Adobe® InDesign®はさまざまな日本語組版専用の機能をもっています。特に「文字組み」設定の機能は、必要に応じて日本語組版の効果をこまかく調整することを可能にします。 特別のハードウェアやソフトウェアを必要とする専用の写植組版システムなどでは、 日本語組版を微調整できる機能をもつものもありました。けれども、標準的なパーソナルコンピュータ上で使用できるページレイアウトソフトウェアの多くは、従来比較的簡単な調整機能しかもっていませんでした。このことは、多様な内容と体裁をふくむ本格的な出版用途にページレイアウトソフトウェアを利用する上で、ひとつの重要な課題でした。InDesignでは、文字組みや「禁則処理」、「連数字処理」、および「分離禁止処理」 などの機能を提供することによって、高品位な日本語組版に必要となるさまざまな微調整を行えるようになりました。ここでは、特にInDesignで採用された「定義済み文字組みセット」と文字組み設定の機能について解説します。
文字組み設定とは
InDesignでは、文字を行やページに組み上げていく方法を、いくつかの機能を用いて調整することができます。文字組み設定とは、日本語、欧文、記号類などをふくむ種々の文字の間の間隔のとりかたや、改行位置などについて、ユーザが指定することを意味します。欧文と和文との間隔や、開き括弧と句読点との間隔など、文字組み設定には多くの項目が含まれます。そこで、各種設定のひと組のことを「文字組みセッ ト」と呼びます。用途や目的に応じて、異なる文字組みセットを選択または作成することで、多様な組版体裁に対応することができます。あらかじめInDesignは14種の異なる文字組みセットを用意しています。これら既定の文字組みセットは、日本語組版において慣習的に広く使われている文字組みに対応するもので、ユーザがすぐに選択して利用できるものです。

約物全角・段落1字下げをベースとする新しい文字組みセットの設定例
定義済み文字組みセットの特徴
文字組みを設定するもっとも簡単な方法は、「定義済み文字組みセット」の中からひとつを選択することです。これは、段落パレットで文字組みポップアップメニューに列挙された定義済み文字組みセットのなかから一つを選択します(図1参照)。InDesignでは、あらかじめ14種の文字組みセットが用意されており、はじめから定義済み文字組みセットとなっています。そのなかからユーザの用途や目的に合ったものを選択します。これら14種の既定の文字組みセットは、いずれも基本的にJIS X 4051-1995に基づいていますが、部分的に異なる組版上の特性をもっています。次に、それぞれの文字組みセットについて、それがどのような組版上の特徴をもっているかを見ることにします。

図1: 14種の既定の定義済み文字組みセットからの選択
