シンボルマークの世界
街の通りにも、ウェブサイトにも、話し言葉の中にもシンボルはどこにでもあります。デザイナーが、視覚でメッセージを伝えるために、どのように創造力を駆使してシンボルやアイコンを作るのか、また効果的なシンボルを作るコツを学びましょう。
生活で必要なシンボル
地図、絵文字、トランプ、音符など日常生活で私達はシンボルを使って意味を伝えます。シンボルは言葉、アイデア、コンセプト、そして音までもビジュアル的に表すことができます。ブランドはシンボルを使って、消費者に商品名を知ってもらい、ブランドの特徴や価値を消費者に分かりやすい方法で伝えます。シンボルは直感的かつシンプルです。それだけに、新しいシンボルを考えるのは、見た感じよりも難しい作業になります。
シンボルを使って訴える
シンボルに人気が集まるのはなぜでしょうか?「視覚的に訴えるシンボルは、なぜか言葉より心に残るのです。人間は視覚的にものを考えます」とデザイナーのアリッサ・ニューマンさんは言います。古代文明の人々はシンボルというシステムでコミュニケーションを図りました。古代エジプトの象形文字や17世紀に使用された六角形のダビデの星が良い例です。極めて特徴的なフルール・ド・リスのシンボルはフランス王朝からインテリアデザインまで、幅広く使われています。また、ピースマークは世界中どこでも、その意味が理解されています。
現代でも私達は昔と同じようにシンボルに頼って生活をしています。感嘆符、中点記号、チェック印などのシンボルは、生活の一部となっています。スマイルマークやハートマークでさえも、色々なプラットフォームでメッセージを送る時に言葉に添えて使われています。
シンボルは記憶によく残るというだけでなく、メッセージを素早く伝える働きもあります。「シンボルは意味を素早く理解させてくれます。5つの単語で説明しなければいけない事を、シンボルだと1つだけで理解してもらえます。例えば、8角形の停止のサインを考えてみましょう。停止と言う言葉を読む必要もなく、その形と色ですぐに意味が理解できます」とデザイナーのジェイコブ・オバーミラーさんは言います。ハイウェイで車を運転している時に、標識を素早く理解する必要があるように、ウェブサイトを閲覧している時も、探しているものを素早く見つける必要があります。
シンボルは国境を越えて、全ての人が理解できる言葉でもあります。トイレのサイン、通貨のサイン、交通機関のサインなどにシンボルが使われているのは、こうした理由からです。外国を旅行するとき、このような視覚的なガイドがなければ、すぐに道に迷ってしまうことでしょう。
マークを目立たせる方法
ロゴ用のマーク、新しいアプリのアイコン、その他何でもこのいくつかの基本に従えば目立つシンボルをデザインできます。
シンプルを心がける
「シンボルは小さいでシンプルな方が良いです。そのシンボルが何を意味するのか、すぐに分からなければいけません」とオバーミラーさんは言います。「携帯電話のアイコンを見てください。小さいでしょう。1つのアイコンに細かい部分をたくさん詰め込んだら、ごちゃ混ぜになってしまって、その細かい部分なんて到底見えません」とニューマンさんは言います。効果的なシンボルとは基本に忠実で、必要なことのみ描写しているシンボルです。「シンボルは目に心地よく見え、見ている人にホッと一息つかせてくれます」とニューマンさんは言います。
情報は最小限にとどめ、色のパターンもシンプルにします。「最初に作るシンボルのデザインは基本的、幾何学な形を使いましょう。そして、個性的なものにしてください」とニューマンさんはアドバイスします。
オリジナルのシンボルを作る
人それぞれの考えが、それぞれ違うシンボルへと導きます。それがデザイン作成の素晴らしいところです。デザイナーはそれぞれ、コンセプトに対してそれぞれ異なる考えを持ちます。同じコンセプトであっても、出来上がるシンボルはどれ1つとして同じものはありません。
新しいものを受け入れやすい思考力を持つには、形を使って色々試し、同じコンセプトであっても異なる表現方法を考えてみることです。どのような言葉や色がそのコンセプトと関連するのか考えてみます。「良い練習法としてこんな方法があります。日常生活でよく見るシンボルやブランド、例えば身障者のアイコンなどを新しく自分でデザインしてみるんです」とオバーミラーさんは言います。
ブランドのガイドラインを基本にデザインする
ある会社から、新しいシンボルやアイコンのセットをデザインする仕事の依頼がありましたら、そのブランドのガイドラインをデザインの手がかりとします。おそらくその会社は、ブランドの差別化を時間をかけて主張してきたはずです。新しいシンボルのデザインも、そのブランドの特性を生かしたものにすべきです。「ブランドに沿ったデザインにすることは非常に重要です。そうすることで、アイコンは個性的なデザインとなり、その会社が製造したブランドであることが視覚的にわかります」とニューマンさんは言います。
試してみることが重要
シンボルのデザインに取り掛かる際、試行錯誤することを念頭に置きます。「シンボルの作成には形の抽象化が大切です。形を色々変えてみても意味が明確にわかるようにするのです」とニューマンさんは言います。コンセプトをたくさん作り、それらを素早く何度も試してみます。完璧でなくても良いのです。頭に浮かんだことを自由に試してみます。その過程で何かしらの発見があるかもしれません。
最初は、色々なアイコンのデザインを参考にしてインスピレーションを得ましょう。Behanceのようなサイトを見れば、今までにないアイデアやデザインを発見するかもしれません。「でも、他人の作品ばかり見ていてもダメです。自分自身で正しいと感じたことをやってください。また、現在人気のあるスタイルを追いすぎるのも良くありません。他人の作品を参考にするようなことがなければ、最終的にはオリジナルなデザインが出来上がります」とニューマンさんはアドバイスします。
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