
VI(ビジュアル・アイデンティティ)やサイン、広告といった大掛かりで時間のかかるタフなジャンルのデザインを主に手がける6Dの木住野氏。アプリケーションやフォント、コンピュータといった作業環境においては選定から積極的に関わり、厳選した上で自らの道具として使いこなしている。今回はそんな木住野氏の環境づくりやフォント環境に重点を置いて話を聞いてみることにしよう。
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自らを「新しい物好き」と称する木住野氏。主に使っているのはIllustrator CS5とのこと。アプリケーション環境の移行にあたっての不安はなかったのだろうか?
「CS5については、上げざるを得なかったというのが正直なところです。スタッフが増えて、社内で環境が揃えようと思ったら最新バージョンしか選択肢はありません。安心・不安については、どのバージョンを使っていても同じですが、入稿先から古いバージョンを指定されたときに、各バージョンの機能や違いを知っているかどうか、なのじゃないでしょうか。知っていればその機能を古いバージョンでも開けるように調整することができます。」
CS5を導入してよかったこと、あるいは悪かったことは?またアプリーションのバージョンアップに期待するのはどのような点なのだろうか。
「CS5にしてよかったのは、まず落ちなくなったことと、合成フォントで発生していたバグがなくなったこと。あとは最近スクリプトを使うようになって、画像の収集なんかがとても便利になりました。CS5はCS4に比べて、断然よくなってます。ただ、新しい機能全部がいいというわけでなく、例えば3Dの機能なんかは中途半端で使えません。そういう派手なところじゃなく、実作業の中で本当に役に立つところをピンポイントで紹介してくれたら、もっと移行しやすくなると思うんですが。今後のバージョンアップに関しても、ここ数バージョンを見ているとメジャーアップグレードというよりも、マイナーチェンジのような印象で、デザイナーが望んでいると思えるような機能の追加が少ない。何よりサイクルが早すぎるように思います。」

6D 木住野彰悟氏

東日本大震災で被害の大きかった地域に、車で本を届ける移動図書館プロジェクト「Book Wagon」のためのロゴデザイン。シンプルなピクト的表現で、さまざまなツールへと展開されている

長野県川上村のレタス農家の株式会社化の際のVIデザイン。畑を表す地図記号をモチーフに、レタスの緑を組み合わせたロゴマークは、並べるとテクスチャとしても使えるようになっている
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フォント環境には、モリサワのMORISAWA PASSPORTをいち早く導入したという木住野氏。現状のフォント環境にほとんど問題を感じてはいないそうだ。
「Mac OS Xになった頃にフォント環境が大きく変わりました。プリンタフォントが要らなくなったり、OpenTypeフォントが登場したり。モリサワの年間ライセンスシステムができたことで、フォントの初期導入費用が下がり助かっています。MORISAWA PASSPORTには書体数もかなりありますし、OpenTypeフォントが充実しているので、これひとつで事足りているという感じでしょうか」
今やクリエイティブ環境の標準として欠かせない存在となっているMORISAWA PASSPORT。最近ではモリサワフォント以外にも大日本スクリーンのヒラギノや、タイプバンクの書体など次々に新たな書体が追加され、新書体が無償で手元に届くアップグレードキットや使い易さを向上させるインストーラーの改修なども行われている。
「MORISAWA PASSPORTは最初にインストールしたまま更新していません。MORISAWA PASSPORTの入ったコンピュータでOSやアプリはアップデートしたり入れ直すことはありましたが、どんなフォントが追加されたのかなど、アップグレードキットが届いたらちゃんとチェックしないといけませんね。とにかくフォント数が多いので、どれを入れるか選ぶだけでも迷ってしまいます。いまは3年前に購入したMac Proを使っているのですが、マシンを買い替えた場合にはどうやってフォントを移したらいいんでしょうね。」
木住野氏に限らず、MORISAWA PASSPORTを導入したときのまま使い続けているユーザーは少なくない。どんなフォントが追加されているのか、どんな情報が更新されているのかあまり意識していないケースも多いようだ。


