これまでに数多くのムックや書籍の企画、制作を手がける一方、ヨガスタジオやカルチャースクール事業など、多角的な事業展開を行ってきた株式会社ロータスエイトが、新規事業として電子書籍の制作へと参入した。ロータスエイトを初めとして、現在多くの編集プロダクションが新しい市場とAdobe® InDesign®、そしてAdobe® Digital Publishing® へと期待をかけている。
株式会社ロータスエイト
ムック、書籍などの企画・制作を請け負う編集事業をメインとし、ヨガスタジオやカルチャースクール事業などを手掛ける

株式会社ロータスエイトは、ファッション誌やヨガ専門誌など、ファッションとフィットネスを中心として、幅広いジャンルの出版物を企画・制作する編集プロダクションだ。また、本によって得た知識を実際に体感をしてもらうことで、人々の暮らしを豊かにしたいという企業理念から様々なタイプのヨガインストラクターによるヨガ教室やいろいろな分野が学べるカルチャースクールを経営するなど、多角的な事業を展開する。
そのロータスエイトが、有名バッグブランドのHEADPORTER からの依頼を受けて、iPad 向けの電子カタログである「HEADPORTER MAGAZINE」を制作した。これまでにも多くの雑誌を手掛けてきたロータスエイトだが、電子書籍をリリースするのは初めての試みとなった。
今回、電子書籍の出版に取り組むこととなった経緯と、実際に現場でDegital Publishingを使ってみた感想を同社の代表取締役である橋村伸也氏と制作を担当した富田直樹氏の両氏に伺った。
世界にアピールできる新しい市場
電子書籍の可能性についてはiPadが発売される以前から検討していたが、Digital Publishingのベータ版がリリースされたことで、本格的な電子書籍市場への参入を決定したそうだ。
「以前から何かできないものかと考えていたところに、富田が以前より付き合いのあったHEADPORTERさんとの企画が持ち上がり、"HEADPORTER MAGAZINE" を制作することになりました。」と、橋村氏は語る。
HEADPORTER MAGAZINEは、iTunesストアでリリースされるやいなや話題となりダウンロード数も着実に増えていった。クライアントの評判もよく、実際にバッグの注文も増えたという。
「とくに海外からの問い合わせが増えたという話も聞きます。これまで日本に来なければカタログが手に入らなかったのですが、iTunesを通じて、広く世界にアピールすることができたようです。」
安価な制作費用でグローバルな展開を行うことができるタブレットPCの市場に大きな魅力を感じることができたと、橋村氏は語ってくれた。

海外での展開を考慮に入れて、日本語と英語のバイリンガルで楽しめる内容になっている

ロータスエイトが初めて手掛けた電子書籍"HEADPORTER MAGAZINE"。スタイリッシュなデザインで若者を中心に人気を呼ぶ、HEADPORTERのバッグをマガジン形式で紹介している

同社代表取締役の橋村伸也氏。これからも成長の見込める電子書籍市場に注目していると語る
構成からデザインまでを一人でこなす
今回、HEADPORTER MAGAZINEの制作を担当したのは、同社に勤務する富田直樹氏だ。構成やデザインをする一方、一部撮影を行い、さらにはモデル として登場するなど、マルチに活躍する富田氏だが、数カ月前までデザインの経験もInDesignを使ったこともなかったそうだ。
「今回、HEADPORTERの電子カタログを制作するにあたって、むしろ紙でのデザイン経験がなかったことが幸いしていると思います。iPadのユーザーインターフェイスは紙とも違うし、またWebでもありません。そうした先入観を持たず、トライ&エラーを繰り返すことで、iPadに適したインターフェイスデザインを考えることができたと思います。」
もともとカメラが好きで、PhotoshopやIllustratorなどを使いこなしていたこともあって、InDesignの操作にさほど難しさを感じなかったという。今回のHEADPORTERMAGAZINEでもバリロケやドキュメントページで使用した写真は自身で撮影したものだそうだ。
「Digital Publishingはバージョンアップが繰り返されるたびに使い勝手が良くなっていきますね。今後もどのような機能が追加されていくか楽しみにしています。」
現在はiPadにのみ対応しているDigital Publishingのベータプログラムだが、今後はiPhoneをはじめとした、他のデバイスにも幅広く対応してくれればと、大きな期待を寄せている。
「InDesignとDigital Publishingでの作業は、むしろ紙媒体より手軽だと思います。今回は敢えて使いませんでしたが動画などもサポートされているので、幅広い企画が考えられます。そして、なにより誰でも簡単に電子書籍を作れるところが魅力ですね。」と語る富田氏。
しかし、誰でも簡単に作れてしまうからこそクオリティが大事なのだとも言う。コンテンツ数の少ない今でこそ手にとってくれる可能性があるかもしれないが、結局のところ、クオリティが最も重要であるということだ。

構成を担当した富田直樹氏。デザインだけではなく、構成からモデルまで、制作の多くを一人で担当した

