同じシーンの中に、同じ人物が何人も登場する「分身動画」。一見すると難しそうに思えるかもしれませんが、Premiere Proのマスクツールを使えば、意外と簡単に作成することができます。
まずは、下記の1分動画で制作の工程をご確認ください。

このサンプルファイルは、このチュートリアルの練習⽬的でのみご使⽤できます。
本チュートリアル内で使⽤する主な機能:
マスクツール(不透明度、ペンツール)
手順
プロジェクトファイルを開いてクリップを確認する
人物が映っていない不要なシーンをカットする
マスクを作成して人物を切り抜く
人物の動きに合わせてマスクを調整する
全てのクリップにマスクを作成する
Premiere Proを起動して、サンプルファイルの「分身動画.prproj」を開きます。
タイムラインのビデオトラック(V1~V7)に7つのクリップが配置されています。これらのクリップは、カメラを回転台(雲台)に固定し、1人の人物の位置を変えながら一定のアングルとスピードで複数回撮影した映像です。V1トラックのクリップは人物が入っていない背景だけの映像になります。
※ご自身で撮影される場合は、人物の位置が、他のクリップの人物の位置と重ならないように注意してください。

まず初めに、V7トラックのクリップを選択します。それ以外のクリップは、目のマークをクリックして非表示にしておくと作業がしやすくなります。
タイムラインのインジケータを動かし、人物がフレームから完全に消えるところで止めます。
ツールパネルからレーザーツールを選択し、インジケータの位置でクリップをクリックして分割します。後ろのクリップをDeleteキーを押して削除します。
同じように、V6~V2のクリップの人物が映っているシーンだけを残して、その他のシーンをカットします。

V7トラックのクリップを選択してインジケータをクリップ先頭に戻し、エフェクトコントロールパネル(ウィンドウ/エフェクトコントロール)を開きます。
「不透明度」の「>」をクリックして展開し、ペンツールを選択します。マスク(1)が作成されたら、マスクパスのストップウォッチマークをクリックします。
ペンツールでモニター画面上をクリックしながら、人物の周りを囲むようにマスク範囲を作成します。人物の動きを想定して、ある程度大きめに選択します。

タイムラインのインジケータを右に進めると、人物の位置が移動してマスク範囲から外れてしまいます。モニター画面上のマスク範囲にカーソルを合わせると手のひらマークに変わるので、人物の位置に合わせてマスク範囲を移動します。
さらにインジケーターを動かし、人物がマスク範囲から外れた時点でマスクの位置を調整します。必要に応じてマスク範囲のハンドルを操作して、マスクの大きさを調整します。

ここでいったん、V7トラックとV6トラックのクリップを表示にして、再生してみましょう。
同じシーンに同じ人物が2人出現するのを確認できたら、同様の操作でV6~V2のクリップにもマスクを作成していきます。
光の変化などでマスクの境界が不自然に見える場合は、エフェクトコントロールパネルの「マスクの境界のぼかし」を調整します。

全てのクリップの調整が終われば、完成です。完成動画を再生してみましょう。
このチュートリアルでは、カメラを回転させながら撮影した素材を使用しましたが、三脚などを使ってカメラを固定した状態で、人物の位置を変えて複数カット撮影することでも分身動画を作成できます。ユニークなシチュエーションを考えて、分身動画づくりに挑戦してみてください。