世界のマーケティングトレンドと消費者が求めるコンテンツ

デジタルコンテンツがあふれるこの時代、消費者の関心を集めるコンテンツとはどんなものでしょうか?世界中の1,013人の消費者を対象に調査を行い、その答えを探りました。

この記事では、コンテンツが世界中の視聴者にどのように響き、購買意欲にどんな影響を与えるのかを深掘りしていきます。トレンド紹介に加え、世代や地域ごとの反応の違いにも触れながら、エンゲージメントを高めるポイントや消費者行動の変化について考察します。

要約

目次

Levels
1

信頼性の力

製品やサービスだけでなく、よいマーケティングはブランドへの信頼を育むものです。今回の調査を通して、顧客の信頼を得るために重要なポイントが見えてきました。世界の消費者が最も多く消費するコンテンツの種類についても見ていきましょう。

Z世代はユーザーが作成したコンテンツを最も信頼できると感じる傾向が強い世代です。デジタルネイティブである彼らは、セールストークを見抜く力があるため、Z世代に響くマーケティングには特別な工夫が必要です。世界的に見ても、ユーザーが作成したコンテンツがブランド動画よりも信頼できると感じている消費者が多く、42%がユーザーが作成したコンテンツを支持する一方で、ブランド動画の支持は34%にとどまりました。

また、Z世代は動画コンテンツを最も好む世代で、その割合は98%に達しています。この傾向は若い世代ほど強く、ミレニアル世代は91%、X世代では78%が動画を好んでいます。一方、ベビーブーマー世代は69%がメールでのコンテンツを好む傾向があり、特に文章コンテンツが信頼されやすいようです。これを踏まえると、年配層にはメールマーケティングが効果的と考えられます。

世界的には、44%の消費者が文章コンテンツを最も信頼できると感じている一方で、ブランド動画は34%、写真は30%にとどまっています。Instagramのようなビジュアル中心のプラットフォームでインフルエンサーマーケティングが普及したことで、こうしたコンテンツの信頼性がやや低下しているのかもしれません。

また、世界では約50億人がSNSを利用していますが、SNSを通じて新しいコンテンツを発見する頻度は国ごとに異なることがわかりました。最も多いのはメキシコで、70%がSNSを通じて新しいコンテンツを見つけており、次いで南アフリカ(67%)、イギリス(53%)、オーストラリア(52%)、ドイツ(50%)、アメリカ(43%)が続きます。この結果から、SNSの影響力には地域ごとに差があることが確認されました。

最適なコンテンツの長さと種類

世界中の消費者が好むコンテンツを把握した後、次に消費者行動を調査しました。マーケティングコンテンツの理想の長さや、長さや特徴が購買行動にどう影響するのか、世代や国ごとの回答を見ていきましょう。

短尺コンテンツと長尺コンテンツにはそれぞれ利点があります。短尺コンテンツ(2分未満または300文字以下)は、メッセージをすばやく効果的に伝えるのに適し、長尺コンテンツ(5分以上または700文字以上)は、より詳細な情報を提供できます。また、中尺コンテンツ(2~5分または300~700文字)もあり、どの長さが最もコンバージョンにつながりやすいかは、地域によっても異なる可能性があります。

世界全体で見ると、消費者は中尺コンテンツが最も購買につながりやすいと感じており(44%)、次いで短尺コンテンツ(31%)、長尺コンテンツ(25%)となっています。一方、短尺コンテンツは長尺コンテンツに比べて24%高い割合で購買意欲を引き出しており、特に南アフリカではその傾向が強く(39%)見られました。対照的に、メキシコでは短尺よりも長尺コンテンツのほうが34%高い確率で購入につながっています。

SNS投稿キャプションでは、世界的に短尺コンテンツが好まれる傾向が見られました。また、イギリスの消費者は長尺コンテンツで購入に至る割合が最も低く(19%)、中尺コンテンツからの購入が最も多い(47%)という結果になりました。

イギリスとアメリカのSNSユーザーは行動パターンが似ているものの、短尺コンテンツに対する購買意欲はイギリスのほうが高く(34%)、アメリカは26%にとどまっています。また、両国ともに「オンラインコンテンツに集中力が続かない」と感じており、その割合はイギリスで63%、アメリカで47%でした。世界全体でも同様の傾向が見られ、61%の消費者が集中しづらいと答えています。

参加型のコンテンツ(アンケートやクイズなど)を魅力的なコンテンツと考える回答者は全体の半数ほどにとどまりました。このことから、参加型コンテンツはユーザーの関心を引くために取り入れられているものの、必ずしもすべての人に効果的とは限らないと考えられます。

マーケティング動画は、カテゴリーによっては商品やサービスを伝えるのに非常に効果的です。最も購入につながりやすいジャンルは、テクノロジーやガジェットを紹介する動画(29%)で、次いで商品レビューや開封動画(26%)、ファッションや美容関連の動画(25%)でした。

こうした世界的なトレンドを牽引しているのは、Z世代かもしれません。彼らは、テクノロジーやガジェット、ファッション、美容といったあらゆるカテゴリーの動画から最も影響を受けやすい世代です。

テクノロジーやガジェットの動画は、調査対象国の中でも特に人気が高く、オーストラリア、ドイツ、イギリス、アメリカで購買行動に強い影響を与えています。一方、メキシコではレビューや開封動画、南アフリカでは料理やレシピ動画が購買につながりやすい結果となりました。また、ベビーブーマー世代は健康やウェルネス、情報系の動画から影響を受けやすい傾向があるようです。

これからのトレンド予測

2024年に向けて、消費者がブランドに求めるメッセージやマーケティングコンテンツに関する調査結果をご紹介します。

世界中の消費者の大半(85%)が、ブランド戦略においてサステナビリティが重要だと考えており、とりわけ南アフリカ(97%)、メキシコ(92%)、オーストラリア(87%)、ドイツ(86%)、イギリス(82%)、アメリカ(75%)でその意識が高いことがわかりました。

ブランドの透明性とサステナビリティは密接に関係しており、来年はこの点に注力するとよいでしょう。2024年には、特に小規模ビジネスに対して、世界の消費者のおよそ6割がより誠実で透明なメッセージを求めています。

コンテンツの方向性として、新しいテクノロジーを取り入れるのもひとつの方法です。特にミレニアル世代は、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、参加型ストーリーといった新しいコンテンツ形式に関心を示しています。

本当に効果があるかどうか、不安に思うかもしれませんが、それはターゲット次第です。Z世代はミレニアル世代よりも19%多く、こうした新しいコンテンツ形式での購入に前向きです。また、Z世代の約3割が参加型のストーリーに期待を寄せており、Instagramの「ハイプ」コメント機能などにも注目しています。

デジタルコンテンツの未来

今回の調査により、マーケティングにおけるユーザーが作成したコンテンツの影響力が高まっていること、動画形式が消費者に与える影響が異なること、そしてブランドのサステナビリティがますます重要視されていることが明らかになりました。この調査結果は、変化し続ける世界の消費者に響く戦略を立てる際に貴重な指針となります。今後、消費者と強い関係を築くためには、魅力的で信頼性のあるコンテンツ作りが重要です。

調査結果

この調査では、世界各国の1,013名を対象に、マーケティングコンテンツに対する好みや認識、トレンドについて分析しました。回答者の国別内訳は以下のとおりです。

また、世代ごとの内訳は以下のとおりです。

公正利用に関する声明

世界のコンテンツトレンドや消費者の好みに関する調査結果は、非営利目的で自由にご共有いただけますが、その際は本調査へのリンクをご記載いただきますようお願いいたします。

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