どのデータストレージシステムも完璧ではありません

データシステムは故障することがあります。自然災害はストレージ施設を倒壊させ、またはマルウェアではファイルを破壊します。2021年のWebroot Threat Report (脅威レポート)によると全PCのほぼ半数が何れかの時点でウイルス感染しているとのことです。これらの問題は利益の損失や企業イメージの悪化、それ以上の悪影響を意味するものです。IBMによるとデータ盗難を経験した17の国や地域を通した平均的な被害総額は424万米ドルで、2020年の386万ドルから増加したそうです。幸い、適切なツールがあれば、会社のデジタル資産を保護することができます。

データの損失を防ぐことが重要な理由

ビジネスに関する重要なファイルの損失がビジネスに与える影響は非常に深刻であるため、どのような組織にとってもリスクを軽減するための取り組みは必要不可欠です。リスクとしては以下の事象が考えられます。

  • 利益の損失 データを損失すると新たなコストがかかり、それは利益の損失を意味します。回復費用や、従業員の怠慢や失敗が原因であった場合には、従業員の退職金も大きな出費となります
  • 評判へのダメージ データへの重大な危害が生じるとそれはニュースになり、企業ブランドに悪評判がたちます。
  • 生産性への悪影響 時間はとても貴重なものです。損失したビジネスデータを回復するには何日も、何週間もかかります。
  • ビジネスの失敗 最悪の場合、データを損失したことにより、ビジネスを辞めなければならないこともあります。

ビジネスデータの損失に共通する原因

会社のデータが損失した原因を特定することが、回復への第一歩となります。以下の原因について考慮してみましょう。

マルウェアとウイルス.

マルウェアとウイルスは、ビジネス、政府、そして人々にとって深刻な脅威です。これらのサイバーセキュリティ脅威は迷惑メールなどさまざまな形で現れます。バッファロー大学によると、学生に就職先を提示した迷惑メールが最近の脅威の例だそうですが、その脅威はあらゆる形態で発生する可能性があるとしています。

ビジネスにおいても「経理担当のジム」と名乗る人から慈善活動の募金を募るようなメールを受け取ることがあるかもしれません。あるいは、Google のような信頼度の高い企業に似せて書かれたメールで情報を盗むために閲覧者を不正なページへと導くこともあります。これはフィッシングと呼ばれ、どの組織も被害を受けています。

データの盗難や損失を防ぐために、組織は、その従業員が不正の疑いのある迷惑メールを識別し、怪しいメールを介して個人またはビジネスのデータを決して送信しないよう教育訓練をしなければなりません。従業員には、フィッシングを報告し、それに関わらないよう指示してください。

また、マルウェアから守る方法として、不審な添付ファイルやリンクを警告してくれる信頼のおけるサーバーや、PDFに付随するマルウェアから保護してくれる優秀なPDFリーダーを使うという手段もあります。常にソフトウェアをアップデートして、コンピューターには最新のものが搭載されているようにしましょう。マルウェアやウイルスは絶え間なく発達し続け、ソフトウェアもそれらから守るためにアップデートしています。事業を経営している場合、未知の送信者からのファイルを開くことがよくあります。そうしたファイルの裏側に潜む悪質アクターから、確実に自分を保護しましょう。

管理者は、未知のファイルまたは不審なファイルへの対処を明示した標準プロトコルを設定し、それを従業員と共有してください。もし、ファイルがウィルスやマルウェアを含んでいる可能性がある場合は即座に削除し、IT管理者に報告しましょう。

データの盗難

セキュリティの緩さがデータの盗難に繋がることもあります。サイバー攻撃がおこる場所も変化しており、最近では携帯電話のデータが盗難の新たな標的となっています。従業員に、情報を電話や他の機器に保存させている企業は、その情報が会社に関連するものか従業員個人に関連するものかどうかに関係なく、データを危険に晒しているかもしれません。

データの盗難はクライアント、顧客、そして自社に良からぬ結果をもたらします。必要なデータのみ保管するようにしましょう。そして時間をとって、身元を証明する情報や個人情報を暗号化してください。こうした情報を暗号化しておけば、たとえ失ったとしても悪人の手に陥ることはありません。データがクラウドストーレージに保管されていても、チームメンバーのデバイスで使用されていても、このパスワード保護はアクティブであるべきです。

ソフトウェアのアップグレードとバグ

ビジネスのスピードに合わせて、アップグレードをしていく必要があります。そしてウイルスなどのバグから、確実に保護しましょう。しかし、アップグレードも、データを無くす原因になる可能性があります。新しいバージョンのソフトウェアが古いファイル書式に対応していないかもしれません。厄介なバグは、ソフトウェアのアップデートや改良に伴い問題を引き起こす可能性があります。

アップグレードの前に、ファイルをクラウドにアップロードするか、ハードドライブにバックアップすれば、アプリケーションをアップデートすることから起こる問題を軽減できます。その方法の1つとして、バックアップストーレージの信頼できる自動システムを設定し、アップデートの前に全てが確実に保存されていることをダブルチェックするという、能率的な方法があります。

ハードウェアの故障.

古い機器ほどデータ損失のリスクが高いのですが、ハードウェアが故障する理由はそれだけではありません。コンピューターが故障する理由はオーバーヒートが一般的ですが、こぼれたコーヒーがデータ損失につながることもあります。コンピューターは意外ともろいものです。

ハードウェアの支障に気がついたらすぐ、IT担当者からのサポートを得るよう、管理者は従業員に指示しておくべきです。そうすれば、デバイスが修理不可能という事態になる前に、素早く問題に対処できます。

また、古いハードドライブに頼っているのではなく、機器を常にアップデートする必要があります。クラウドを使ったバックアップシステムも、ハードウェアが故障した場合に、データの損失を防ぐことができます。インターネットのWi-Fiの接続が安全に保護されている限り、クラウドストーレージも安全です。

自然災害と停電.

落雷や火事、洪水などがインフラ関連施設とデジタルインフラを破壊することがあります。オフィス空間を破壊する原因となる現象はデータをも破壊しうるのです。小規模ビジネスの場合、データの損失を防ぐことを優先していないことが多いので、こうした災害の被害も大きくなります。

地震に備えて、バックアップの情報を複数の場所に保管しておけば、収入が大きく揺れることも防げるでしょう。さらに、そのバックアップ情報をクラウドにも収めておきましょう。洪水被害から守るには、ハードウェアに湿気センサーをインストールすることができます。停電に備えてバックアップ用のジェネネレーターを用意しておけば、ビジネスに影響が及びません。

人的エラー

失敗は起こるものなので、どの組織でも人為的なエラーから生じるコストを考慮しておく必要があります。自分のファイルは必ずバックアップしておきましょう。クラウドシステムの多くは、ファイルが作成されると自動的にそれをバックアップします。誰かが間違ったボタンをクリックしたために、四半期全体のデータが失われた、というリスクは避けましょう。

データへのアクセス権を、そのデータを必要とする人々のみに限定するのも、こうしたありがちなミスからビジネスを保護する1つの方法です。そうすれば、重要なデータの扱いについてトレーニング受けていない人が、間違ってそれを全て消去してしまうというミスを防ぐことができます。

以上、挙げた状況で大切なことは、異常な自体が起きても、それに耐える、強固なストレージシステムを築くことです。自然災害やサイバー攻撃、あるいは予期しないバグがデータの損失を引き起こすことを予測するのは不可能です。しかし、いつかはそのような事態に陥るかもしれないと考えておくのも良いことです。そのような事態が起こった時を想定して備えておくことで、データを損失してもすべてを失わずに、迅速に対応できるのです。

Business colleagues reviewing business data together

デジタルデータの損失を防ぐ方法

定期的なデータのバックアップ、セキュリティシステムの強化、適切な書式の文書によって、データの完全性の強化に大きく差がつきます。

データを定期的にバックアップしましょう

データのコピーを複数保存することは、ビジネス慣行の一部として重要視する必要があります。この慣行を実践するには、以下のとおり色々な方法があります。

  • 外付けハードディスク:基本的で安価、かつ簡単なバックアップを行うには、データを外付けハードディスクに保管すると良いでしょう。ただし、外付けのデバイスはバックアップに手作業が伴う上、損失・損傷しやすいという恐れがあります外付けのハードドライブは、古くなるにつれて壊れやすくなるので、将来ハードドライブを買い換えることを考える必要があります。
  • クラウドソリューション クラウドバックアップはどの規模の事業にも有効なソリューションです。多くの業者がパブリックかプライベートのクラウドに、データをシームレスに保管できる「サービスとしてのバックアップ(BaaS)」を提供していますこのようなクラウドソリューションは、ファイルを作成またはダウンロードすると、自動的にそれを保存します。データをクラウドに保存しておくと、災害が起きた時にもすぐに使うことができます。
  • 専有ソリューション 専有ハードウェアとソフトウェアのソリューションも、大小さまざまなデータのバックアップに利用できます。これらのソリューションは特定のシステムやデータのみをバックアップしたい企業や、バックアップ処理の管理を強化したい企業に最適です

信頼できるソフトウェアのみを使用する

使用中のアプリケーションがすべて安全かつ信頼でき、セキュリティ保護されていることを確認しましょう。マルウェアやスパイウェアを正当なソフトウェアソリューションと間違うことがよくあります。一般的によく知られ、信頼できる会社のアプリケーションだけを使用しましょう。アプリケーションが確実に安全かどうかわからない場合は、不安な部分についてのリサーチをしてください。安全だと確信できるソフトウェアのみ、インストールしましょう。もし、不安な部分がある場合は、もっと信頼できるソフトを探してください。

コンピューターシステムとEメールサービスの中には、macOS Gatekeeper のように、信頼できるソフトウェアアプリケーションしかデバイス上で起動しないように開発された技術を組み込んだものもあります。ソフトウェアを常にアップデートしておくと、こうした埋め込み型の保護機能が、最新のウイルスやマルウェアに対して確実に効果を発揮します。

データセキュリティを強化する

企業は保護すべきデータ、アクセスできる個人、そして各ファイルに相応しい保護対策について把握しておく必要があります。リアルタイム分析はデータの損失が起こった時の追跡に役立つツールです。データセキュリティに関連する脅威を検知し予防するためには、強固かつ明確なセキュリティ計画が不可欠となります。

データの損失やセキュリティの侵害に対処するための、計画を立てることが大切です。データにアクセスできない時間が長ければ長いほど、それを回復させる確率も低くなります。計画を立てておけば、何か問題が起きた時にも対処しやすくなります。

適切なファイルのタイプを使用する

ファイルのタイプと書式はデータセキュリティにとって重要です。PDFは、パスワード保護と外部ツールがないと編集できないという機能が含まれています。PDFを共有する場合、読み取りのみにしたり、パスワードで保護することで、編集機能を規制できます。

ExcelWordPowerPointをPDFに変換することで、誤って、または意図的に行った文書の改ざんを防ぐことができ、さらにファイル容量を削減できるため、多くのファイルを安全に保存できるようになります。文書管理ツールでは、PDFを圧縮できるため、より簡単に保存することができます。PDFは、アップデートによりデータが損失することはありません。PDFを表示するデバイスやソフトウェアが何であっても、そのフォーマットは安定していて印刷可能です。

ファイルを複数の場所に保管する

ビジネスファイルは、さまざまな場所に分けて保管しましょう。より多くの場所にファイルを分けておけば、損失したデータを取り戻す可能性が高くなります。保管場所がハードコピーでもクラウドサービスでも、そのどれかに損傷が生じた場合、バックアップがあれば安心です。それには、文書の回復のためとデータ及び文書ストーレージの戦略が必要です。重要なデータの損失は、会社にとって最も発生してほしくない出来事です。

業務や共同作業をよりスピーディーかつ簡単に生産性を向上させ、脅威から組織を守るAcrobat の機能を学びましょう。

https://main--dc--adobecom.hlx.page/dc-shared/fragments/seo-articles/acrobat-color-blade