オンラインのマイクロコミュニティがどのようにしてSNSで台頭するようになったのかに関する考察

時は2008年。Facebookは最もアクセス数の多いSNSとしてMyspaceを上回り、人口の大部分がこのプラットフォームを使用してあらゆる考え、行動、感情を公に表現していました。2023年に時を進めてみると、人々はSNSをそれまでとはまったく異なる形で使うようになっています(そしてFacebook以外にもはるかに多くのSNSを使っています)。
Facebookグループ、サブレディット、Xのコミュニティ、LinkedInグループなどのオンラインコミュニティは、ゆっくりと、しかし着実に、SNS体験において重要な要素となりつつあり、インターネットユーザーの76%が何らかの形のオンラインコミュニティに参加していると回答しています。
このような状況は、ひとつの疑問を投げかけます。SNSはいつからこのようにサイロ化したのでしょうか?ここでは小さなコミュニティのトレンドについて取り上げます。すべての始まりの場所はどこなのか、なぜこのトレンドが加速しているのか、そしてこれがSNSの未来にどのような意味をもたらす可能性があるのかについて探ります。
SNSは、意味のあるつながりを形成するのに最適な場所です。それはどのプラットフォームでも変わりがなく、特定のトピックや興味を中心に集まった小さなコミュニティ内でつながりを見つけるのは非常に簡単です。それは、フィード内の他のSNSユーザーの発言に煩わされることなく、同じような考えを持つ人たちとつながり、最も関心のあるトピックについて発言する機会が得られる場なのです。小さなコミュニティは、「見られている」と感じる可能性を高めるだけでなく、フィルターをかけられていない大勢の聴衆に向けて自分自身を公に表現することに対する不安を取り除きます。さらに、生き生きとした本物の会話ができることから、ユーザーの36%はより意味のある会話を楽しめるオンラインコミュニティを好むと回答しています。どうやら今日のSNSユーザーは会話の量より質を重視しており、大勢の人と交流することよりも、同士を見つけることを好むようです。
このようなオンラインコミュニティへのシフトが起こった主な要因として、COVID-19の流行があげられます。2019年から2022年半ばにかけて、全世界の人口の大部分がロックダウンと解除を繰り返し、交流が制限されていました。COVID-19パンデミックが始まって以来、オンラインコミュニティへの参加は81%増加し、91%がパンデミック中にオンラインのグループやコミュニティの存在が何らかの形で助けになったと回答しました。
小さなコミュニティの人気が高まっている背景には、対面での交流に代わる親密なやり取りをしたい、辛い毎日の中での助けを求めたいなどの欲求の存在があげられるでしょう。また、隔離期間中や今後の見通しに対する不安や精神面での落ち込みなどから、SNSでの膨大なやり取りに辟易していることもその理由かもしれません。
忘れてはいけないのは、インフルエンサーはより楽しいSNS体験を構成するもうひとつの重要な存在であることです。インフルエンサーの一番の目標は、自分の影響力を行使できるコミュニティを構築することです。インフルエンサーがプラットフォーム上で幅を利かせ、自分が得意とする分野のコンテンツを公開して特定のオーディエンスを惹きつける一方で、インフルエンサーを中心にまとまることなく、小さなコミュニティが形成され始めたことを不思議に感じるかもしれません。
この小さなオンラインコミュニティへのシフトは、インフルエンサーをフォローする場合のように単に興味のある分野のコンテンツを消費するのではなく、共通の関心の下で他者と交流したいという願望が広まっていることの表れであるのかもしれません。したがって、小さなコミュニティの発展は、SNSで自分の趣味を楽しんでいる人たちに自然に発生した次の段階であると見なすこともできます。
当然、多くのブランドや企業はこのトレンドに気づいており、自社の商品やサービスを販売するのにこのマイクロコミュニティのフォーマットを利用しています。LegoやGlossierなどの多くの企業は、自社の商品がターゲットとする層を集める手段として独自のオンラインコミュニティを形成し、顧客の忠誠度を保ち、さらに多くの商品を販売する目的で、自社の商品やブランドに関するコンテンツを発信しています。さらに、グループへの参加を有料にし、その中で限定コンテンツを発信することでオンラインコミュニティ自体を収益源としている個人や企業も存在します。
ユーザーのプラットフォームの使い方に合わせて新機能をリリースし、機能を改善することは、どのSNSにとっても最大の利益をもたらすものです。そのため、SNSチャネルとその開発に、小さなコミュニティのトレンドが、これまでにどのような影響を及ぼしてきているのかはよくわかります。最近でも、Facebookはグループとしてストーリーを投稿する機能を発表し、X(旧称Twitter)は特定のコミュニティへの参加を希望する人を限定するために、メンバーシップ参加に際して質問を表示する機能を追加しました。
(現在も続く)ショート動画コンテンツの人気の高まりを受けて、InstagramがTikTokのようになっていくのを目の当たりにしていますが、今後数か月や数年のうちに、人気のSNSがRedditやDiscordなどのコミュニティベースのプラットフォームを模倣するのを目にするかもしれません。
何がきっかけでなぜ出現したのかはともかく、オンライングループに所属する人の98%がそのグループに親近感を持っていると回答していることから、小さなコミュニティのトレンドは、様々な面からユーザーの行動の前向きな変化と捉えることができます。SNSプラットフォームがネットワーク内により意味のあるつながりを築く機会を認識すれば、SNSの未来はより受容性、帰属性が高まり、より自分らしさを発揮できる場になるかもしれません。