講談社と言えば、日本を代表する大手出版社だ。週刊少年マガジンを始めとするコミック雑誌から文芸誌まで、あらゆるジャンルの出版物を刊行している。
同社のデジタルコンテンツビジネスは比較的早くから行われ、携帯向けのコンテンツとしてコミックを配信するなど、業界内でも先進的な取り組みが行われてきた。
時代が移り変わり、携帯からスマートフォン、そしてタブレットPCが台頭してきた今、新たなるデバイスに対してどのような取り組みが行なわれているのだろうか。
今回、同社でデジタルビジネスを担当するスタッフの方に、次世代デジタルビジネスに対する同社の取り組みについて、お話を伺った。
株式会社講談社
コミックから文芸誌まで幅広いジャンルの出版物を刊行する大手出版社。創業100年を超える老舗の企業でもある。出版のみならず、ライツ事業など次世代のコンテンツビジネスを積極的に展開し、出版業界をリードする。
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女性をターゲットにしたデジタルマガジンをリリース
講談社では、豊富なリソースを有効的に活用すべく、以前より様々な形でデジタルビジネスにチャレンジしている。その中で、女性誌のデジタルビジネスを統括しているのが、今回取材に訪れた新事業企画部だ。
「会社全体でデジタルビジネスを統括している部署があるのですが、サイトの運営方針やフォーマットなどは各部署に委ねられていたんですね。現在はそれを統括して、効率よく運用して行こうという動きが出ています。」と語るのは、第二編集局新事業企画部部長であり、デジタルマーケティング部を兼務している山口志門氏だ。
第二編集局では、FRaUやViViといった、女性をターゲットにした雑誌を刊行している部署だ。今回、Adobe® Digital Publishing Suite®を利用して制作されたiPad用デジタルマガジン「妊活スタートブック」も、FRaU編集部からリリースされている。男性ユーザーが多いと言われているタブレットPC市場において、あえて女性をターゲットとした背景には、何か特別な意図があったのだろうか。
「我々が日々作っている女性誌というのは、基本的には総合誌です。例えばファッション誌といえども、そこにはファッションがあり、美容あり、健康あり、映画あり、と1冊のなかにさまざまなコンテンツを入れ込みます。ところが、アプリの世界では『何が出来るアプリ』なのかが、一目でわかるものしか人気が出ないんですね。今回リリースした『妊活スタートブック』はその点、『妊活』というテーマに絞ってあり、内容がわかりやすく作れそうでした。雑誌コンテンツからアプリ、というコンテンツの二次利用をする際にはこうしたテーマを絞り込むことも大切だと考えています。」と、山口氏は女性をターゲットにした意図を語ってくれた。
敢えてシンプルな作りに仕上げる
今回リリースされた"妊活スタートブック"は、大日本印刷のデジタルマガジンを制作する部署に多大な協力を得て制作されている。インタラクティブな仕掛けなど、大日本印刷からもいくつかの提案があったそうだが、なるべくシンプルな作りを目指したという。
「iPadに慣れていない女性の方にとって、iPadの操作は意外に難しいんですね。ですので、敢えてボタンの位置やサイズを調整するなどして、使いやすさにこだわりました。」と、制作を担当した岩田俊氏は語る。
そのため、敢えて動画などの機能は加えなかったそうだ。余分な動きよりも、雑誌としての感覚を大切にしたという。
「動きではないのですが、子育てと仕事の両立をシミュレーションするためのチェックシートなどは評判良かったですね。」
たしかに、チェックシートなどは、画面をタップするだけでチェックを入れられるので、紙面よりも手軽に利用できる。他にも、文字数が多い記事などは、非表示にしておいてタップすることでコラムが開き、その都度読めるようにするなど、飽くまでも雑誌を主体とし、"読む"ことを重要視した作りになっていることがわかる。

デジタルコンテンツを推進させるためにも、事業部の再編を進めて行きたいと語る山口志門氏

雑誌版を忠実にデジタルマガジンに再現したiPad版“妊活スタートブック”

