Photoshopで色を置き換える手順を解説!できないときの解決法も

広告やwebサイト、印刷物などに写真を配置するときに、「全体のカラーリングに合わせて、写真の中の色を別の色に置き換えたい」と感じる場面は珍しくありません。また、「同系色だけど微妙に違う色を調整して、統一感をもたせたい」ということもあるでしょう。
この記事では、そのような場面のために「Adobe Photoshop」で画像の中の色をほかの色に置き換える方法を解説します。実際の操作画面とともにわかりやすく説明するので、ぜひお読みください。
また、「白や黒がほかの色にうまく置き換わらない」「スマートオブジェクトのままで色を変えたい」というお悩みの解決策も紹介します。
※この記事の情報は2024年9月時点のものです。アプリケーションのバージョンにより、操作画面のUIや機能が異なる場合がありますので、ご了承ください。
Photoshopの2つの「色の置き換え」
Photoshopには「色の置き換え」の名前を持つ機能が2つあります。
- 色調補正の「色の置き換え」
- 「色の置き換え」ツール
色調補正の「色の置き換え」は、画像内の特定の色を指定して、それをほかの色に置き換える機能です。画像の中の広い範囲の色を置き換えたい場合に適しています。
一方、「色の置き換え」ツールは、特定の箇所を手動で塗ることで色を変える機能です。細かい箇所をピンポイントで編集できますが、広い範囲の色を置き換えるには向いていません。
どちらも比較的少ない手順で色を編集できる便利な機能ですが、注意点が2つあります。
- スマートオブジェクトには適用できない
- 白や黒などの無彩色はうまく置き換えられない
スマートオブジェクトや無彩色の箇所の色を置き換えたい場合は、「色の置き換え」以外の方法で色を変換するの章をご参照ください。これらに当てはまらない場合は、以下の「色の置き換え」の操作手順の解説をご覧ください。
色調補正の「色の置き換え」(色の置き換えダイアログ)
この方法は直接画像に調整を加えるため、まずは画像を複製(Ctrl+J/Command+J)しておきましょう。ツール上部のメニューバーの「イメージ」>「色調補正」>「色の置き換え」を選択すると、ダイアログが表示されます。
その中の「カラー」から、置き換えの対象となる色を指定してください。スポイトツールで画像内をクリックすると、その色を「カラー」に反映できます。また、「+」がついたスポイトを使うと置き換え対象の色を追加でき、「-」の方を使うと逆に置き換え対象から外せます。
「許容量」のスライダーは、「カラー」で指定した色とどれくらいまで似ている色を置き換えの対象とするかを指定するものです。許容量が低いほど「カラー」と近い色のみが置き換えられて、逆に高いほど遠い色も置き換えの対象となります。スライダーの下に、指定した許容量で画像内のどの領域が置き換えの対象となるかが表示されるので、ここを見ながら値を調整しましょう。
ダイアログの下部の「結果」が、置き換え後の色を指定する箇所です。カラーピッカーから指定することも、色相・彩度・明度のスライダーから指定することもできます。
ダイアログの右側の「プレビュー」にチェックを入れると、色を置き換えた結果のプレビューが表示されます。これをもとに、必要に応じて設定を調整しましょう。
設定が完了したら、ダイアログ右側の「OK」をクリックしてください。すると、色の置き換えがレイヤーに適用されます。
また、ダイアログの中で設定した色の置き換えの内容を保存しておき、後から再利用することも可能です。ダイアログ右側の「保存」をクリックすると、設定ファイルが保存されます。このファイルを「読み込み」から開くと、保存した色の置き換えの設定が呼び出されます。同じ編集を繰り返し実施する予定がある場合は、ぜひ活用しましょう。
なお、ダイアログを操作する前に画像内の特定範囲を選択しておけば、そこに限定して色を置き換えられます。例えば、似た色の服が2つ並んでいる場合、先述の手順で色の置き換えを行うと、両方の色が変わってしまうことがあります。それに対して、一方にだけ選択ツールを適用すれば、その範囲外には影響を与えずに、選択した方の服の色だけを変更可能です。
「クイック選択ツール」を使うと、選択したい範囲をなぞるだけでカンタンに選択できます。他にも「自動選択ツール」や、コンテキストタスクバーの「被写体を選択」などの便利な選択方法があります。
「色の置き換え」ツール
ツールパネルの中から「色の置き換えツール」を選択します。
ツールパネルの中に色の置き換えツールが見当たらない場合は、ブラシツールを長押しすると表示されるメニューから選択してください。
ツールを選択できたら、ツールパネルの下部から開ける描画色のダイアログから、適用したい色を設定します。
ツール上部のオプションバーからは、色を置き換える際の細かなオプションを設定できます。使用頻度が高いものとしては、以下が挙げられます。
▼ブラシ
- 直径:ブラシの大きさ
- 硬さ:値が大きいほどはっきりと、小さいほど柔らかく適用される
▼モード
通常は「カラー」を選択します。
▼サンプル(スポイトアイコン)
多くの場合で左の「継続」か中央の「一度」が使いやすいです。「継続」は、クリック・ドラッグしたすべての範囲の色が置き換わります。「一度」は、クリックした箇所と同じ色の範囲だけが置き換わります。
▼制限
多くの場合で「隣接されていない」の設定を使います。この設定だと、ブラシの範囲内で、ブラシの中央にある色と同じ色が置き換えられます。なお、同じ色かどうかの判定は、次に説明する「許容値」の設定次第で変わります。
▼許容値
許容値の値が小さくなるほど、ブラシの中央にある色と近い色だけが置き換わり、値が大きくなるほど遠い色も置き換わります。デフォルトの値である30%付近が使いやすくてオススメです。
▼アンチエイリアス
チェックを入れると、色を置き換える際のブラシの境界線が滑らかになります。
設定が完了したら、色を置き換えたい箇所をブラシでなぞります。すると、描画色で指定した色が、元の色の明るさも加味されながら自然なかたちで適用されます。
「色の置き換え」ができない理由と解決法
色の置き換えがメニュー上でクリックできない場合や、置き換えを適用しても色がうまく反映されない場合は、以下の原因が考えられます。
- 対象のレイヤーが選択されていない
- 白黒の箇所を置き換えようとしている
- スマートオブジェクトになっている
対象のレイヤーが選択されていない
対象のレイヤーが選択されていないと、処理を適用できません。下の画像のように、対象のレイヤーが選択されているかを確認しましょう。
白黒の箇所を置き換えようとしている
色調補正の「色の置き換え」も「色の置き換え」ツールも、対象の色が白や黒などの無彩色の場合は使用できません。白や黒を別の色に置き換えたい場合は、「色の置き換え」以外の方法で色を変換するで紹介する方法を試してみてください。
スマートオブジェクトになっている
色調補正の「色の置き換え」も「色の置き換えツール」も、スマートオブジェクトには適用できません。そのためラスタライズが必要になります。
ラスタライズを実行するときは、レイヤーを複製して元のデータも残しておくようにしましょう。もしくは、これから紹介する方法ならスマートオブジェクトにも適用可能なので、こちらをご検討ください。
「色の置き換え」以外の方法で色を変換する
Photoshopには、「色の置き換え」と名前がつく機能のほかにも、画像内の色を変換する複数の方法が存在します。以下に挙げるものはスマートオブジェクトにも適用でき、白や黒などの無彩色を置き換えることも可能です。
- 色調補正の「色相・彩度」:まったく異なる色に変換したいときにオススメ
- 調整レイヤーの「特定色域の選択」:元の色を自然な範囲で変えたいときにオススメ
- 塗りつぶしレイヤーの「べた塗り」:白や黒などの無彩色に色をつけたいときにオススメ
色調補正の「色相・彩度」
まずは色を変えたい場所を選択します。クイック選択ツールを使うと、範囲をなぞるだけでカンタンに選択可能です。
また、「選択範囲」>「色域指定」を使うと、「スポイトで色を指定して、許容量で範囲を調整」という、色調補正の「色の置き換え」と似た操作で選択範囲を指定できます。
範囲を選択できたら、ツール上部のメニューバーから「イメージ」>「色調補正」>「色相・彩度」をクリックします。するとダイアログが開き、その中の色相、彩度、明度のスライダーを調整することで色を変換可能です。
白や黒などの無彩色を置き換えたいときは、「色彩の統一」にチェックを入れます。その状態で色相を適用したい色の位置に合わせ、彩度と明度を調整してください。
調整レイヤーの「特定色域の選択」
レイヤーパネルの調整レイヤーから「特定色域の選択」をクリックします。
するとプロパティパネルが開きます。その中の「カラー」のプルダウンから、置き換えたい色の系統を選んでください。例えば、下のように青い服の色を変えたい場合は「ブルー系」を選択します。
その状態で、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのスライダーを調整すると、画像の中のブルー系の範囲の色が変わります。
カラーが「白色系」の場合はうまく色が変わらないことがあります。その際は、「絶対値」を有効にすると反映されやすくなります。
塗りつぶしレイヤーの「べた塗り」
色を置き換えたい範囲を、クイック選択ツールや「選択範囲」>「色域指定」などを使って選択します。
次に「レイヤーパネル」下部にある、「塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成」から「べた塗り」をクリックしてください。
ダイアログが開くので、適用したい色を設定してください。すると、選択範囲が単色で塗りつぶされます。
この状態で塗りつぶしレイヤーの描画モードを変更すると、単色から自然なかたちでの塗りつぶしに調整されます。元の色が黒以外であれば、多くの場合で「乗算」を選択するのが適しています。黒の場合は画像や置き換え後の色などによって変わるため、複数の描画モードを適用してみてください。
【参考】さらに色合いを調整したい場合はトーンカーブがオススメ
この章で解説した方法で色を変換したうえで、「もっと自然な色合いにしたい」と感じることもあるでしょう。そんなときは、画像の明暗やコントラストを細かく調整できる「トーンカーブ」という機能がオススメです。
まずは色合いを調整したい箇所を選択して、調整レイヤーの「トーンカーブ」を選択します。
トーンカーブは画像全ての範囲に影響を与えるため、トーンカーブレイヤーを右クリックして「クリッピングマスクを作成」を選択します。
するとトーンカーブの影響を与える範囲が、すぐ下のベタ塗レイヤーのみになります。
その後、トーンカーブレイヤーのグラフマークをクリックして、設定画面を表示します。
グラフは画像の明るさや色合いを表しており、線のどの位置をどの方向に動かすかによって、補正効果が変わります。
線の右上は画像の「明るい部分(ハイライト)」、真ん中は「中間部分(中間調)」、左下は「暗い部分(シャドウ)」を表します。
また、トーンカーブの線を左上のエリアに動かすと画像全体が明るくなり、右下のエリアに動かすと暗くなります。つまり、画像の暗い部分を明るくしたい場合は、トーンカーブの左下(暗い部分)を左上に移動させればOKです。
トーンカーブを使うことで、置き換えた部分をさらに自然な色に調整できます。
なお、トーンカーブに関する詳しい内容は、以下の記事で詳しく解説しています。より細かな色彩調整をしたい場合は、あわせてご覧ください。
Photoshopがあれば、どんな画像編集も思いのままに。
Photoshopは、プロのフォトグラファーやデザイナーから趣味で写真を楽しむ人まで、幅広いユーザーに支持されているPC向けの画像編集アプリです。画像の補正やエフェクトの追加はもちろん、合成や生成AIを使った画像生成など多彩な画像編集が可能で、プロフェッショナルな仕上がりを実現できます。
高度な写真補正ができる
Photoshopなら、写真の明るさや色味の微調整はもちろん、不要な要素の消去や高度な合成もカンタンです。例えば、写真の中で色あせてしまった空を鮮やかな青に置き換えたり、商品のカラーバリエーションをカンタンに試したりと、思い描いた色彩を瞬時に再現できます。
多彩なデザイン制作に役立つ
SNS用のバナー、ポスター、webグラフィックなど、Photoshopにはクリエイティブを形にするための機能が多数備わっています。写真やテキストを自由に組み合わせ、プロ仕様のデザインが誰でも手軽に作成できます。
リアルなイラスト作成にも使える
Photoshopのブラシツールは、使う人の感性をそのままに表現します。水彩画や油絵のような繊細なタッチ、筆圧感知や傾きに反応するリアルな描画で、手描きの風合いをそのまま再現できます。
魅力的な写真・画像をシンプルに共有
Photoshopで仕上げた写真は、最適なサイズや形式で出力でき、SNSやウェブでの共有もスムーズです。プロフィール写真からカバー画像まで、思い通りにカスタマイズできます。
Photoshopがあれば、今回ご紹介した方法や豊富な機能を使って、画像をイメージ通りに仕上げられます。この機会にぜひPhotoshopを使って、想像を超えた新しいクリエイティブの世界をお楽しみください。