広告効果を高め、ROIの最大化を目指すには

2018年04月05日



【POINT】

  • 多くの組織がデジタルを活用した顧客の囲い込みを進めており、相対的にデジタル広告の重要性が増している
  • 顧客の状態をグループ分けし、グループに応じた広告展開を行うことで、広告投資の戦略的価値を高めることができる
  • 顧客の行動に影響を及ぼした施策について、その貢献度を割り当てて分析することが、マーケティング施策全体の最適化に向けた道筋となる
 

広告によってリーチすべきセグメントはどこか

ビジネスがデジタルにシフトするにつれ、広告の役割は徐々に変化している。多くの組織がデジタルを活用した顧客の囲い込みを進めており、相対的にデジタル広告の重要性が増しているのだ。かつては「広告が前提」のマーケティングが主流だったが、現在は「マーケティング全体における広告の役割」を考えるべきだろう。

広告によってリーチすべきセグメントはどこか

顧客と企業との取引関係をもとにして、企業から見た市場全体を模式化すると、上図のようになる。

企業の商品やサービスを頻繁に利用している「定着顧客」は、企業との距離が近い。そのため、このグループには自社サイトや店頭などを通じてリーチしやすい。そのすぐ外側には、企業の商品やサービスを認知しており、一度は利用したことがあるが、定着するまでは至っていない「浮遊顧客」がいる。何らかの事情で休眠状態にあるのかもしれないし、他社の商品やサービス、代替的な何かへと離反しまったのかもしれない。このグループには自社でもリーチできるかもしれないが、やや難しい。その外側には、まだ自社の商品やサービスを認知していない「非顧客≒見込顧客」がいる。このグループには、自社だけでリーチすることは困難だ。

広告によってリーチを狙うべきグループは、潜在顧客と浮遊顧客だろう。浮遊顧客には、新規顧客になった後で休眠状態になった、あるいは離脱状態になった顧客が含まれる。顧客登録や会員制度を取っている企業であれば、自社保有リストを使い、こうしたグループに対して適切にアプローチすることが求められる。自社保有顧客リストが無い場合には、精度は期待できないが、匿名状態の顧客を狙うべきグループとしてセグメント分類し、アプローチすることになる。

顧客グループを狙うべきか

マーケティング全体の費用対効果を考えたとき、非顧客を新規顧客へ転換するよりも、既存顧客へアプローチすることのほうが効率性は高い。一方で新商品や新サービスを展開していく場合には、非顧客に対するブランド認知を形成するために、広告によって非顧客へリーチすることになる。

いずれにおいても、どの顧客グループを狙うべきかは、自社の戦略優先度に応じておのずと決まるだろう。

広告投資をしない戦略?

広告投資をしない戦略?

顧客にブランドを認知させる、顧客の行動を動機づけるのが広告の役割だが、広告投資が常に最善の施策とは限らない。広告投資をせずに、顧客の行動を動機づける戦略を取ったほうがより効果的である場合もある。

たとえば常時展開していた広告を停止すると、広告を見て反応する顧客の全体数は確かに減る。それは、サイト訪問数やコンバージョン数の低下として計測されるかもしれない。しかし、広告流入数が広告停止後にそのまま純減するとは限らない。広告でひとたびブランド認知した一定のグループが、情報をSNSで拡散したり、あとで検索したりすることによる効果が考えられる。オーガニック流入だ。このとき企業側は、そうした流入動機があることを見通して、コンテンツを用意しておかなければならない。またSEMとの併用も効果的かもしれない。

つまり、広告は「なんらかの情報収集の動機を持たない人」に行動のきっかけを与えるが、「既に情報収集の動機を持っている人」を企業が捉えるには、むやみに広告投資を続けるのではなく、そのニーズに十分応えることのできるコンテンツ開発にも投資すべきなのだ。

 

ここで難しいのは、広告投資とコンテンツ投資の適切なバランスはどこにあるのか、という疑問だ。これをあらかじめ予測することは、実際には困難だろう。そこで日々のマーケティング活動のなかで、潜在顧客や浮遊顧客などいくつかの顧客グループとのエンゲージメントを計測し、投資バランスを機動的に見直すのが望ましい。特に、コンテンツ開発には一定の製作期間が必要なので、欲しいときに無い、ということが往々にして発生しうる。コンテンツのニーズを先読みすることも、広告戦略の一環と言えよう。

広告投資の効果検証とマーケティングミックス

広告投資の効果検証とマーケティングミックス

広告の効果測定は、多くのマーケターが頭を悩ませる部分だろう。そこで近年注目を集めているのがアトリビューション分析だ。コンバージョンに至るまでに顧客がたどってきた道筋をつかみ、その中で広告の貢献度を明らかにする。たとえば、「初めて接したブランド広告に50%、最後に意思決定したメールプロモーションに20%、その途中に閲覧したwebコンテンツや動画などに残りの30%を均等に割り振る」といった具合に貢献度を割り当て、分析することによって実現される。

このメリットは、広告を含むマーケティング施策全体のなかで、各施策への投資配分を適正化しやすいことだ。一方、問題点もある。それは、「アトリビューション型に正解がない」という本質的な部分になる。

ファーストクリック型やラストクリック型のような一点集中型の評価は、わかりやすい。上長に報告する際に、最も費用対効果を説明しやすいのはこのモデルだろう。これに対して、アトリビューション型の良いところはダイレクトに計算できることだ。優れたモデルが出来上がり、自動調整もできるようになれば、広告出稿の自動化も加速する。

アトリビューション型への移行には、相応の準備と知見が必要になる。しかし、アトリビューション型の広告投資評価を軌道に乗せることができれば、広告以外の投資、例えばコンテンツ開発やオフラインチャネルの強化、戦略広報施策など、顧客行動に影響を及ぼす他の領域へと投資を再配分すべき、ということが判るかもしれない。広告効果を高めるという施策の先に、マーケティング施策全体の最適化への道筋があるのだ。

 

UNITE編集部


この記事を共有する: 

 RSS配信中:

関連資料

「知は力なり」データドリブンマーケティング成功の秘訣は、価値の証明

このガイドでは、アカウンタビリティ(責任を持って価値を証明すること)とアトリビューション(効果のある要素とない要素を判断すること)の重要性、データドリブンで何ができるのか、あるいは何をすべきでないかを解説します。売上向上、ブランド価値や顧客満足度向上に向けてデータを活用する方法を俯瞰的に把握したい方は、ぜひご覧ください。


おすすめ情報