トーンカーブとは?使い方をわかりやすく解説(Photoshop)

「画像を補正したいけれど、イメージ通りにできない」
「プロのようなメリハリのある写真に仕上げるには、どうすればいい?」
そんなときは、トーンカーブを使ってみましょう。トーンカーブは、画像の明暗やコントラストを調節できる機能です。画像全体の明るさや色合いを細やかに調整し、好みの雰囲気に仕上げられます。
しかし、「トーンカーブって聞いたことはあるけれど使ったことがない」「なんだか難しそう」という方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、トーンカーブの効果や使い方についてわかりやすく解説します。初めてトーンカーブを使う人も、あらためて知っておきたいという人も大丈夫。画像編集アプリ「Adobe Photoshop」のトーンカーブを使って、様々な画像補正の方法を紹介しますので、ぜひ一緒に試してみましょう。
※当記事の情報は、2024年7月時点のものです。アプリケーションのバージョンにより、操作画面のUIや機能が異なる場合がございます。あらかじめご了承ください。
トーンカーブとは?
トーンカーブとは、画像の明るさやコントラスト(明暗差)、色合いを自由に調節できる機能のことです。「トーン」は、明るさや暗さの度合いを指します。グラフの左下から右上に向かう対角線を動かすことで、画像のトーンを調節し、全体を明るくしたり、暗い部分をさらに深く際立たせたりできます。
トーンカーブの見方
トーンカーブの線は画像の明るさや色合いを表しています。線のどの位置をどの方向に動かすかによって、画像の補正効果が変わります。
線の右上は画像の「明るい部分(ハイライト)」、真ん中は「中間部分(中間調)」、左下は「暗い部分(シャドウ)」を表します。また、トーンカーブの線を左上のエリアに動かすと画像全体が明るくなり、右下のエリアに動かすと暗くなります。
つまり、画像の暗い部分を明るくしたい場合は、トーンカーブの左下(暗い部分)を左上に移動させればOKです。
ヒストグラムとは
トーンカーブの背景にあるグラフは「ヒストグラム」と言い、画像の明るさの分布をグラフで示したものです。横軸は明るさを、縦軸はその明るさが画像内にどれだけ存在するかを表しています。
例えば以下のように、明るい画像はグラフの右側部分のヒストグラムが高くなり、暗い画像は左側部分が高くなります。
明るい画像
暗い画像
ここまでトーンカーブやヒストグラムの基本的な見方について紹介しました。次の章では、トーンカーブの機能や使い方を解説しますので、一緒にトライしてみましょう。
【Photoshop】トーンカーブの使い方
それではここから、画像編集アプリ「Adobe Photoshop」を使って、様々なトーンカーブの機能や使い方を紹介します。
Photoshopにはデスクトップアプリ版とweb版があり、ここではデスクトップアプリ版を使って、トーンカーブを解説します。Photoshopは7日間の無料体験が可能ですので、以下のリンクからアプリをダウンロードして、この機会にぜひお試しください。
0.基本的な使い方
まずはPhotoshopを開いて、以下の手順でトーンカーブを表示させましょう。
- PCでPhotoshopを起動する
- 画面左上の「開く」をクリックしてPCのフォルダ内から画像を選ぶ(ツール画面に画像をドラッグ&ドロップしてもOK)
- レイヤーパネルの一番下のアイコンから「塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成」をクリック→「トーンカーブ」を選択(または、メニューの「レイヤー」→「新規調整レイヤー」→「トーンカーブ」を選択)
- トーンカーブのレイヤーが作成され、トーンカーブが表示される
上記の手順では、トーンカーブ用のレイヤーが新たに作成されるため、元の画像はそのままの状態で残り、後からやり直しや再調整も可能です。画像に直接トーンカーブの編集を加えたい場合は、メニューの「イメージ」→「色調補正」→「トーンカーブ」を選択しましょう。
●コントロールポイントを作成する方法
最初に、「コントロールポイント(点)」を作成しましょう。線の上でクリックするだけでカンタンに作成できます。トーンカーブでは、このコントロールポイントを動かすことで、様々な画像補正を行います。
●コントロールポイントを削除する方法
コントロールポイントを削除したい場合は、コントロールポイントをグラフの外にドラッグするか、コントロールポイントを選択して「削除」([Delete]キー)を押しましょう。
複数作成したコントロールポイントをすべて削除したい場合は、トーンカーブの下部にある真ん中の矢印ボタン(初期設定の色調補正に戻す)をクリックします。
1.全体の明るさを調整する
それでは、早速トーンカーブを使ってみましょう。まずは、画像全体の明るさを調節します。コントロールポイントを、線の真ん中あたりに1つ作成しましょう。コントロールポイントを、左上に移動させると画像全体が明るくなり、右下に移動させると暗くなります。
2.コントラストを調整する
次に、画像のコントラストを調節してみましょう。コントラストとは、明るさと暗さの対比のことです。トーンカーブを使って、明るさや暗さがはっきり出るコントラストの強い画像にしたり、明暗差が少なくコントラストの弱い画像にしたりできます。ここではコントラストを調整する3つの方法を紹介します。
S字・逆S字で調整する
コントロールポイントを、「明るい部分(ハイライト)」と「暗い部分(シャドウ)」にそれぞれ作成しましょう。
●コントラストを強めてメリハリのある画像にしたい場合
トーンカーブを「S字」のような形にします。「明るい部分(ハイライト)」に作成したコントロールポイントを左上に、「暗い部分(シャドウ)」に作成したコントロールポイントを右下に移動させましょう。明るい部分をより明るく、暗い部分をより暗くするため、明暗差の大きいメリハリのある画像になります。
●コントラストを弱めて柔らかい雰囲気の画像にしたい場合
トーンカーブを「逆S字」のような形にします。「明るい部分(ハイライト)」に作成したコントロールポイントを右下に、「暗い部分(シャドウ)」に作成したコントロールポイントを左上に移動させましょう。明るさを抑えながら、暗い部分を明るくしていくため、明暗差の少ない柔らかな雰囲気の画像になります。
トーンを変える
トーンカーブの左下にある最も暗いポイントを上に引き上げてみましょう。暗さが弱まり、画像全体がグレーっぽく明るくなります。淡いトーンのエフェクトをかけたような効果があり、コントラストの弱い画像になります。
右上の最も明るいポイントを下に引き下げると、全体的に明るさが抑えられ、落ち着いた印象の画像になります。
黒・白を増やす
トーンカーブの左下にあるスライダーを右に移動させると、画像内の暗い部分が増えます。暗い部分をより暗くできるため、グッと引き締まった印象になります。下の例では、髪の毛を中心に全体的にコントラストが強まり、落ち着いた雰囲気の画像になりました。
右下のスライダーを左に移動させると、画像内の明るい部分が増えます。明るさがより強調され、明暗差の少ない軽やかな印象の画像になります。
3.狙った部分の明るさを調整する
「画像内のここを明るく(暗く)したい」という場合は、指アイコンの機能が便利です。調整したい箇所をいちいちトーンカーブ上で探す必要がなく、画像上でクリックして動かすだけで、直感的に調整できます。以下の手順で使ってみましょう。
- トーンカーブの指アイコンをクリックする(カーソルがスポイトに変化する)
- 画像上で調整したい箇所をクリックし、そのまま上や下にドラッグする(上にドラッグすると明るく、下にドラッグすると暗くなる)
下の画像では、左側の木々や木陰の暗い部分などをクリックし、上にドラッグして明るくしてみました。指アイコンで調整した箇所は、トーンカーブ上にコントロールポイントが作成されるため、後から削除したり調整したりするのもカンタンです。指アイコンで調整した箇所に合わせて、他の部分も自然に馴染むようトーンカーブが調整されているのがわかります。
4.自動で調整する
自分で細かく調整するのが難しく感じる場合は、「プリセット」や「自動補正」の機能を使ってみましょう。様々なトーンカーブの設定が用意されているので、その中から選ぶだけで、バランスよく画像を補正できます。
●プリセット
トーンカーブの操作パネルの「プリセット」の項目をクリックすると、プルダウンで様々なメニューが表示されます。明るくする、暗くするといった調整のほか、コントラストの設定や階調の反転なども一瞬でできます。また、自分で作成したトーンカーブの保存もできるため、画像補正を効率よく行うことも可能です。
●自動補正
トーンカーブの操作パネルの「自動補正」のボタンをクリックするだけで、自動で画像を補正する機能です。自然な印象で明るさやコントラストを調整してくれます。もちろん、自動補正した後に、自分でさらに調整を加えることも可能です。
5.RGBで色を調整する
トーンカーブのRGBチャンネルを使えば、画像の色みも補正できます。トーンカーブの操作パネルで、「RGB」の項目をクリックすると、プルダウンで「レッド」(R)、「グリーン」(G)、「ブルー」(B)が表示されます。この3つの総称がRGBで、それぞれの色ごとに色みの分量を調節できる機能です。
例えば、全体的に緑がかった画像を以下の手順で色補正してみましょう。
- RGBでグリーンを選択する
- トーンカーブの中間あたりにコントロールポイントを作成する
- コントロールポイントを右下に向かって動かす
グリーンを抑えることで、人物を中心に自然な色合いに調整できました。
RGBでは、以下の補色の関係に沿って色みを調整できるので、覚えておくと便利です。
- レッド(R):強めるとレッド/弱めるとシアン(水色に近い青緑)が強くなる
- グリーン(G):強めるとグリーン/弱めるとマゼンタ(赤紫)が強くなる
- ブルー(B):弱めるとブルー/弱めるとイエローが強くなる
ここまで、トーンカーブの5つの機能や使い方について紹介しました。次の章では、知っておくとさらに便利なPhotoshopのトーンカーブ機能について解説します。
こんなこともできる!Photoshopのトーンカーブを使いこなす方法
Photoshopのトーンカーブには、他のツールにはない便利な機能や使い方があります。手軽な画像補正から高度な画像編集まで役立つため、ぜひ覚えておきましょう。
1.スポイトで調整する
トーンカーブのスポイト機能を使えば、一瞬で画像の色みを補正できます。上から順に、黒・グレー・白と3種類のスポイトがあるので、それぞれ調整したい色みや目的に合わせて使いましょう。
- 黒いスポイト:クリックした箇所を最も暗い箇所として強調し、画像全体を補正
- グレーのスポイト:クリックした箇所を中間色として、画像全体を補正
- 白いスポイト:クリックした箇所を最も明るい箇所として強調し、画像全体を補正
今回は、一番下の白いスポイトを使ってみましょう。トーンカーブの操作パネルで白いスポイトをクリックし、画像内のやや黄味がかった白色の部分でクリックします。
すると、一瞬でクリアな白色に変化し、画像全体も明るく補正されました。画像内のクリックする場所によって明るさが変わるので、何度か試してみましょう。
スポイトを使用する場合は、その前にトーンカーブで行った調整内容はすべて取り消されてしまうため注意してください。スポイトは画像補正の一番最初に使うのがオススメです。
2.マスクで画像の一部にトーンカーブを適用する
Photoshopのマスク機能とトーンカーブを組み合わせることで、明るさや色合いの異なる複数の画像を自然に馴染ませられます。例えば、背景画像と切り抜き画像を合成する場合にもオススメの方法です。
今回は、クリッピングマスク(トーンカーブをある1つのレイヤーだけに反映させる機能)とトーンカーブを使って、下の2つの画像を自然に合成してみます。
今回は、右の人物画像の背景を削除して使用します。画像の背景を削除する方法については、以下のページを参照ください。
2つの画像をただ重ねただけでは、それぞれの画像の明るさが異なり、やや不自然な印象です。そこでクリッピングマスクを使って、人物画像の明るさや色合いを調整していきます。
以下の手順に沿って、トーンカーブで人物画像を調整してみましょう。
- レイヤーパネルで、人物画像のレイヤーマスクサムネールを選択し、「塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成」をクリック→「トーンカーブ」を選択
- トーンカーブが作成されたら、トーンカーブの左下の四角いアイコンをクリックし、人物画像にクリッピングマスクを適用する
- トーンカーブを使って、人物画像をやや暗めにしたり、夕焼けの色合いに合わせてRGBでレッドやブルーを少し加えたりと、背景画像に合うように調整する
すると、より自然な印象に調整できました。
Photoshopがあれば、どんな画像編集も思いのままに。
Photoshopは、プロのフォトグラファーやデザイナーから趣味で写真を楽しむ人まで、幅広いユーザーに支持されているPC向けの画像編集アプリです。画像の補正やエフェクトの追加はもちろん、合成や生成AIを使った画像生成など多彩な画像編集が可能で、プロフェッショナルな仕上がりを実現できます。
Photoshopがあれば、今回ご紹介したトーンカーブや豊富な機能を使って、画像をイメージ通りに仕上げられるほか、想像を超えた新しいクリエイティブの世界が広がります。この機会にぜひ、お楽しみください。