Adobe Photoshopのパワフルな新機能「被写体を選択」を使用して、写真内の人物をワンクリックで選択し、すばやく新しい背景と合成してみましょう。単に合成するだけでなく、異なる2つの画像の色味を均一化したり、全体の色調を調整して印象的な写真に仕上げるまでのテクニックを解説します。まずは、下の1分動画で制作工程を確認しましょう。

本チュートリアル内で使用する主な機能
被写体を選択、選択とマスク、レイヤーマスク、ぼかしフィルター「平均」、クリッピングマスク、描画モード「ソフトライト」
手順
ファイルを開き、被写体を選択する
選択範囲の境界線を調整する
マスクを作成し、新しい背景と合成する
2つのレイヤーの色味を均一化する
カラー効果で印象的な画像に仕上げる
Photoshopを起動し、「ファイル」→「開く」から練習用サンプルファイル「make-new-background.psd」を選択して「開く」をクリックします。このPSDファイルは、人物と背景の2つのレイヤーで構成されています。この2つのレイヤーを組み合わせて1つの合成画像を作成します。
まず、人物を現在の背景から切り抜きます。レイヤーパネルで「Model」レイヤーを選択します。次に、ツールパネルから「クイック選択ツール」を選択し、オプションバーの「被写体を選択」をクリックします。ブラシを使用することなく、自動的に画像内の人物が選択されます。

ヒント :「 被写体を選択」機能は、Adobe Senseiの機械学習テクノロジーを活用し、人物、動物、乗り物、雑貨など、画像に含まれる主要な被写体を自動で認識します。「クイック選択ツール」、「オブジェクト選択ツール」、「自動選択ツール」のオプションバーからアクセスできるほか、「選択範囲」→「被写体を選択」で実行できます。
切り抜いた画像の背景色と合成先の背景色との違いが大きい場合、合成後に切り抜きの境界線が目立ってしまうことがあります。その場合、境界線(エッジ)を調整しておく必要があります。
オプションバーの「選択とマスク」をクリックすると、専用のインターフェイスに切り替わります。画面右の属性パネルの「エッジをシフト」で、スライダーを「−100%」までドラッグし、選択範囲の境界線を内側にします。調整ができたら、「OK」をクリックします。

元の編集画面に戻ったら、レイヤーパネル下部の「レイヤーマスク」ボタンをクリックします。マスクが作成され、人物以外の背景が消えて、下のレイヤーが表示されます。これで、人物と新しい背景が合成されました。
2つのレイヤー画像は、それぞれ異なる環境で撮影された写真のため、どうしても色味に違和感があります。つぎのステップで、色味を合わせていきましょう。

レイヤーパネルで「New Background」レイヤーを選択し、Altキー(Windows)またはOptionキー(Mac)を押しながら、「Model 」レイヤーの上にドラッグします。
複製された「New Backgroundのコピー」を選択した状態で、「フィルター」→「ぼかし」→「平均」を選択すると、画像全体が緑色に変わります。

「New Backgroundのコピー」レイヤーと「Model」レイヤーの間を、Altキー(Windows)またはOptionキー(Mac)を押しながらクリックすると、クリッピングマスクが作成され、人物が緑色に塗りつぶされます。

レイヤーパネルの描画モードをクリックし、ドロップダウンメニューから「ソフトライト」を選択します。人物の画像が緑がかり、背景の色味に近づきました。すこし緑が強いので、不透明度を「45%」に減らして調整します。

最後にもう一つ、カラー効果を適用して全体を仕上げます。レイヤーパネル下部の「塗りつぶしまたは調整レイヤーを作成」ボタンをクリックし、ドロップダウンメニューから「べた塗り」を選択します。カラーピッカーが表示されるので、紺色(♯080c56)を指定します。

レイヤーパネルで、描画モードを「ソフトライト」に設定し、さらに不透明度を50%に減らして調整します。合成色の明暗がはっきりとし、印象的な画像に仕上がりました。

いかがでしたか。「被写体の選択」機能を使えば、面倒な画像の切り抜き作業が、驚くほど簡単になります。さらにこのチュートリアルでは、合成画像をより自然に、そして見栄えよく仕上げるための様々なテクニックをご紹介しました。ぜひ、日々の作業にお役立てください。