写真編集を勉強する方法

昨今のフォトグラファーにとって、撮影と同じくらい重要なのが写真編集の技術です。画像加工専門のレタッチャーという仕事はあるものの、理想の画像に近づけるためにある程度の加工や編集技術を身につけておくことは、フォトグラファーにとって必須だと言えるでしょう。

 

それではどのような勉強方法が有効なのか、普段の編集作業の内容も併せてフォトグラファーの波多野匠さんに紹介していただきます。

写真編集のコツをつかむ勉強方法

 

最近では、オンライン・オフラインなどさまざまな方法で写真にまつわる技術を学ぶことができるようになりましたが、私は主にフォトグラファーの先輩から直接教わりながら写真編集のスキルを身につけてきました。

 

大学の写真部の先輩、写真学校の先生、アシスタント先の先輩など、リアルに写真編集をしている現場を見せてもらいつつ、その場でわからないところは質問する。そんな環境が成長につながったと感じています。とはいえ、こうした環境に身を置けない人もいると思いますので、一人でも学べる写真編集の勉強法について、下記で説明したいと思います。

 

SNS・YouTubeを閲覧する

 

写真編集には流行があるので、若手フォトグラファーの動向を追うことが欠かせません。最近では、SNSやYouTubeを写真編集テクニック発信の場として活用しているフォトグラファーも多いので、気になるアカウントをオンタイムで追いかけて学びにつなげるようにしています。

 

Adobe PhotoshopやAdobe Photoshop Lightroomの機能が随時アップデートされますが、彼らはそうした最新情報にも敏感なので、キャッチアップの場としてもおすすめです。また、アドビ公式のチュートリアル動画を参考にすることも多いです。

写真雑誌を見る

 

出版社が刊行している写真雑誌を参考にするのもおすすめです。昔ほど書籍を買う機会は減ったものの、「コマーシャル・フォト」(玄光社)をはじめ老舗の写真雑誌はやはり信頼できる教科書だと今でも感じています。出版社が選定し取材や執筆を依頼している識者やフォトグラファーの多くは、実績豊富で、業界の第一線で活躍しています。そういった点で、写真雑誌は信頼が置ける媒体であると思っています。

 

ワークショップに参加する

 

フォトグラファー歴20年以上の私ですが、いまでも機会を見つけ積極的に写真編集のワークショップに参加しています。場合によっては1講座数万円するものもありますが、現役のレタッチャーやフォトグラファーの技術をその場で見ながら、細かいTipsも教えてもらえる場は貴重だと感じます。

 

フリーランス歴が長ければ長いほど、客観性を持って自分の写真が見られなくなってしまうので、定期的に学びの時間を持つことは欠かせないと考えます。オンラインのワークショップもありますが、オフラインのほうが講師の語る微妙なニュアンスなども誤解なく受け取りやすいため、個人的には身になると感じています。

販売されているプリセットを購入してみる

 

最近では人気フォトグラファーのプリセット(露出・彩度・コントラストなどあらゆる項目をあらかじめ設定したファイル)が販売されており、それを購入するだけで、自分の写真に彼らと同じ写真編集を加えることができるようになりました。私自身は、購入したプリセットのパラメーターをLightroom上で確認し、色味・彩度・コントラストなど、どのような編集を加えればその画像が出来上がっているのかを見て、さまざまな気づきを得ています。

 

普段の仕事においても、大量の画像を一括で編集することのできるプリセット機能は必要不可欠です。いくつもの設定をあらかじめ登録しておき、クライアントの好む傾向や被写体によって使い分けています。

 

人物撮影であればコントラストを抑え空気感の出るようなプリセットを、サッカー撮影であれば力強さや臨場感を強調するようにコントラストを強く、周辺光量を落としたプリセットを設定する、といったイメージです。写真編集においては、このプリセットをいかに上手に設定できるかが大きな鍵となってくるでしょう。

 

 

勉強の他には、アイデアのストックが大事

 

私は日頃から、Webの記事やSNS、雑誌などで好きだと感じた写真をスマートフォンにストックするようにしています。撮影技術と同様に写真編集においても、自分の好きなトーンや目指す方向性がハッキリしていなければ、目標とする写真を生み出すことはできません。

 

また、日々ストックする習慣をつけていると、時間とともに写真を見る目が変わっていることに気づくこともあり、自身の成長を感じることもあるはずです。

 

新しいアイデアは、ゼロから生まれるというより「既存のもの同士を掛け合わせること」とも言われています。最初から目新しいものを作ろうとするよりは、好きなテイストの写真をできるだけ多く貯めておくことが、写真編集においても重要なのではないでしょうか。

 

 

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取材協力:波多野匠

福島大学経済学部卒業、東京綜合写真専門学校卒業。

大学在学中からフォトグラファーとして活動を始める。

現在は、コーポレートサイトやオウンドメディアにおいて人物撮影を中心に活動。

関東サッカーリーグ・ブリオベッカ浦安オフィシャルフォトグラファー。

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(取材・執筆:波多野友子 編集:ノオト)