強い第一印象を与えるデジタルポートフォリオを作成する
テレワークが多くの企業で標準の就労スタイルとなるにつれ、企業は国内各地に求職者を募っており、求人ポストの競争率も高まっています。今や印象的な履歴書だけでは、有能な人材がいる応募者の間で抜きん出ることはできません。より強く印象づけ、差別化を図る必要があるなかで、質の高いポートフォリオサイトは、実績をアピールして印象づけ、多くの応募者の中で目立つためのよい方法です。
デジタルポートフォリオとは?
デジタルポートフォリオは、これまでのキャリアで達成してきた内容を眼で見える形で表示し、雇ってくれる可能性のある人達に自分のクリエーティビティを表現するチャンスを与えてくれます。ポートフォリオは、自分の最も得意とするスキルを表す、プロフェッショナルで高度なスクラップブックのようなものと考えていいでしょう。
優秀なデジタルポートフォリオは、魅力的でしかもわかりやすくできています。これまでやってきたプロジェクトを、全て見せるのが目的ではありません。その代わり、自分の最高の仕事に焦点を当てながら、自分の能力の幅を見せましょう。デジタルポートフォリオは、アーティストだけのものとは限りません。どんな業界に携わっていても、魅力的でプロフェッショナルなポートフォリオを作ることができます。
数十年前は紙のポートフォリオだけでしたが、現在のデジタルポートフォリオなら、様々な形態を取り入れることができます。:
- webサイト Webサイトはデジタルポートフォリオで用いられる、最も人気のある方法の1つです。 Wix、Weebly、Squarespace などを使うと、自分独自のwebサイトを作成できます。また、BehanceやFlickrなどを使うと、自分の作品をそこにアップロードすることができます。Webサイトポートフォリオを作成すれば、リンクをソーシャルメディアのプラットフォームで共有でき、誰もが自分の作品を閲覧することができます。
- PDF PDFポートフォリオは、金融やコピーライトなど、それほどビジュアルでない業界で人気があります。このタイプのポートフォリオは、画像も含みますが、主に文章を中心として内容をまとめます。また、必要に応じてポートフォリオを印刷することもできます。 デザインのテンプレート上でカスタマイズしたタイポグラフィと色を使い、Google SlidesやMicrosoft PowerPointでPDFポートフォリオを作成しましょう。完成したポートフォリオを共有する前に、 Acrobat Readerのような PDFビューアーを使って、仕上がりを確認してください。
- ソーシャルメディア 自分のソーシャルメディアもポートフォリオとして使えます。これは、計画を少し立てて取り組むだけで、自分の能力を示す大変効果的な方法となり得ます。しかし、ソーシャルメディアはポートフォリオの付録的な存在です。ほとんどのプロフェッショナルな職業において、自分自身についての詳細とその内容を丁寧にアレンジした、WebサイトまたはPDFのポートフォリオが必要です。
- クラウドストレージ Google Driveや Dropboxといったクラウドストーレージは、実際にはポートフォリオのコンテンツを保存する場所ですが、ストーレージ以上の存在として扱われるべきでしょう。もし自分の作品がクラウドストーレージのフォルダーに収めてあるなら、それは素晴らしいポートフォリオへの第一歩になります。少し時間をとってクラウドストーレージを整理してみましょう。ポートフォリオの最終仕上げにふさわしい、最高の作品がもっと簡単に見つかります。
強い第一印象を与えるポートフォリオを作成するには。
デジタルポートフォリオの目的は、自分が誰であるのか、何ができるのかを見せることです。最も重要なのは、自分の名前やロゴが、ポートフォリオ全体を通して見えるようにすることです。こうすればポートフォリオを見る人は、誰の作品を見ているのか、雇用すべき人物が誰なのか、確実に分かります。ポートフォリオの最初か最後など、絶対に見落とせない場所に、自分の連絡先を書きましょう。
ポートフォリオは様々なプラットフォームでパブリッシュできますが、それぞれ考慮する点が異なります。自分の作品のためにどれを選んだとしても、大切なのは構成です。一般的にポートフォリオは、個別のプロジェクトかカテゴリーに分けて構成されます。例えばインテリアデザイナーなら、デザインした家ごとのページや、キッチン、バスルーム、リビングルームのページを作成することができるでしょう。
最後に、デジタルポートフォリオには履歴書も必要であることを念頭におきましょう。ポートフォリオとPDFフォーマットの履歴書をリンク付するか、ポートフォリオの最後に挿入しても良いでしょう。
採用でポートフォリオが不可欠な業界
マーケティング、建築、あるいは広範にわたるアート業界の仕事には、上質なデジタルポートフォリオが転職するために必要な新たな条件となっています。また、就労している職業が前述の職業に属していなくても、そうなるのは時間の問題でしょう。
1. フォトグラファー
視覚に訴えるフォトグラフィーが、作品を表示するための優れた方法を必要とするのは当然なことです。作品をSNSに投稿しブランドを宣伝して人々の注意を引くのに良い方法ではあるものの、クライアントや雇用主に採用してもらうには洗練された写真のポートフォリオで個人をアピールできるWebサイトが必要です。
Webサイトやポートフォリオは、作品を見るそのフィーリングや雰囲気を示すものなので、競合するニッチ市場に合ったスタイルで作品づくりをしましょう。この場合、就職を希望する企業やクライアントが求めているコンテンツにしましょう。ウエディングプランナーの場合は、過去の披露宴などで撮影された写真、スポーツ団体であれば、さまざまなスポーツイベントで撮った写真、そして出版社では、報道写真やポートレート写真の技巧を評価してから、雑誌への掲載を検討するでしょう。
得意分野があって自信がある場合でも、ポートフォリオには多種多様な写真を入れて内容を充実させます。そうすることで、就労希望先に対し、写真の構図や照明、基本的なカメラ技術、そして専門とする写真の分野での強みでアピールできます。
2. メークアップアーティスト
過去に撮ったショーやファッションに関連する写真をすべて掲載してもよいですが、希望する就職先が自分の仕事ぶりを見ることができなければ、メークアップ業界で職を見つけるのは難しいでしょう。
専門分野がランウェイ、ファッション、映画のメークなどの場合であっても、撮影の腕前をアピールできるオンラインポートフォリオは不可欠です。結果に至るプロセスが、最終的な結果と同等に重視されるこの業界では特に動画が有効です。チュートリアル、製品の開梱シーンやデモのシーンを撮影した画像でスキルをアピールし、自分の意見やアドバイスをシェアしましょう。結婚式や卒業式向けには美麗なチュートリアルの動画を作成しましょう。または、特殊効果のあるメークで演者を身の毛もよだつゾンビに変身させます。
就職を希望する会社に合わせてコンテンツを作成し、オンラインで検索されやすいようにすることで、採用決定の前に自分の経験を精査してもらうことができます。
3. グラフィックデザイナー
ロゴやタイポグラフィなど、アートを通してメッセージを伝える企業では、ポートフォリオは単なる良い考えではなく、絶対に必要なものです。グラフィックデザイナーは、勤務先となる会社のスタイルを描画できるスキルを発揮しなければなりません。このような理由から、グラフィックデザインに関するポートフォリオには、重厚感のある正統派の企業デザインから鮮やかな色使いで遊び心のあるブランドロゴまで、さまざまなスタイルに対応しているサンプルを掲載するとよいでしょう。
グラフィックデザインの仕事の多くは、さまざまなグラフィックデザインアプリの経験が必要となるため、ブランドのアートワーク、書体、モーションワークのサンプルまでもが多様なスキルのアピールにつながります。また、デジタルデザインが会社の各ブランド戦略を構成するような業界では、これらのサンプルをオンライン上で閲覧できるようにしておくことが極めて重要です。
4.建築家
クライアントの候補に自分の建築物の過程を見せられたなら、仕事はやってきます。建築家の場合、設計、リサーチ、自分のスタイルや創造性を表現できるさまざまな実績でアピールしましょう。これらの実績は、就職を希望する会社や建物検査官の両者とも確認したい資料となります。魅力的なオンラインポートフォリオがあれば、仕事を見つけたり、建設許可の承認を得やすくなるでしょう。
創造力のアピールや自治体規則に沿って迅速に業務を遂行する能力、仕事のスタイルと建築の仕事を計画通りに完了して会社に貢献できる能力を示せるのがオンラインポートフォリオの良い点であり特徴です。
5. ライター
スマートなキャッチフレーズを作成し、複雑な題材をわかりやすい記事にし、さまざまなブランドの消費者の声を捉えることのできる優れたライターであっても、仕事を探す能力がなければ、未来の雇用者に自分を知ってもらう機会もありません。
オンラインポートフォリオは、ライターがブログや電子書籍、SNS、Webサイトなどを通じて、多彩なスキル、情熱、そして言葉による巧みな表現力をアピールするのに最適なツールです。企業の採用担当者が求めている過去の著述のサンプル、例えば就きたい分野についての著述やそれをどのようにうまくまとめていったのかをポートフォリオに記載しましょう。
言葉を使って仕事をする組織や団体に、エディターとしての適性をアピールできるように、ポートフォリオ、個人サイト、SNS のニックネームなどが精選されたもので、スペルミスがないよう注意しましょう。
6. アーティスト
かさばるスケッチブックや、紙のポートフォリオを使って作品をアピールする時代は過ぎ去りました。今日、多くのアーティストはタブレットで仕事をし、ブランド広告からデジタル漫画に至るまであらゆる分野でデジタルアートを生み出しています。デジタルアートポートフォリオは、さまざまな材料を使って絵を描くスキルを、簡単かつ素早くクライアントに見てもらえる方法です。
ポートフォリオで作品のサンプルを適切に紹介することで、創造力だけでなく、構成力、視点、プロポーションといった芸術的な要素に関する理解度や習熟度を伝えることができます。ポートフォリオは、将来働きたい分野の作品で満載にしましょう。将来の雇用主に、視覚的なストーリーテリング力、ファインアート、プロのポートレートなど、雇用主が求めているスキルを持っていることをアピールしましょう。(例えば、宝飾品や彫刻などの3Dの作品を作るアーティストであれば、作品をアピールするための写真が必要となるでしょう。そのため、作品のサンプルをデジタルで用意しておくことも必要です。)
アーティストは、自分のWebサイト訪問者がよりスムーズに閲覧できるように、自分の技術を披露する作品をJPG の画像にしましょう。PDFのファイル容量は大きいため、PDFをJPGに変換することでアップロードする時間を短縮することができます。さらに、ポートフォリオのファイル容量や読み込み時間を適度に維持するため、あるいはさまざまなファイルを結合して1箇所に保存するためPDFを圧縮してもよいでしょう。
アーティストの場合、ポートフォリオや常に最新にしておく必要がありますが、オンラインポートフォリオなら画像のアップロードも簡単にできて便利です。また、簡単な方法で将来のクライアントの注意を引くには、SNSで作品を共有するのもよいでしょう。
7. マーケティング担当者
多くの媒体と同じく、マーケティングも紙からデジタルに移行しています。現代のマーケターにとっても、オンラインポートフォリオは不可欠な存在です。就労希望先やクライアント、提携パートナーの多くはSEOブログ、Facebook広告、印刷広告のサンプル、マルチメディアを利用したキャンペーンなど、さまざまな媒体を通じたマーケティングの実績を求めています。デジタルポートフォリオならこれまでのキャリアを通して完成させた多彩な作品を素早くかつ簡単に見せることができるのです。
最も大切なのは仕事自体ですが、その仕事の過程についての詳細な情報も大切です。ポートフォリオには、次のような内容を掲載しましょう。
- 完成までに要した時間
- 作品に使用したマーケティング手法
- 作品の協力者
- その経験からが学んだ事柄
優れたマーケティングのポートフォリオには、作品の結果を示す指標が多く含まれているものです。マーケティングキャンペーンの見た目も内容も良くなかったが、努力はしたことを示す調査や統計なども掲載した方が良いでしょう。
Adobeで簡単にデジタルポートフォリオにアクセス
ポートフォリオが閲覧されないと、どの分野で働いていようと、自分の仕事を他人が見ることはできません。オンラインで簡単に共有・検索ができる、洗練され、本格的な職務経歴書の作成には、 Adobe Portfolioを使用しましょう。
ポートフォリオに加えたい素材が多数ある場合には、ファイルの変換、編集、事例の更新ができ、そして将来の雇用主やクライアントに簡単に共有できるようなアプリが必要です。Adobe Acrobatは、デジタルの利点を最大限に生かし、多彩なサンプルをポートフォリオに取り込むために必要なツールを提供します。作品を見て気に入ってもらえたら、次の作品にすぐにとりかかれるようにオンラインで契約書にサインできるソリューションが必要となります。
昨今の雇用市場では、デジタルポートフォリオは良い第一印象を与えるだけでなく、作品を完成させるために色々なアプリを駆使できる能力をも示します。そうしたスキルと創造性に富んだ過去のサンプルを、インタラクティブなデジタルポートフォリオを使って公開して、採用機会の拡大を狙いましょう。