B2B

ソフトバンク:「登る山を決める」デジタル変革への高い志に向けた決断

2019年9月3日



【POINT】

  • 法人事業におけるデジタル変革として、社内の業務自動化に加え、営業及びマーケティングの高度なデジタル化が、顧客の課題を正しく認識して共に解決することにつながる    
  • 顧客の企業内個人の行動から潜在的なニーズを把握し、営業担当者に適切に伝えることで、優れた提案が可能になる  
  • 「これからの営業」の世界観を、動画を通し社員全員に共有する    

 


デジタル変革という画期に抱くべき志

これまでとまったく異なる時代が訪れた後で、そこに至る流れを振り返るとき、その区切りとなった時点を「画期」と呼ぶ。デジタル変革の歴史も、電算化、インターネット、クラウドやモバイルの登場などを画期と見ることもできるが、新たな局面が進行中と見ることもできる。そして、画期の先がどんな時代なのかを見通すのは難しい。たとえば幕末の歴史を見たとき、坂本龍馬が抱いた志は、その後の文明開化や工業化をどれほど予期していただろうか。しかし明らかに言えるのは、画期を前にして、先の見えない未来に慎重になるのか、新たな世界を見越した志を抱くかによって、その後の道は大きく変わるだろう。

日本企業を取り巻く経済環境やビジネス動向も、先を見通すのは難しいが、デジタル変革の進展において明白なこともある。それは、顧客こそがビジネスの中心だ、ということ。デジタルを使いこなし、自ら判断しようとする顧客の行動を最優先に考えることが、ビジネスの成否に直結するのだ。これこそいま、デジタル変革の目指すべき本質である。そして、顧客をビジネスの中心に据えて顧客との関係を築くこと、すなわち顧客体験管理(CXM)にいかに取り組むかが問われている。ではCXMを実践するために、ビジネスリーダーはどのような志を抱き、どう自社の変革を進めていけば良いのだろうか。

こうしたテーマのもと、アドビは年次イベント「Adobe Symposium 2019」を開催した。ここではその基調講演に登場した、ソフトバンク株式会社の抱く志を取り上げる。

意思決定におけるスピードと精度の両立

ソフトバンクグループは2019年5月、前年度決算において売上高9兆6022億円、営業利益2兆3539億円を達成した。孫正義氏が一代で成長させたグローバル組織であり、そのカリスマ性で知られるが、意思決定におけるスピードと精度にも注目が集まる。同社の歴史はデジタル変革の歴史そのものと言えるだろう。その同社で、これまでは対面が重視されがちであった通信事業の法人部門でも、デジタル変革(デジタルトランスフォーメーション、DX)の新たな取り組みが始まった。ソフトバンク株式会社 常務執行役員 法人事業統括付(事業戦略、マーケティング担当) 法人プロダクト&事業戦略本部 本部長 藤長 国浩氏が、その志の方向性について語った。

企業や社会の課題をICTで解決する組織

企業や社会の課題をICTで解決する組織

「ソフトバンクは、常に登る山を決める組織です」。講演の冒頭で、藤長氏はこのように語る。「目標に向けて、経営層が各自それぞれ、何かにコミットすることになります。私のコミットメントは、当社の法人事業、B2Bマーケティングの高度なデジタル化です」。

なぜデジタル化が法人事業で進められてきたのか。それは、通信事業における競争は激しく、単に通信回線を販売し、その基本料金と通話および通信料金で利益を上げれば済む訳ではないからだ。そのため、同社では「企業や社会の課題をICTで解決する」ことを自らのミッションと位置づけ、「顧客に寄り添い、彼らの課題を正しく認識して共に解決するために、自社の新しい技術を自ら社内で使い倒す」という文化を徹底している。

iPhone 日本初上陸を果たした2008年には、社員全員に配り、営業活動において活用を始めた。グループウェアをはじめとする社内システムのクラウド化を進め、近年ではRPAによる業務自動化にも取り組んでいる。これら社内のDXで得られた知見は、顧客へのソリューション提供として生かす。その結果、現在法人事業のみで6205億円の売上、763億円の利益を生み出すに至った。

「しかし、ひとつの大きな忘れ物に気づいたのです。」と藤長氏は言う。

「ビジネスは右肩上がりで成長していたのですが、それを牽引していたのは優れた営業担当者でした。一方、海外に目を向ければ、マーケティングと営業という部分でデジタル化がかなり進んでいます。そこで私たちも、営業およびマーケティングのデジタル化というテーマに取り組むことになりました」。

スピード感を持ってデジタル化に取り組む

スピード感を持ってデジタル化に取り組む

海外の同業者と比較すると、数年の遅れがあった。リードジェネレーションから、ナーチャリング、対面営業という流れをデジタル化するにあたって、スピード感を持って取り組まなければ、追いつけず、追い越せない。そこで、B2Bにおける豊富な実績を最も高く評価し、藤長氏は「赤いスーパーカーと青いスーパーカーを買う」という決断を下した。それぞれのカンパニーカラーから、リードジェネレーションのアドビ、ナーチャリングのマルケトを指した言葉だ。

「ちょうど、アドビがマルケトを買収するタイミングでした。これによって、アドビという会社の一貫した世界観の中で、2つのソリューションを利用できるようになりました」(藤長氏)

講演では、アドビの世界観を取り入れ、ソフトバンクがどのような営業スタイルで顧客に提案していくのか、というイメージを紹介する動画も披露された。顧客のweb行動をモニタリングすることで、潜在的なニーズが見えてくる。それを現場の営業担当者に適切に伝えることで、優れた提案が可能になるのだ。

顧客個人を掘り下げ、適切な提案を

顧客個人を掘り下げ、適切な提案を

さらに、B2Bならではの事情も取り入れた顧客情報管理も実現したい考えだ。

B2Cの場合、顧客個人を深く堀り下げることで、その人となりや興味を持っている分野およびその度合いなどを加味して、適切な提案を行うことができる。一方、B2Bにおける顧客は対面している一人だけでなく、組織内の様々な部門や役割の人が含まれ、組織の事情が営業の成否を占う大きな要素になる。たとえば同社では、顧客の営業部予算から出ていたスマートフォン契約が、総務部で全社一括契約に切り替えられた、というケースがあった。

こうしたケースにおいて、これまでは優れた営業担当者であれば、事情を素早くキャッチし、それまで対面してきた顧客から新たな担当部署を紹介してもらうなどの手段を使って営業を継続することができた。しかしたいていの営業担当者は、複数の営業先を抱えており、目先の契約を取りに行きがちだ。

デジタル化により、そうした企業内個人の行動からニーズを把握できる。インサイドセールス担当者のようなビジネスアナリストが、企業内個人の動きをモニタリングし、その変化に気づくことで、営業担当者へ有益な情報を上げることができるようになる。

優れた企業と手を組み、目指す高みへ

優れた企業と手を組み、目指す高みへ

「私は25年間、現場で営業をしてきました。その場でお客様の雰囲気をつかんで、推論を組み立てての対面営業でした。デジタルを有効に使えば、それは大きく変わるでしょう。潜在的な機会を広く遍く捕捉して、あらかじめ顧客ニーズに当たりをつけてから、対面営業できるようになります」と藤長氏。こうした「これからの営業」の世界観を、動画を通し社員全員に共有しているという。

この取り組みは、歩み始めたばかりだ。とはいえ、買ったのはスーパーカー。スピード感を持って取り組むことになる。今後のプランも明確だ。まずは、フェーズ1.0として自社で使い倒すこと。フェーズ2.0では、240ある子会社への全面展開。そしてフェーズ3.0で、戦略的顧客への提供に至る。

「プロジェクトを通して、経験とノウハウ、そして知識を高めていき、将来顧客へ提供する際には、アドビさんと一緒にやっていくことにも期待しています」(藤長氏)

最後に藤長氏は、「この取り組みは一社では難しい」と会場のオーディエンスに語りかける。優れた企業と手を組み、さまざまな情報交換を通じてB2Bマーケティングの高みを目指すという「登る山」を示して講演を終えた。

 

UNITE編集部


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