよう、リマインダーが送られるようになっている。その狙いは、消費者とのやりとりの中で、少なくとも2回は個人的なメッセージで一人ひとりのニーズに働きかけ、「この対応はすごい」と思わせるような体験を提供するというものだ。

適切なテクノロジーを導入するための実践事項:

  • 会社が導入しているテクノロジーを吟味し、Zapposの例(スタッフへのリマインダー)のように、顧客体験改善のために「まさに今、何ができるか」を考えること。そしてそれぞれの顧客接点において、テクノロジーをどう拡張すれば顧客体験向上に役立てられるかを検討すること
  • 各部署とシステム間で必要となる、情報共有の協力レベルを調べること

質問6: 顧客体験/ロイヤルティを改善していくために、新規リサーチを行う予算が確保してあるだろうか?

Epsilonの調査によると、カスタマージャーニーの理解という取り組みに、専用の予算を確保している会社は7%にすぎないという。そして27%の会社では、ひとつの予算を複数の部署に割り当てているそうだ。

ホームセンター小売Home Depotで、ユーザー体験リサーチを担当するジョナサン セレブリン氏は、次のことを勧めている:

  • 調査結果とそこから学んだ内容は、すべてのチームで共有し、会社全体の「文化」として取り入れていくこと
  • 自社のブランドと製品について、顧客がどう感じているか、すべての部署に理解させるべき

これは、商品やサービスの開発とテストプロセスのあらゆる段階において、顧客の存在を反映させていく必要があるからだ。

改革を進めていく上で、顧客体験改善予算が必須であるということは、CMOたちの間でも理解が進んできている。ただしフォレスターの調査では、予算について以下のように指摘されている。

「CMOは、ただ闇雲に予算を承認する存在ではない。顧客体験改善プロジェクトが、顧客獲得やエンゲージメントなど、マーケターにとって重要なKPIを伸ばせると証明するよう、「顧客体験改善チーム」に指令する、それがCMOの仕事だ」。

顧客体験/ロイヤルティ戦略の予算を確保するための実践事項:

  • 顧客体験の向上に対する予算を確保するには、デジタル、ソーシャル、マーケティング、セールス、ITなど、複数のチームから少しずつ捻出し、ひとつのまとまった予算を取ること。ひとつの部門の予算をCXにつぎ込むのではなく、複数の部門が全体的な顧客体験の向上に貢献するべきだ
  • 顧客にとっての価値とは何か、という判断基準をしっかりと定め、基準に対する実績測定をいつどのように行うか、明確にすること。これは、顧客体験改善予算の必要性を証明し、また、将来的な予算投資を調整する際の根拠となる

質問7: 会社の上層部は、顧客体験プログラムとその担当スタッフを支持しているだろうか?

ガートナーのレポートでは、以下のように記されている。

「消費者は、十分な情報が提供され、スピーディーで便利、さらに自分のために用意された体験を通して取引がしたいと考えている。こうした消費者の要求を理解するビジネスリーダーたちは、これからも増え続けるだろう。競合に先を越されないことが、最優先課題となる」。

また、フォレスター社とハイドリック&ストラグルズ社による昨年の共同リサーチは、次のように指摘した。

「これからのCMOは、顧客の理解を使命とし、顧客第一の考え方を自社内に徹底させていかなければならない」。

会社の上層部が顧客体験改善の取り組みを支援するための実践事項

  • 会社が顧客体験改善で成功するには、関連部署のすべてのレベルで、顧客体験改善の取り組みに合意しなければならない
  • 顧客体験のイノベーションは、トップダウンの変革プロセスで行うべきだ
  • ただし、先の見通しを提供し成功指標を定義するのは、マーケティング部門の責任である

質問8: 縦割りではなく、横方向の連携が強い社風になっているだろうか?

デロイトは2016年のレポートにおいて、変化の激しい今日の市場環境に沿った、新たな組織像を提言している。企業は「チームのネットワーク」というべき組織のあり方を採用すべき、というものだ。チームのネットワークから成る組織では、強固なコミュニケーションが取られ、組織内で横方向の情報の流れが速い。さらにこのレポートでは、以下のようなデータポイントが付け加えられている。

  • 92%の企業は、組織の再編成が非常に重要だと回答している。また80%の企業は、現在組織の再編成中であるか、または最近再編成を完了したと回答している
  • ミレニアル人口の増加、グローバルチームの多様性、顧客との関わり方を改革する必要性といった要因が、柔軟な新しい組織の生成を促している

横方向の連携が強い会社になるための実践事項:

顧客体験の向上に、社員がどのように貢献できるかを検討し、可能性と経験にもとづいたミッションベースのチームに各社員を配置すること

チームが独自の顧客体験改善目標を設定し、達成に向けて自主的な決断ができるよう仕向けること

縦割りの情報フローではなく、組織全体で横串の情報共有を行うこと

(2016年9月29日 CMO.com の記事より)

Ernan Roman(ERDM社 社長、“Voice of the Customer Marketing” 著者)


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