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B2B企業が顧客体験を向上させる3つのポイント:国内半導体大手ルネサスエレクトロニクスの場合

2017年06月22日


 

【POINT】

  • B2Bの顧客行動は、B2Cと同様、急速に大きく変化している
  • B2B企業のwebサイトも、製品視点ではなく顧客視点に立ったコンテンツの拡充が求められている
  • グローバル展開する企業のコンテンツは、一貫したクオリティを保ちながらも、各地域の事情に合わせ柔軟なチューニングを行うべき

 


 

多くのB2B企業において、顧客との関係構築と維持は、対面でのコミュニケーションが重視され、長く営業の仕事として認識されてきた。しかしB2Bにおいても、B2Cと同様、優れた顧客体験を提供することが、他社との競争優位の確立に不可欠であることは同じだ。しかし、B2B企業はB2C企業と比べるとこの認識が弱く、全社的な顧客体験の向上を図る取り組みを、後回しにしがちである。

 

B2Bにおいても、購買行動が大きく変化している

 

いまやB2Cのみならず、B2Bにおいても、顧客の購買スタイルの変化は無視できないものになっている。もちろん、企業の製品購買の意思決定に関与する人々が、いきなり営業担当に購入検討意思を連絡してくれることはまずない。そもそも典型的なB2B企業が扱う産業材は、1回の取引金額が大きいため、担当者は慎重に検討を進めようとする。

そんな担当者にとって、いま特に重要な情報収集源となっているのがwebサイトだ。検討段階で製品について詳しく調べることはもちろん、自社が抱える課題に対する解決方法やその一助となる製品があるか、さまざまな情報を幅広く探すときにもwebを活用している。

これは、一般消費者が商品を購入する前に行う行為と全く同じであり、B2Cで見られる消費者の行動の変化は、B2Bビジネスにも当てはまるということを意味する。

このB2Bにおける顧客行動の変化を認知し、いち早く対応を図った国内B2B企業がある。国内半導体大手のルネサスエレクトロニクス株式会社(以降、ルネサス)だ。世界でもトップクラスのシェアを誇り、グローバル展開を進めるルネサスが行った取組みを紹介しながら、B2B企業が押さえておくべき顧客体験向上のポイントを紹介したい。

 

B2B企業が押さえておくべき顧客体験向上のポイント1:

顧客のニーズに沿った、さまざまなコンテンツを充実させる

 

ルネサスは、マーケティング部門が見込み顧客をいかに育て、営業部門のクロージングにつなげるかを重視した。そこでwebサイトのリニューアルを行い、従来から持っていた「製品情報提供の場」としての機能を拡充させるとともに、「顧客育成(ナーチャリング)の場」として、製品視点ではなく顧客視点に立ったコンテンツの拡充を図った。

ルネサスでは、従来webサイトを「プロダクトアウト」の発想で作成していた。そのため製品に関する情報は充実していたが、「製品に興味を持つ前」の段階にいる見込み顧客に届くコンテンツは不足していた。そこで、顧客が持っている課題の解決方法や、彼らが知りたいであろう情報を提供する読み物的なコンテンツを増やした。このようなコンテンツは、顧客を引き付け、徐々に購買意欲を高めることに役立てることができる。また訪問履歴から、顧客がどのような課題を持っているかを把握することで、その課題の解決に役立つ製品の購入に興味があるかどうか知ることも可能となった。

 

B2B企業が押さえておくべき顧客体験向上のポイント2:

サイト訪問者に、パーソナライズされたコンテンツを届ける

 

ルネサスではリニューアルを機に、製品情報や新たに制作した読み物記事など、膨大な量のコンテンツをデジタル基盤で管理し、それらを顧客行動分析やコンテンツの最適化機能と統合することで、パーソナライズしたコンテンツの出し分けを実現した。

様々なコンテンツを用意しても、それらを全ての訪問者に同じように提供しては、彼らがそれぞれ持つニーズとコンテンツの内容にギャップが生じてしまう。「自分のニーズを満たしてくれない情報」と感じてしまわせては、顧客体験価値の低下につながりかねない。ナーチャリングに不可欠なのは、最適なコミュニケーションチャネルから、最適な時間帯に、最適なコンテンツを提供することである。

 

B2B企業が押さえておくべき顧客体験向上のポイント3:

各地域の状況に合わせ、コンテンツのローカライズを行う

 

グローバル企業の場合、コンテンツの展開は国内だけに留まらない。事業展開している各国で、それぞれサイトを保有しているケースも多いだろう。しかし顧客体験向上のためには、そこに2つの課題が存在する。

  • 各地域で提供する情報のクオリティに差が生まれないよう、一貫した情報を提供する
  • 各地域の顧客ニーズに合ったコンテンツを提供する

つまり、グローバルで一貫したクオリティを保ちながらも、各地域の事情に合わせ柔軟なチューニングを行わなければならない。しかし、対応する言語やコンテンツ数が多いほど、コストや作業負荷がかかるとともに、クオリティのバラつきも発生する。

ルネサスでは、世界9つの地域に向けたサイトを持ち、全6カ国語に対応している。そこで同社は、デジタル基盤の機能を用いて、グローバル規模のコンテンツ運用/制作の簡易化を目指した。

リニューアル後の基本フローは、まず、日本の地域サイト用に日本語版と英語版の2つの標準コンテンツを用意。その他の地域サイトには、その英語版を標準コンテンツとして配信し、地域ごとに必要な言語への翻訳と、その地域に合わせた情報のローカライズを行う形とし、フローの効率化を実現した。コンテンツ制作の時間短縮ができたことにより、顧客への情報提供がよりスピーディに行えるようになった。

 

リニューアルで150%のコンバージョンUPを実現したルネサス

 

webサイトのリニューアルにより顧客体験の改善を図ったルネサスは、まだリリースから半年に満たないながらも、着実な成果の向上を実感している。ドキュメントのダウンロード数/問合せ数などで測定しているコンバージョンは150%向上した。今後は、サイト訪問者のアクションに対して、さらに詳細な提案をすることも実現させていく予定だという。この例は、B2Bにおいても「顧客体験向上」が事業展開の鍵となっていることを示しているだろう。

顧客体験向上に成功したルネサスが、どのようにリニューアルを進めたか、事例紹介も参考にして欲しい。

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