カラーコレクションとカラーグレーディングの違いとは

カラーコレクションとカラーグレーディングは、それぞれ異なる目的で行われます。これらの2つの重要な編集テクニックが、動画編集のプロセスにおいて特徴的な理由を学びましょう。

カラーコレクションとカラーグレーディングをする意義

動画撮影の時に照明を上手く設定しても、カメラは人間の目ほど正確に色を捉えることはできません。Raw動画の映像に映る色は、人間が見る現実の世界の色と少し異なります。そのため映画制作では、後処理の編集で色を調整するのは必要不可欠な手順なのです。映画制作者の中には、カラリストと呼ばれるスペシャリストにこの手順を依頼する人もいます。

 

カラーコレクションで映像に統一感

カラーコレクションカラーグレーディングの用語は同じ意味に使われることがありますが、これら2つの手順は動画編集においては明確に異なる役目を持っています。カラーコレクションが最初に行う処理です。映像の色を修正することで、実際の世界の色調や色合いに合わせていきます。この手順のもう一つの目的は、動画クリップ間の色を合わせて統一することです。

       

カラーコレクションをする時は、露出、コントラスト、ホワイトバランスなどを微調整して、人間の皮膚の色など重要な色相が正確に出るようにします。カメラや照明の状況により、映像で白が青っぽく映る場合、その段階でその問題を修正して、動画クリップ全体で白が可能な限り実際の白に近いように処理をします。ホワイトバランスを修正すると、他の全ての色が実際の色により忠実に出るようになります。

       

「カラーコレクションは映像のスタイルではなく、実際の色を正確に出すということです。バランスの取れた自然な色を出すのが目的です。赤、緑、青の色が映像の中で統一された色になるようにします。カラーグレーディングは、どちらかといえば後から加える効果となります。すなわち、スタイルを加えるということです」と語るのは映画制作者のコリン・ドゥーガンさんです。

オリジナル画像とカラーコレクション後およびカラーグレーディング後の比較画像

映像にスタイルを与えるカラーグレーディング

カラーコレクションをした後はカラーグレーディングの出番です。この段階で、映像全体の色にスタイルを加えることができます。カラーグレーディングを施すことで、作品全体に視覚的なトーンを与え、観客に映像のインパクトやフィーリングを伝えることができます。カラーグレーディングをする前に、カラーコレクションでバランスの取れた自然な色を出すには、両者を同じ条件で行うということです。

       

「撮影箇所が60カ所あって、それらが全部違う色であったら、全ての色のバランスが取れるようにしてから、カラーグレーディングを行います。色の補正で重要なことはバランスです。グレーディングはルックスです」とドゥーガンさんは言います。

 

作品全体を通して色を補正した後、カラー効果を加えることができます。暗い感じの犯罪ドラマを制作しているのであれば、冷ややかな 色温度にしてみましょう。映像を青っぽいトーンにするとシリアスな雰囲気が出ます。楽しい雰囲気の映画なら、暖かい色相の方が合うでしょう。

       

「カラーグレーディングは本当に作品のトーンを整え、見る人を作品の中に引き込みます。色を決めるとムードが決まってきます。結婚式を祝福する動画が青っぽかったら、その色合いが見る人の気持ちを沈ませてしまうかもしれません」とドゥーガンさんは言います。

 

動画のカラーワークフローを作成する

カラーコレクションをする前に、モニターのキャリブレーションをして、色が可能な限り正確にディスプレイされるようにしましょう。モニターのカラー設定が適切であると確信が持てたら、 Adobe Premiere Proでカラーコレクションを施すことができます。

 

カラーコレクションのプロセス

 

1.動画クリップを同時に編集する

動画クリップを選び、 Premiere Pro 上部のメニューにある「カラー」をクリックして Lumetriカラーパネルを開きます。全てのクリップを一度に編集するには、カラーパネルの上部にある「ソース」をクリックすると、色が青に変わります。

旧モデルのステーションワゴンの動画で色を調整する

2.必要に応じて「LUTを入力」を選択する

ルックアップテーブル(LUT)は、特定のカメラのタイプまたは撮影コンディションのために作成されたカラーコレクション用のプリセットです。どのカメラもそれぞれクセがあります。例えば、少し緑がかった映像になるなどです。LUTはこうしたクセを補正します。LUTはオンラインでダウンロードし、 Premiere Pro にインポートすることができます。「LUTを入力」の「参照」をクリックします。または、「カスタム」をクリックして自分だけのLUTを作成しましょう。LUTは全て100%のレベルで適用されます。

  

3.ホワイトバランスを設定する

次に、「基本補正」タブを開いて基本のカラー設定を1つずつ微調整していきます。 色温度と色合いのスライダーをマニュアルで動かして、ホワイトバランスを設定します。または、WBセレクタースポイトを使って、映像で真っ白に見える物をタップします。この時、白い紙でテスト撮影をしているなら、それを使いましょう。

 

4.ハイライトとシャドウスライダーの使い方

ハイライトと影をつける時は、トーンの設定で色々試してみます。露出、コントラスト、ハイライト、影、白のレベル、黒のレベルはスライダーを使って調整します。

 

5.クリエイティブ設定を微調整する

「クリエイティブ」のタブを使うと、シャープネス、自然な彩度、彩度、輝度などが調整できます。カラーホイールを使って色合いに影やハイライトをつけましょう。または、Lookを加えて映像全体にフィルターを適用しましょう。LookはLUT とよく似ていますが、100%の適用レベルだけでなく、スライダーを使えば強度を調整できます。

 

6.動画クリップごとに色をチェックする

作品全体に編集を施した後は、各動画クリップが思い通りの色になっているかチェックしていきます。必要に応じて、それぞれの動画クリップを調整しましょう。

 

7.重要な色相を微調整する

カーブ調整を使用して、肌の色やその他の重要な色合いを微調整しましょう。白、赤、緑、青の色を個別に調整します。肌の色が赤すぎている場合は、赤のカーブを少し下げます。カラーホイールのツールを使って、ミッドトーン、影、ハイライトのトーンなど色調をそれぞれ調整しましょう。

夜間、岩の上に立って地平線を見ているハイカー

カラーグレーディング処理

 

1.調整レイヤーを加える

カラーコレクションを行った後、全ての動画クリップに調整レイヤーを加えます。このレイヤーにカラーグレーディングの編集を適用します。編集は下の全てのレイヤーに影響を与えますが、元の動画クリップに何ら影響を与えることなく、変更を加えたり、変更を解除したりすることができます。「調整レイヤーは雲のような働きをします。適用範囲の全ての動画クリップに影響を与えます」とドゥーガンさんは言います。

 

2.編集してスタイルを加える

調整レイヤーのLumetri カラーパネル内にある同じ編集ツールを全て使って、作品にスタイルまたは個性的な外観を与えましょう。ウェディング動画に日没の暖かい色合いを被せ、動画に暖かみのある幸せな雰囲気を与えましょう。SFの短編であれば、ブルーとピンクのユニークなネオン風のテーマを使ってみましょう。

 

3.動画クリップを再チェックする

作品全体に変更を加えた時は、全ての動画クリップをクリックして、個別に調整する部分が無いか確認する必要があります。

 

色を使う時のコツ

カラーマッチのツールを使う

「カラーホイールとカラーマッチ」のカラーマッチ機能を使って、色と光が2つの動画クリップで自動的にマッチングするようにしましょう。変更したい動画クリップで再生ヘッドの位置を合わせ、「比較表示」をクリックし、目的のフレームを選択します。動画クリップを分析し終わったら、「マッチ」を押してすぐ出来る調整を確認します。

カラーチェッカーを使う

カラーチェッカーは、入念に選択された色で塗られた複数のホワイトバランス用の正方形をしたカードです。撮影開始時に、テストとしてこのカラーチェッカーを使用します。ホワイトバランス用の正方形を使って、撮影全体のホワイトバランスを整え、色の正方形を参考にして、色を忠実に再現できるよう調整します。

 

ヒストグラム、カラーパレード、ベクタースコープ

Premiere Pro のLumetri スコープパネルは、動画映像の色情報を示すグラフのタイプを複数表示します。ヒストグラム、カラーパレード、波形、ベクタースコープは、色が映像の中でどのように再現されているのかそれぞれ独自の方法で示します。カラーコレクションやカラーグレーディングをする時には、このようなグラフを参考にして、映像の中の白の部分が露出不足または露出オーバーにならないように注意します。

 

ハリウッド映画のスタイル

大ヒット作のカラーパレットで自分の作品がどのよう感じになるのか試してみましょう。ヒット映画の多くは、青っぽい影とオレンジ系のハイライトで編集されています。そのため、カラーホイールツールを使って、影のホイールはセンターターゲットより青方向へ、ハイライトホイールはオレンジ方向へ動かします。このカラープロフィールは自然のものより誇張されていて、背景に対して人間を際立たせて見えるようにします。

       

クリエイティブに色を使っている作品を探し、その手法を自分の作品でも再現してみましょう。「音楽動画でも、映画でも、自分にとって気に入っている作品を探してください。スクリーンショットを撮って Premiere Proに取り込み、そのベクタースコープとパレードを調べてみましょう。そうすると、その作品にどのような色が使われているのかが分かり、自分の作品を編集する時に参考にすることができます」とドゥーガンさんは言います。

       

カラーグレーディングで、自分の創造力を羽ばたかせましょう。色の理論や 色の意味について参考文献を読み、得た知識を実際に使ってみましょう。

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