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小売事業者が消費者の「ショッピング体験満足度」を上げる5つの方法

2017年10月27日


【POINT】

  • 小売事業者には、PC、モバイル、店舗などの顧客接点を統合し、シームレスな体験を創っていくことが求められる。
  • ブランドが取り入れつつあるDTC(Direct-to-consumer)モデルは、小売事業者にとっても、顧客情報の共有や利益幅の縮小防止というメリットがある。
  • テクノロジーがショッピングのあり方を変化させるなか、「実店舗に行く楽しみ」を強調するマーケティング活動が必要となる。


ショッピング体験は進化を続け、ときに急激な変化を見せている。それは小売事業者にも影響を与えており、実店舗閉鎖の増加傾向や、業界を大きく変える合併(Amazonによるホールフーズ マーケットの買収等)などの新しい局面を迎えている。こうした課題に小売事業者が対応していくためには、消費者の商品リサーチや購入行動を分析し、消費者にとって満足度の高い体験を提供していく必要がある。時代についていけない小売事業者もあるなか、今後も発展したい企業には様々な努力が求められる。以下に5つのポイントを解説する。


顧消費者のショッピング体験満足度を上げる方法(1):実店舗とデジタルの統合


消費者は一定の道筋を辿って購入に至ることはなくなり、買い物そのものが流動的かつ「オムニチャネル」な体験になった。小売事業者はそのことを認識しなければならない。PC、モバイル、店舗などの顧客接点を統合し、シームレスな体験を創っていくことが求められる。

どうすればそれを達成できるのか? 購入に関わる全体的な道筋を消費者目線で見るとよい。オムニチャネルのアプローチから戦略を練るために、以下のような問いかけを行ってみよう。

・ 消費者が購入を決めるにあたり、商品をどのように調べているのか?どのチャネルを使っているのか?

・ 購入は主にどこで行われているのか。オンラインか、店舗か?

・ POS、在庫管理、顧客サポートなどのシステムとデジタルチャネルを統合し、データを共有するにはどうすればよいのか?

・ これまで顧客といつ、どこで、どんなやり取りがあったかを示す「持続的な顧客プロファイル」を保持し、常に「その顧客との前回のやりとり」にもとづく対応を行うにはどうしたらよいのか?

webとモバイルから得られるデータは、実店舗での消費者への情報提供と購入促進に利用できる手段として捉えるべきだろう。実店舗の状況が厳しくなっている小売事業者では、客足を増やすことに注力しなければならない。これは、顧客データの活用を増強することで実現できる。データはブランドの方向性の決定に役立つものでなければならない。つまり、店舗への客足を増やせるような形でオンラインとオフラインのデータ統合を行うことが肝要だ。


消費者のショッピング体験満足度を上げる方法(2):DTC(Direct-to-consumer)への対応


今、あるトレンドが発生している。先進的なブランドは、Appleやテスラモーターズなどの例にならって、消費者に製品を直接提供し、販売経路の中間にいる人員の数を抑えている。利益幅が比較的小さく、モバイルやPCを介した顧客アクセスが容易な一部のブランドは、消費者に直接商品を届けるDTC(Direct-to-consumer)モデルに魅力を感じているのだ。

小売事業者としては、このトレンドにどう適応していくべきなのか。まずは、サプライヤーとのデータ共有改善が挙げられる。DTCモデルが好まれる理由のひとつは、メーカーが自社の顧客をより良く知ることができるからだ。サプライチェーンとの顧客情報の共有は、製品開発の改善と、利益幅の縮小防止にもつながる。

次に、小売事業者は、消費者の「ブランド体験」と「店舗体験」をより巧みにリンクしていく必要がある。例えば、アウトドアを趣味とする層に商品を販売するアパレル小売であれば、オンラインおよび店舗内の両方において、広告のメッセージングとコンテンツでアウトドアの楽しみや喜びを強調していくべきだろう。


消費者のショッピング体験満足度を上げる方法(3)アトリビューション測定の技を究める


小売事業者のマーケターにとって非常に難しい課題は、消費者の購入行動に対するマーケティング施策の貢献度をいかにして把握するか、という点だ。「どのチャネルが購入に影響しているのか?」「
どんな広告メッセージに最も高い訴求力があるのか?」「広告コンテンツのパーソナライズはどの程度役に立っているのか?」など。それには、「貢献度分析(マーケティングアトリビューション) 」が、ある程度こうした疑問に答えてくれる。

どのマーケティング施策が「購入」などの消費者行動につながったのか、小売マーケターは取り組みの効果や貢献度を可視化する有効な方法を見つけなければならない。2017年1月のある調査によると、71%の回答者が、ソーシャルメディアやコンテンツマーケティングの貢献度を、マーケティング投資の回収率を見極めるためのトップ課題としている。

それでは、小売事業者にとって「使える貢献度モデル」を編み出すにはどうしたら良いのだろう。「どのような測定手法が正解なのか」という問いに対する明確な答えはない。顧客データにもとづく独自のモデルを考案するというやり方もあるだろうし、既存のモデルに従っても良いだろう。いずれにしても、小売事業者が販売するブランドとそのショッピング体験(オンライン、オフラインの両方)の相乗効果を高めるような形で、貢献度モデルを適用することが大切だ。


消費者のショッピング体験満足度を上げる方法(4):音声認識によるショッピング体験


音声認識デバイスは、普及するまでにまだ時間がかかるだろう。しかし、この技術は、小売におけるショッピング体験を劇的に変えてしまう可能性を秘めている。ショッピングという行動が、webベースの視覚的なプロセスから、音声ベースのプロセスへと変わるかもしれないのである。Googleの「HOME」、Amazonの「Echo」では、製品選択や配送が実に簡単にできる。両社の戦いに拍車がかかりつつあるのも頷ける。

音声認識ショッピングがすべての分野で当たり前になるとは思えないが、特に小規模の小売事業者では、競合大手にこのテクノロジーを独占されないよう、音声認識を活用する方法を考えていかなければならない。


消費者のショッピング体験満足度を上げる方法(5):テクノロジーによる店舗体験の改善


2016年末のある調査では、日本、米国、英国、ドイツの小売事業者の経営幹部の44%が、店舗内の体験改善が戦略的な優先事項であるとしている。前述のように、デジタル体験と実店舗体験のシームレスな連携が実店舗での成功に必須となる。

音声認識デバイス、対話型キオスクといったテクノロジーが、ショッピングに進化をもたらすなか、「店舗に行く楽しみ」もまた、マーケティングで対応すべき注力分野となる。

より良い店舗体験は、どうしたら実現できるのか。まず、店舗でのショッピングを好む層を喜ばせることを目指し、接客担当者にテクノロジー、ツール、情報を与えることだ。最近の調査によると、「小売事業者では、現場の担当者にモバイル端末を支給し、顧客識別、接客、研修、タスク管理、POS、支払いなどにアプリを活用している」という。これは確実に店舗内体験の改善につながるだろう。


未来の店舗はどうなるか?


おしなべて、小売事業者は「未来型店舗」への移行を迫られるようになるだろう。それはどんな店舗になるのか。まずは、今よりも物理的なスペースが小さくなる。スペース最適化のプレッシャーから、小売事業者は在庫を減らして間接的なコストの削減を図るようになるだろう。

スペース縮小の次にくる未来型店舗のイメージには、様々なバリエーションがある。例えば、中国では非常に興味深い24時間営業コンビニエンスストアの開発が進んでいる。このコンビニは、レジもない完全移動式の無人店舗であり、自動運転で流通センターへ行き仕入れを行い、消費者へ商品を配達するという。

未来型店舗の素晴らしい点は、ふたつある。ひとつは、テクノロジーに任せる部分が大きくなるため、人件費等を削減できる点。これは利鞘が少ない小売事業者にとっては朗報だ。そしてもうひとつは、コンセプトを開発するにあたり、無限に創造性を活かせる点だろう。

最後に、「小売事業者が変化を受け入れること」の重要性を強調しておきたい。現在は、激動の時代であると同時に、大きなチャンスの時代でもある。小売事業者としては、テクノロジー(特にマーケティングテクノロジー)を活用し、消費者の期待に応えていかなければならない。小売環境の急激な変化のなかを生き残っていく企業は、ショッピング体験の改善と利幅の拡大/維持を実現しながら、購入後にも消費者の高い満足感と、ブランドへの愛着(ロイヤルティ)につながるような対応を行っていくだろう。


CMO.com

Adobe Systems Europeの製品/業界マーケティング部リーダー Vijayanta Guptaによる記事を翻訳

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