個人商店が季節感のあるお菓子のミニポスターを作成してみる

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自分の好きなものを誰かに知ってもらいたい、あなたの日常の何気ないワンシーンを誰かと共有したい。そんな時に、ノンデザイナーでも簡単にデザインが出来るデジタルツール「Adobe Express」は力になってくれます。

この記事では、個人で「発信している人」「表現している人」「お店を開いている人」、さらには家族で「思い出を作りたい人」などに「Adobe Express」を実際に使ってもらい、制作して頂きます。

制作を通して、どのように「想い」を届けられるのか、さらにはどのようにAdobe Expressを使ったのかをリポートしていく〈私には、いますぐ届けたい想いがある〉シリーズ、その第2回目です。

写真:小倉亜沙子

店舗のミニポスターを制作する

今回は、東京都世田谷区の小田急線・豪徳寺駅からほど近い和菓子屋「SAKATAYA1793」を営む日下 拓(くさか・たく)さんにお話をお伺いし、店頭に掲示するミニポスターをAdobe Expressで制作して頂く模様をお届け致します。

SAKATAYA1793が東京に新店舗をかまえた理由

「SAKATAYA1793」は、新潟県村上市にある和菓子の老舗「酒田屋」から派生したお店。日下さんは酒田屋の跡取りで、他店での見習い修行を経て地元の戻ったのち、2019年、豪徳寺にSAKATAYA1793をオープンさせたそうです。

「地元の人口推移を考えると、都市部にお店を出すことは、今後のお店の在り方を考える上で必然でした。商業地域ではなく住宅街の側面が強い豪徳寺をエリアとして選んだのは、ビジネス的なセオリーからは外れるのですが、結婚をし、子どもが生まれたこともあって、家族との生活を重視して通いやすい場所に決めました。

ですがコロナ以降、在宅勤務の方が増えて、地元でお金を使われる人が多くなったんです。周辺に少しづつ新店舗もでき、今後の商店街の盛り上がりも期待できます。結果論ですけど、ここ(豪徳寺)を選んでよかったなと思っています」

千利休の茶室と同じ広さの店舗

SAKATAYA1793は大きな看板があるわけでもなく、一見すると和菓子屋とは分かりにくいシンプルな雰囲気の外観です。そして中に入ると、生菓子がガラスケースにひとつづつミニマムに陳列されいる、独自の世界観を持つ店舗でした。

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「ここは、千利休が最後に作ったと言われる茶室「待庵」(たいあん)とほぼ同じ3畳のこぢんまりとした広さのお店。そんな余計なものを削ぎ落とした空間なのに加えて、よくあるお菓子専門店のように、ショーケースの中にお菓子がズラッと陳列されてるような見た目でもありません。〈ここではお菓子が一つずつしか買えないのでは?〉とお客様に勘違いさせてしまうことも稀にあります(笑)」

和菓子の新しい在り方を伝えたい

日下さんはSAKATAYA1793というお店を通して、常に更新されていく和菓子の新しい在り方を伝えていきたいという気持ちがあるそうです。

「SAKATAYA1793では、見た目は和菓子なのに〈この素材にはこれとこれが合うのではないか〉といった、洋菓子ならではの発想で作られた生菓子『栗花落』(ついり)などがあります」

「また、まるでパウンドケーキのような見た目の『あん焼き』もお勧めです。つなぎに加えたほんの微量の小麦粉、こしあん6割、あとは各種フレーバーをオリジナルブレンドした、言うなれば焼き羊羹のようなお菓子です。あんこをベースにして、いろいろなフレイバーを楽しんでもらえるものをお出ししたいなと思っています」

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ミニポスターでお客様の心の背中を押す

なぜ、日下さんは和菓子という世界に新しい風を吹き込みたいと考えるのだろうか。

「和菓子は禅の影響が大きいので、考え方として引き算で作られています。その基礎ももちろん大事です。

しかし、戦中戦後の十分に素材を確保できなかった昔と比べて、世界中からどんな素材も手に入れることができるのが現在。引き算の和菓子だけでなく、足し算の洋菓子的な考え方も取り入れて、和菓子に新しい世界観を提案できたらと思っています」

新しい和菓子のあり方、それに合った店舗の魅せ方を目指すsakataya1793。お客様に知ってもらうためにどのような試みをしているのだろうか?

「Instagramなどをはじめ、SNSは当初からやっています。それでお客様が遠くからいらしてくれるのですが、逆に地元のお客様は決して多くないのが現状です。リアル店舗の前で、ドアを開けるか開けないかは、そのままではかなり難しいと感じるところもあります。

ですので、〈ドアを開けてみよう〉と心の背中を押すことができたらと思い、以前から店頭にはミニポスターを掲示しています。もっと多くの方にsakataya1793に訪れて頂き、和菓子の面白さを伝えられればと思っています」

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Making.1 Adobe Expressでベースとなるステージを作る

以前から、sakataya1793では店頭にミニポスターを掲示していましたが、今回はAdobe Expressを使って、新たな内容のポスターを日下さんに制作していってもらいます。

Adobe Expressには、PCやMacで作業を行える「Webブラウザ版」とスマートフォンで作業を行える「スマートフォンアプリ版」の両方があります。どちらも機能はほぼ同じなのですが、印刷物で新たなデザインをゼロから作り始めるとき、「A4」などのサイズを指定したい場合はWebブラウザ版のほうが便利なため、今回はWebブラウザ版でおもな制作を行っていきます。

もちろん、Webブラウザ版で作業を行った続きをスマホ版で行うなど、両方でシームレスに作業を行えるのでご安心ください。

テンプレートをベースにせず、新しいデザイン物を作るときは、まずトップ画面の左上にある「+」ボタンをクリックして、新規プロジェクトを作成します。

次に現れた画面で「カスタムサイズのグラフィック」をクリックします。そうするとサイズを選ぶことが出来ます。今回は「印刷」タブから「A4」を選んで、最下部の「次へ」をクリックします。

するとA4サイズの真っ白なステージが出来ます。ここに思い思いのデザインを行っていきましょう。

Making.2 写真を読み込みレイアウトする

今回は、和菓子屋の外壁に貼るA4のミニポスターを作ります。デザインとしては、上半分にお菓子の写真をシンプルにレイアウトし、下半分に色面を敷いてそこに細かな情報をレイアウトすることにしました。

まず、実際に写真を配置してみましょう。そのためには、PCもしくはMacにあらかじめ写真を取り込んでおきます。そして、画面左のメニュー「写真」をクリックしたら、「写真をアップロード」をクリック。ここで必要な写真を読み込みます。

読み込んだ写真は四方にハンドルがあるので、これをドラッグすることでレイアウトサイズを大きくしたり、小さくしたり、自由に変えられます。もちろん配置位置も自由に移動できます。

Making.3 素材のカラーを写真の色味に簡単に合わせる

次に下半分にレイアウトする色面を用意していきましょう。まず、画面左のメニュー「シェイプ」をクリック。その中で、「基本的なシェイプ」の中にある「長方形」を選びます。すると長方形のシェイプがレイアウトされるので、改めて作業画面上でこの長方形を選択してみましょう。

右側に表示された「シェイプを編集」で、この配置された長方形のシェイプをいろいろと編集することができます。ここでは「塗り」をクリックして、色を買えてみましょう。デザインで統一した色味で整えたいときは、スポイトのアイコンをクリックして、写真から色を吸い上げると、同系色になるので便利です。

Making.4 好きなフォントで文字要素を配置

文字も自由にレイアウトできます。

文字を配置したいときは、画面左のメニュー「テキスト」をクリック。右側に表示された画面で、必要な文字内容を入力したり、「フォント」や「文字サイズ」、そのほか「効果」などを設定できます。

お菓子の名前「栗花落」(ついり)は、「源ノ角ゴシック ExtraLight」を選択しました。「源ノ角ゴシック」はアドビのオリジナルフォントで、とにかくスタイリッシュ。Adobe Expressでは、こういったフォントを選べるのもメリットのひとつです。

また、上の「玉露~」というキャッチコピーは、昔の金属活字のニュアンスを大切にした「DNP 秀英明朝 Pr6 L」を選びました。これは、Adobe Expressの有料版「プレミアム」に加入した人だけ選べる書体。一ヶ月の無料体験できるので、このようなプレミアム機能もぜひ試してみるのはいかがでしょうか?

Making.5 ワンポイントとなるイラスト素材を

Adobe Expressには、さまざまなイラスト/グラフィック素材も用意されています。

これらは画面左側のメニュー「デザインアセット」をクリックすれば、多彩な素材を選ぶことが可能です。ここでは「イラスト」→「自然」→「雲」の中から、雲のイラストを選んで配置しました。お菓子の名前「栗花落」(ついり)は、栗の花が落ちる時期が梅雨入りの季節であるため「つゆいり」から「ついり」に転じたというもの。それに合わせた雨雲のイメージのイラストを選んでいます。

最後に文字やイラストの前後関係を、「レイヤーの順序」の機能で調整して完成です。

同様の手順で、もう一点ミニポスターを作りました。

ミニポスターをAdobe Expressで作ってみて

このようにして作成されたミニポスターは、SAKATAYA1793の外壁に掲示されました。

「今まで自分でポスターをデザインしたこともありますが、使っていたツールが使いこなせず、そもそもお菓子を作る脳と違う部分なので疲れますし、時間もかかるので外注さんにお願いしていました。ですけどこれなら楽でいいですね。外注で頼むより、頭で考えて出来あがるまでがスピーディ。

いい物ができたんじゃないでしょうか? 実際に店頭でポスターを見て、ドアを開けてほしいですね。その時はわたくしがおりますので(笑)。皆様のご来店をお待ちしております」

SAKATAYA1793

東京都世田谷区豪徳寺1-43-7

小田急線・豪徳寺駅と世田谷線・山下駅から徒歩各1分。ウェブサイト

Adobe Expressを早速試しましょう