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顧客志向への道筋:真に顧客の期待に応える組織になるための前提条件

2017年08月03日


 

【POINT】

  • 企業と顧客のあらゆるタッチポイントでは、#必ず人間の感情が動いている
  • 企業のブランドに明確なパーソナリティが込められていると、「自分が望むものを提供してくれる存在」として信用され、選ばれる可能性が高い
  • 消費者の注目を得るひとつの方法は、お決まりのパターンや慣習を破り、ありふれた言い方をしないこと

 


 

モノ売りからコト売りへ――。社会へのデジタルの浸透により、このキーワードも現実味が高まった。そうした市場環境で企業が勝ち抜くため、「エクスペリエンス」を磨くことは企業にとって経営課題そのものになっている。アドビはこうした経営のあり方を「エクスペリエンス ビジネス」と呼び、エクスペリエンスのための新たな基盤として「Adobe Experience Cloud」という新たなブランドを発表した。顧客一人ひとりを理解し、それぞれに最適なコミュニケーションを行う、デジタル時代に欠かせない企業情報基盤だ。

エクスペリエンスビジネスで、コトを売る定義は、次の3つだ。

  1. 顧客のコンテクストを理解する
  2. 顧客ごとに最適なコミュニケーションを行う
  3. それらに付随するすべての施策を企業全体として行う

企業が顧客と深く向き合い、理解するために、どのようなデジタルアプローチが必要なのだろう。これら3つのポイントについて考察する。

 

1. 顧客のコンテクストを理解する

 

「コンテクスト」は、直訳すると「文脈」という意味になる。ある時点での「顧客の感情や考え方、嗜好」と考えればわかりやすいだろう。つまり、顧客と接したとき、彼らが何らかの「コト」を期待している、何かを欲している、などの感情の状態を指す言葉と言える。顧客が明確にニーズを言葉に表していない場合も、それは、まだ自身にとって好ましい「コト」が何かを自覚していないだけかもしれない。

 

デジタルの普及により、幸いにも顧客のコンテクストを知る手段は多様にある。そして、ある一定のコンテクストを持った顧客を類型化することで、適切な対応を取ることが容易となる。そのためには、セグメントを規定することが必要だ。顧客がどこから来て、何をして、どこへ行ったのか、を比較し、各顧客の違いを浮かび上がらせる。複数の事象を定義し、それらを指標化して比較表を作ると、やりやすいだろう。

オウンドメディア上での顧客行動によってセグメントを把握すれば、訪問者の興味/関心に応じたコンテンツを提案できるようになる。例えば、ある見込顧客が様々な製品ページのどこを閲覧しているかを、製品カテゴリーごとの「興味度」として指標化。後日再訪問したなら、Adobe Targetを使って自動的にコンテンツ(表示内容)の出し分けを行う。これにより、相手の興味をさらに引き出すことができる。

これをさらに進めると、「Intent(インテント)データ」と「Attribute(アトリビュート)データ」の扱い方を考えなければならない。

 

インテントデータとは顧客の行動データであり、アトリビュートデータとは年齢や性別などの属性データである。先述の例はインテントデータを活用したものだ。では、それにアトリビュートデータを加えるとどのような世界が開けてくるのだろう。

自社が保有するデータを振り返ってみてほしい。多くの企業は、購買データ、CRMデータ、アンケートデータなどの顧客情報(アトリビュートデータ)を蓄積しているはずだ。これらをデータ管理プラットフォーム(DMP)であるAdobe Audience Managerに組み込めば、デジタルの行動データ、対面や郵送などの接客活動からの属性データ(インテントデータ)を掛け合わせ、今までは見えなかった価値あるセグメントが見えてくる。10のセグメントを発見したなら、コミュニケーションも10通りに分けることで、相手に応じた適切な対応を行うことができる。

ここで、コミュニケーションが10通りもあれば、社内の業務負荷やコストが高まると危惧してしまうかもしれない。しかし、それは杞憂だ。例えば、顧客の誕生日に特別クーポンを発行する施策を検討する。「5000円以上購入で500円引き」「全商品10%オフ」「送料無料」など、顧客によって好感を持つアプローチを変えれば、効果も高いだろう。そのとき、セグメントごとに提示する提案内容を自動的に出し分けるAdobe Targetの仕組みを使えば、施策の実現も容易になる。

 

2.顧客ごとに最適なコミュニケーションを行う


多くの企業がカスタマージャーニーマップの策定と活用について模索している。カスタマージャーニーを規定すると、マーケティングチームの意思統一ができるようになり、注目すべき課題を共有できる。一方、カスタマージャーニーマップに具体的な解答は定義されていない。「ある顧客接点において、どう顧客に接すれば最適な結果を得られるか」がわからないのだ

これはカスタマージャーニーマップにおける永遠の課題であり、限界と言えるだろう。それを補うには、デジタルを通じて得られる示唆の活用が有効だ。大切なのは、カスタマージャーニーマップの上でさまよっている顧客が『当然』と感じている“得られる体験”のレベルを満たしつつ、さらにその上を行く価値を提供すること。(※1)ネーションワイドの事例:同社によって家を持つことができた顧客たちが、それぞれの経緯と喜びを語る動画を多数作成し、Youtubeに展開した。

 

そのためには、“コミュニケーションの軸”を規定し、顧客接点ごとに相手の求めるモノやコトを顕在化させるデータとは何か、定義が必要になる。

デルタ航空の例を見てみよう。同社は、近年米調査会社フォレスターリサーチの行った調査において、カスタマーエクスペリエンスを急上昇させたことで注目された。その考え方はシンプルだ。選択と集中の論理で、「ビジネス利用顧客に最適なサービスを提供する」ことにフォーカスし、その基本的ニーズを漏らさずに充たせるようにした。webサイトやモバイルアプリなど、すべてをビジネス利用顧客に好まれるようにデザインし、広告も彼らに対して打つことによって、同社の求める顧客をつかんだ。さらに、問題が発生したときのサービスリカバリー体制を整えた。企業として求める顧客を得て、その顧客に対して優れた体験を提供するというアプローチだ。

また、ホテルチェーンを展開するマリオットグループは、同社の30ブランドのホテルで複数走っていたロイヤルティプログラムを統合した。顧客戦略をロイヤルティ、トラベル、ライフステージという3つのサイクルに分け、それぞれのステージに最適なコミュニケーションを取る施策を実行している。データ戦略の中心はwebサイトだ。顧客のweb行動履歴から、彼らの求めるものを察知し、顧客個人に対して最適な提案を行う。送付するプロモーションメールにも明確な目的を設け、顧客の居るカスタマージャーニーマップ上の位置に合わせてパーソナライズしている。

 

3.組織として顧客に対応する

 

企業全体として顧客志向になることで、エクスペリエンスビジネスは最もその価値を発揮する。そのためには、強力なリーダーシップが必要になる。数年前から語られているL3PS(Leadership、Product、People、Process、Strategy)の考え方が、ここでも有効になるだろう。強力なリーダーシップのもとで一貫した戦略を推進し、製品、人、プロセスという3つのPをバランス良く成長させていく考え方だ。

L3PSを推進するにあたって、組織横断でデジタルドリブンを推進するCoE(Center of Excellence: 中央組織)の設立を考えたい。CoEを置くことで、データとノウハウが各部門に分散した状況は改善され、統率のとれたハブ&スポーク型に変わる。関係部門が成長すれば、その発展型であるマルチハブ&スポーク型になる。ここに至れば、ガバナンスが組織の末端まで行き届く。さらに、社内にデジタルドリブンなプロセスや文化が生まれる。こうして、科学的事実にもとづく顧客体験向上施策を次々と打てるようになる。

 

すでにCoEを設置した企業は少なからずある。そして、その多くの組織はCoEを統括チームと実行チームに分けて運営している。顧客戦略にもとづいてデータ戦略を統括する一方、各部門の「やりたいこと」を実行チームが適切にサポートする役割を担う。こうして、各部門との協力関係が創り上げられる。

たとえば、英銀行 ロイヤルバンク オブ スコットランドでは、実行チームが当初の4人から50人に増えた。これは、デジタルを理解してその恩恵を受けようとする事業部門が増えた証であり、マルチハブ&スポーク型に近づいた先進事例と言えるだろう。

これらの事例を参考に、組織をエクスペリエンス志向にする取り組みをスタートさせてほしい。もちろん、顧客のコンテクストの理解を促進し、顧客との最適なコミュニケーションを自動化するなど、組織全体の活動を支える企業情報基盤の整備も欠かせない。これらを提供するAdobe Experience Cloudを活用すれば、真の顧客志向へ、エクスペリエンスビジネスへと自社を変革させることになるだろう。

 

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