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ターゲティング広告を成功に導く近道は、無駄を省くこと

2017年09月05日


 

【POINT】

  • デジタル広告キャンペーンを実施する前に行うべきは、入念にオーディエンスを計測すること
  • プログラマティック広告は、費用対効果の観点から有効性があると認められる
  • これからは、熟練した職人のように正確さを重視し、無駄を省く姿勢が成功を収める

 


 

ターゲティング広告は可能性に満ちているが、課題も抱えている


熟練した大工は、使う木材の計測をミリ単位以下まで念入りに行う。最初にのこぎりの刃を入れる前に、そして切っている最中にも切った後にも、何度も計測するのがプロの職人だ。デジタル広告キャンペーンもまた、念入りにそして緻密に計画を立て、実施するべきであろう。実際、デジタル広告を実施する前に、2回と言わず3回でも4回でも、入念に計測を行うことが肝要な時代になってきている。

デジタルディスプレイ広告の世界では、今やオーディエンスベースのターゲット広告が当たり前になった。2016年、米国では、ディスプレイ広告費の2/3以上がターゲット広告に費やされたという。米調査会社eMarketerによると、2017年には、プログラマティック広告(複数のデジタルプラットフォームを通じてターゲティングを行い、データにもとづいて自動的かつリアルタイムに買い付ける広告)はデジタル広告予算のほぼ3/4を占めると予想されている。

「ターゲティング広告は、個人ベースでのリーチや見込み客の絞り込みに対応できる」と、アドテクノロジーの専門家は自信を持って語る。一方で広告主企業側には、ダイレクトメール/電子メール/店舗での購入などと同様、成果を具体的な数字で示して欲しいというニーズがあり、この状況は以前から変わっていない。

広告主のデジタル投資は成果を上げているのか? またそれを証明できるのだろうか?過去2年の平均成長率は46%という目覚しい成長を遂げているにも関わらず、マーケティングリーダーからもエージェンシーからも、「ターゲティング広告にはもっとがんばってもらわないと困る」という声が広がっている。それはなぜだろう? その答えを明らかにするために、オーディエンスターゲティングのこれまでの歴史を振り返ってみよう。デジタル広告界において、デジタル広告に携わる私たちが熟練した職人になるまでには、まだ長い道のりがあるとわかるだろう。

 

オーディエンスターゲティングのこれまでの道のり:ターゲティング精度向上に至るまで

 

これまでアドネットワークが推進していたセグメンテーションの仕組みはわかりにくかった。オーディエンスターゲティング技術の登場は、このわかりにくさを解消すると思われていた。そのため、匿名トラフィックに紐付けられた匿名ユーザー集団に働きかけるキャンペーンを行い、1%の10分の1以下というマージンでしか存在しないパターンに、なんとか意味を見出そうと試みてきた。

この試みは、パターン検証を得意とする機械学習とDSPの最適化をもたらした。しかし「アドフラウド」と呼ばれる不正クリックのような虚偽行為の蔓延によって、パターン検証は不透明なものとなり、ロボットのような匿名クリッカーの行為を見逃してしまう、という事態が発生してしまった。この状況を打破する手立てとして使われ始めたのが、例えばハッシュ化されたメールやログイン機能だ。これにより、オーディエンスの顔が少し見えてきた。GoogleやFacebookなど「メディアの壁の内側」に限ってデータを扱える仕組みも、オーディエンスの姿を垣間見ることには役立っている。とはいえ、そうしたオーディエンスデータは壁の外側では利用できないし、重複ユーザーもたっぷりと含まれている。

やがてモバイルの時代が訪れ、モバイル端末からの広告インプレッション数が急増。人々は場面によってPCとモバイルを使い分けるようになったため、オーディエンスを判別するためにデバイス間マッピングが必要となった。そして確率的なデバイスグラフ(複数のデバイスを利用する個別ユーザーを、1人として識別すること)として始まったデバイス間マッピングは、確定的なモバイルアイデンティティへと進化した。規模はまだ大きくないものの、モバイルのおかげで、個人ベースIDへの希望が拓けてきた。

このように、オーディエンスの判別性向上に向け一歩一歩前進を続けたが、キャンペーンアトリビューション(貢献度)という考え方はマーケターの意識から薄れていった。なぜなら、IDが不完全なままなので、Cookieプールの切り捨てのような対処を行っても、データが薄くなるだけで予測精度はそれほど上がらなかったのだ。

今日の業界における“おすすめ”は、アカウントベースマーケティング(ABM)だ。一見新しい手法のようだが、実はそうでもない。かつて「マーケティングファネル」が目指していたことの、再起を図ろうとしている。つまり、20年前のダイレクトメールマーケティングの手法を、トレンディな呼び名に変えたようなものだ。

 

チャネルを越えた共通IDで、デジタル広告の有効性を示せ

 

以上、広告業界に対していささか自嘲的な批判を展開したが、これまでの経緯を見ると、プログラマティック広告には、費用対効果の観点から有効性があると認められる。ターゲティング広告は、多くの広告主にとっては魅力的なものだ。コスト基準なのは魅力的であるし、初期のデジタル戦略よりもずっとわかりやすく、マーケティングの基本にのっとっている。しかし、注視すべき問題もある。それは、デジタル広告キャンペーンに投資している広告主は、同時にほかのチャネルにも多大な投資を行っているということだ。

デジタルオーディエンスと、デジタル以外のチャネルとのオーディエンスをリンクさせる要素として欠かせないのは、「共通のアイデンティティ(ID)」だ。近いうちに、デジタルがそのほかのマーケティングチャネルに及ぼした影響を、正確なリーチで計測することが必須となるだろう。広告インプレッションからwebサイト訪問、Eメール開封、ショッピングモールへの訪問、店舗での購入に至るまで、デジタル予算は、ほかのマーケティング予算と同様、効果を数値化し、客観的に評価できなければならない。

 

ターゲティングの効果を証明していくには

 

多くのキャンペーンでは、複数の顧客接点が事前に設定されているので、これを最適なオーディエンスの定義に役立てることができる。まだ接触していない単なる「潜在顧客」集団を選択するのではなく、まずは、すでにwebサイトを通じて接触している過去数ヵ月分の「見込み顧客」を対象とするべきだ。過去数回分のオンラインキャンペーンについても同様のアプローチをとる。メールデータベースの中から特定の反応をした顧客へ再接触し、オンラインや店舗で購入した顧客にはダイレクトメールを郵送してみてもよいだろう。

今や、顧客の使用しているデバイスや現在地などをもとにして、顧客がどのようなカテゴリーのメディアやwebサイトを好むのか、あらかじめ判断できる時代だ。オンラインでのリーチに注力する、あるいはダイレクトメールや電子メールを併用するなど、どのような場合においても、以前に一度でも接触した顧客の存在は、自社内で一貫して把握しておくべきだ。

これからは熟練した職人のように、正確さを重視し、無駄を省こうとする姿勢が成功を左右するだろう。すぐに広告キャンペーンを開始する前に、少なくとも2回は各オーディエンスの計測を行うことから始めよう。

 

 

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