既存のワークフローを電子化する

昨今のリモートワークへの変化が到来する前にも、企業はワークフローを改善するための新しい技術を求めていました。デジタルトランスフォーメーションというトレンドは新しいものではありませんが、新しいトレンドの時代になっています。リモートワークでの仕事に起こりがちな、従業員間のコミュニケーションギャップを埋めるために、多くの企業がデジタルワークフローをビジネスに取り入れています。

デジタルワークフローとは?

デジタルワークフローとは、組織が仕事をこなすためのプロセスを自動化することです。作業をするための手順、ツール、計画などがデジタルワークフローに含まれます。作業をするための一連のステップがあり、そのプロセスを電子化したなら、それはデジタルワークフローとなります。通常は人間がそれぞれのステップを行うか、少なくともその過程を開始しますが、電子化はその過程を早く、簡単に、そして追跡するためのツールを提供します。

デジタルワークフローは、顧客サービス、人材管理、そのほかのビジネスプロセスに導入されています。Frevvoによると、作業プロセスの43パーセントを自動化することができます。例えば、支払い方法、販売オーダー、顧客からのクレームの処理、新入社員の雇用ペーパーワーク、休暇申請、事故報告などのプロセスが自動化できます。または、サプライチェーンやマーケティングキャンペーンの管理などにもデジタルワークフローを導入できます。

デジタルワークフローはシンプルにも、複雑にもできます。それには基本的な技術か、高度な技術を必要とします。それは達成すべき仕事の内容によります。重要なのはワークフローの管理です。システムのステップを設定し、計画し、追跡することで、そのプロセスは、適切なタイミングの通知や、情報を1箇所に集中させたリポジトリを使ってスムースに動いていきます。

Example of creating a PDF file in Adobe Acrobat

デジタルワークフローのメリット

重要なワークフローを自動化することで、企業は反復業務やユーザーによるエラー、そして管理業務の人件費を削減することができます。自動化によって職を失うという不安が多少は生じるものの、デジタルワークフローは企業と従業員の両方にとってメリットがあります。業務を効率化して、従業員の時間を節約するなど改善を進めていくことができるからです。

ワークフローを電子化には、紙を使った作業やマニュアルで行う作業の削減が伴います。紙のファイルは保存が難しく、紛失することもあります。マニュアルの作業は、優秀な従業員の能力と時間の無駄になることもあります。電子化することで、データはより安全に保管され、追跡も簡単になり、仕事がさらにはかどります。紙の節約にもなりますし、手作業によるエラーのリスクも減少します。

追跡やモニターが簡単なだけでなく、デジタルワークフローは重要なデータを生成することもできます。作業プロセスの非効率的な部分を発見して、他の種類のデータを収集して分析し、それをデジタルのルートで提供することができます。デジタルのプロセスでは、仕事の達成度の透明性が高く、全ての人々がそれに責任を持つことができます。

デジタルワークフローへの9つのステップ

始める準備ができたら、8つのステップに従ってデジタルワークフローを設定し、仕事のプロセスをさらに効率的にし、生産性を高めましょう。

1. 電子化の対象となる業務を選ぶ

自動化すべきワークフローを決めるために、まずすべきことは業務の内容を精査することです。業務と実績を維持しつつ、自動化による混乱を最小限に抑えることのできる計画を作成します。そのためには、電子化が可能であり、電子化すべき業務を洗い出す必要があります。

手作業による反復業務は、自動化対象にすべき最初の業務でしょう。仕分け、ラベル付け、電子文書のファイリングといった単純作業は自動化しましょう。より主観的な意見や情報を必要とするプロセス(品質管理や編集者の承認)は自動化にあまり適しません。

ワークフローの精査を実施して、どの手作業が電子化されるべきかを決定します。その精査により、手作業処理にかけている時間やリソースを把握することができます。また、デジタルワークフローをすれば節約できる時間や経費を浮き彫りにすることができます。

2. 新しいデジタルワークフロー向けのワークフローマップを作成する

目標を達成するには、その目標の中味を把握しなければなりません。自動化への取り組みをスムーズに進めるためにもワークフローマップを作りましょう。このマップは、業務の開始から終了までを電子化する予定の全プロセスを詳細に記載したレポートです。このビジュアルのマップは必要不可欠です。なぜなら、ワークフローの各項目について、自動化が可能なのは何か、そして何が実際に自動化されるのか、さらに自動化によって得られる結果を表示するからです。

このマップは自動化によるエラーを識別するためのツールとして、また将来の自動化プログラムのための計画案としても利用できるため、それぞれの自動化業務に対して個別のワークフローマップを作成することが重要です。

A team creates a workflow map for their digital workflow.

3. 新しいワークフローを全員が使えるようにする

新しいワークフローはそれを必要とする従業員全員が利用できて初めて役に立つものです。ワークフローの透明性が鍵となります。ワークフローマップがあれば、現従業員が新しい従業員に新しく自動化された業務のことについて教えることができ、また職務のどの部分がどのように変更されるのかも把握できます。クラウドベースのストレージは、全員がいつでもどこからでも重要文書にアクセスすることができるようになる便利なソリューションです。

ワークフローマップを保存、共有する場合は、大規模な共有が可能なPDFに適したフォーマットにします。ファイルをPDFに変換する際には、内容が誤って変更されないように、編集権限を設定するか、変更不能文書にすることができます。また、PDFは容量のかさむPowerPointと比較すると、少ないストレージスペースですみます。会社が共有サーバーを利用している場合は、ストレージスペースの節約になります。Acrobat Readerをダウンロードすれば、社員全員がPDFを簡単に閲覧して共有することができ、スムーズな共同作業と組織内の効率的なコミュニケーションを確保できます。

4. 適切で頼りになる自動化ソフトウェアを見つける

自動化ソフトウェアは数あるタイプから選択することができます。以下はその一例です。

CRM(顧客関係管理)

顧客関係管理ソフトウェア(CRM)は顧客データを評価し、管理します。CRM ソフトウェアはすべての既存顧客と見込み顧客のデータを保管する中央ハブ、あるいはビジネスの機会を識別するためにデータを分析するソフトウェアとして利用できます。

人事管理ソフトウェア

人事管理ソフトウェア(HRMS)は、人事規程、従業員データ、福利厚生データなど社内の人事を管理します。HRMS により、会社内の重要文書に簡単にアクセスできます。

ビジネスプロセス管理

ビジネスプロセス管理ソフトウェアは自動化された業務の作成、導入、閲覧のための中央ハブとして機能します。企業がデジタルワークフローを最適化できるよう、業務自動化による結果レポートを作成します。

自社に合った自動化ソフトウェアのソリューションを選択する際には、ワークフローマップに記載されたニーズや優先事項を確認しましょう。

A person takes notes based on the content they are reading on their smartphone

5. 紙のファイルを電子化

現在のプロセスでは、紙の書類のアーカイブとファイリングシステムに頼っているかもしれません。それでは便利な情報を不便にし、デジタルワークフローの中でそうした書類にアクセスするのは不可能です。紙のファイルを電子ファイルに変換して、こうしたデータをシステムに組み込みましょう。その文書が人事関連でも、顧客情報や内部共同作業に関連するものでも、スキャンする必要がある文書を選別して、電子化プロジェクトを計画しましょう。Adobe Scanは無料のモバイルアプリで、このようなプロセスを簡単にしてくれます。しかも、Adobe AcrobatのOCRテクノロジーは、スキャンしたテキストを編集可能にします。

6. 役割と権限を明確にする

どの従業員や共同作業メンバーが、どの文書にアクセスできるのかは、どのデジタルワークフローソフトウェアにも共通する、セキュリティの重要な問題です。職場で混乱を生むことなく、従業員が効率よく働くために必要なのはアクセス権です。そして、誤って人に機密情報へのアクセスを許可するような行為は避けなければなりません。例えば、人事マネジャーはHRMSに保存された全ファイルへのアクセス権を持っているべきですが、一般の従業員は許可された情報しか閲覧できないようにするべきです。

役割と権限を割り当てるのは、ソフトウェアが正常に機能し、リスクにならないようにするための重要な手順です。プラットフォームで明確な役割を割り当ていれば、トレーニングや調整にあたる期間を短縮することができます。

7. まずテスト、次にデプロイ

新しいデジタルワークフローの自動化は導入する前に必ずテストを行います。特に顧客に接するワークフローに関しては最新の注意を払います。このテストに含まれるのは、例えば、顧客のフェイクアカウントの作成、購入の最初から最後までの管理、あるいはチャットボットとのやりとりなどです。新しいワークフローは、すべての従業員に適用する前に、混乱を引き起こす、または通常業務を妨げる可能性のあるエラーを解決しておくことが大切です。

8. KPIの進捗状況を確認する

新しいデジタルワークフローが役に立っているかどうかは、どうすればわかるのでしょう?主要業績評価指標(KPI)は新しいワークフローの自動化がビジネス目標の達成に役に立っているかどうかを確認する優れた進捗トラッカーです。指標は他のデータ指標よりも簡単に調整できます。企業のニーズや優先事項が変わるにつれ、デジタルワークフローも変更する必要があるため、この指標は重要です。

例えば、あるKPIが新規購入のアカウントを基にした四半期毎の新規顧客を算出しているとします。アカウント数が増加していれば、CRMが機能していることになります。

9. より高い生産性に向けてデジタルワークフローを微調整する

この微調整は「設定するだけ」では意味がありません。デジタルワークフローの導入後には、自動化がKPIで良い傾向を示しているかどうか確認し、また改善の余地があればそれを特定します。定期的に過去を振り返り、進捗状況を確認することで、デジタルワークフローを最適化して業績を上げ、従業員のモチベーションを高めることができます。

業績を常に把握するためにはまず、新しいワークフローを定期的に確認する必要があります。しかしデジタルワークフローは、適切に導入され、定期的にチェックされることで、時間や経費を節約し、業務全般の効率を向上させるのです。自動化されたワークフローを適切に展開し、慎重に計画し、厳密に評価することで、時間の経過とともに生産性が大幅に向上していきます。

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