新たな力をもう1つ - Plus One
オリジナルブランド「nocco.」でキノコをモチーフにしたデザインを展開する“キノコ作家” 久保佑衣さん。取り扱うのはキノコイラストをワンポイントに使ったトートバッグやTシャツ、キノコ柄のテキスタイルデザインを使ったポーチやスマートフォンケース雑貨、果ては洋服まで、そのバリエーションは多種多様です。中でもキノコの柄(え)を付け加えて、キノコのかたちをそのまま再現したキノコがま口は、久保さんの代表作とも言えるキュートな仕上がりになっています。
今回は手描きイラストからAdobe Captureを使ってパターンを作り、Adobe Illustratorでテキスタイルとして仕上げていく、久保さんのパターンメイキング術を紹介します。
“CaptureとIllustratorのパターン機能なら、テキスタイル作りは驚くほど速くて簡単です”
Captureでイラスト取り込み&パターン化→Illustratorでテキスタイルに仕上げる
「nocco.で取り扱う商品は、イラストやテキスタイルのデータを送って商品として納品してもらうケース、ファブリックプリントのサービスを使ってプリントされた生地を作り、縫製をして仕上げているケースとさまざまですが、いずれもテキスタイルのデータを作る必要があります。
キノコのイラストはよくアナログで描かれていると思われるのですが、手描きのケースもあれば、最初からPhotoshopで描いているものもあります。描いたイラストをテキスタイルにする場合、以前はPhotoshopでコピー&ペーストを繰り返し、ファブリックプリントの指定幅の画像として作っていました。ただ、この方法だとパターンの繋がりを考えるのが大変でした。今のIllustratorのパターン機能なら、仕上がりをプレビューしながらキレイにつながるテキスタイルを簡単に作れるので本当に便利になりましたね。
テキスタイルとして仕上げるのが大変だった手描きのイラストも、Captureを使えば手間なくもすぐにパターンにできますし、ライブラリを使ってIllustratorへの取り込みもスムーズ。今回もこの機能を使って生地を作り、バッグとポーチに仕立てました。テキスタイルを作っている人にはぜひおすすめしたいです」
1. 紙に描いたイラストをCaptureで撮影し、シェイプとして取り込みます
2. Captureの「パターンビルダー」でシェイプを読み込み、パターンを作成
3. ライブラリを経由してIllustratorでパターンを適用。背景と組み合わせて仕上げます
https://milo.adobe.com/libs/img/mnemonics/svg/capture.svg | Adobe Capture
手描きイラストをパス化&パターン化Adobe Captureのパターンビルダー
「手描きのイラストを使う場合、以前はそれをまずスキャンしてPhotoshopで色を調整して、細かいゴミを取って……と非常に工程が多かったのですが、Captureならカメラでイラストをそのまま取り込むことができるだけでなく、細かいゴミ取りが不要なくらいにキレイに線画に仕上げてくれます。しかも画像ではなくパスのシェイプとして読み込まれるので、縮小・拡大して使うときにも安心。実はパスの操作はそれほど得意ではなくて、イラストでパターンを作るときも、
画像のまま並べていたくらいなのですが、これならパスを使ったパターンにも簡単にチャレンジできそうです。
作ったパターンはライブラリに保存するだけで、デスクトップのPhotoshopやIllustratorに受け渡せるので作業もスムーズ。(タブレットOS版の)Captureにあるパターンビルダーも、取り込んだイラストをパターンやテキスタイルにするときに、どういうイメージになるのかをすばやく確認できるのでとても便利ですね」
https://milo.adobe.com/libs/img/mnemonics/svg/illustrator.svg | Adobe Illustrator
配置、重なりの再編集もお手のもの。
Illustratorのパターン機能
「Photoshopでキノコのイラストを描いてそのままテキスタイルとしてパターン化することが多かったので、Illustratorの機能を追えていなくて……パターン機能=タイルの1マス分をデザインしてそれを繰り返すもの、と思い込んでいました。でもIllustrator CC以降ではこのパターン機能がとても使いやすく、できることが広がったと聞いて、すぐにCreative Cloudに乗り換えました。実際に使ってみると、要素の位置やサイズ、タイリングの仕方も細かく、でも簡単に設定することができるのが本当に便利です。もう、どうやってパターンを並べたらきれいに上下と左右がつながるか、そんなシミュレーションをしなくても、プレビューで並べた状態が確認できるんですから。Illustatorでは、Capture以上に細かいパターンのコントロールができるので、Captureで手描きイラストを取り込み、パターンにする、そしてライブラリ経由でIllustratorに取り込んで仕上げていく。これならテキスタイルデザインも大幅にスピードアップすることができそうです」
キノコ作家
久保佑衣
女子美術大学 デザイン・工芸学科卒。キノコをモチーフとした雑貨や衣類を取り扱うオリジナルブランド「nocco.」を中心に、キノコ、テキスタイル分野で活動中。