すべての人に読みやさを

年齢や能力を問わず、すべての人の読みやすさが向上するよう、アドビは教員や非営利団体、科学技術者とともに、デジタルデバイスにおける読書体験をパーソナライズする機能を開発しています。

Fast Company誌による2021年World Changing Ideas賞の最終候補に選出

アドビ、すべての人に読みやすさを提供するため、Googleやセントラルフロリダ大学と共同でReadability Consortiumを発表


米国では16~74歳の54%(1億3000万人)は読む力が不足しており、6年生よりも低いレベルにある

出典:米国教育省

パーソナライズ機能で読みやすさが向上


知識を習得しアイデアを共有するためには「読む」という手段が基本となりますが、世界の多くの子供や大人は十分な量を読むことができていません。しかし、この状況はテクノロジーで変えることができます。Adobe Acrobat Readerモバイル版アプリのLiquid Modeなどの新しいデジタルイノベーションを使うと、読み手に合わせて表示設定をパーソナライズすることができるため、あらゆる人の読む力を向上させることができます。

 

読みやすさを向上させるためのアドビの取り組みについて、詳細を見る(英語)

専門家とのパートナーシップによる研究


アドビは、テクノロジーを使ってデジタル文書を読みやすくするための研究に長年投資をしてきました。高等教育機関や専門家、非営利団体、教員、科学者と提携して研究に取り組み、パイロットプログラムを遂行し、知識を共有しています。 

最新情報:アドビ、すべての人に読みやすさを提供するため、Googleやセントラルフロリダ大学と共同でReadability Consortiumを発表

The Readability Consortiumについて詳細を見る(英語)

デジタル文書を読むためのデジタルイノベーション


アドビは、読みやすさを向上させるための研究結果を利用して、デジタル文書から情報を読み取る新しい手段を考案しました。最初に取り組んだのは無料アプリ、Adobe Acrobat ReaderのLiquid Modeです。このツールにより、モバイルデバイスでも簡単に文書を読むことができます。Liquid Modeでは、Adobe SenseiのAI技術と機械学習テクノロジーを使ってPDFの構造を理解し、読みやすさが改善されるため、外出先でも生産性を存分に発揮することができます。

Acrobat Readerモバイル版アプリの基本を学ぶ

読みやすさの改善
Adobe Action Team

最新の研究について

アドビは研究者と提携し、すべての学習者を対象に、フォーマットとテクノロジーが読解力に与える効果について研究しています。アドビの最新の研究結果(英語のみ)をご覧ください。

Board Serviceプログラム

読みやすいスタイルを見つけよう

Virtual Readability Labのクイズに挑戦してみましょう(英語のみ)。自分が最も早く読めるフォント、最適な文字の間隔、お気に入りのフォントがわかります。さらに、読みやすさの改善に向けた研究に参加することもできます。

コミュニティファンド(ECF)

教室におけるパイロットプログラム

小中高等学校、高等教育機関、カリキュラムの開発者、教育関連企業など、実際の教育現場で読みやすさ改善ツールを試用し、結果を共有してくださる団体を募集しています。 

すべての人の読みやすさを向上させる取り組みに参加する

読みやすさに関する最近の話題を見る

「読みやすさとアクセシビリティにおける新しい方向性」(Adobe MAX 2022におけるセッション)
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「パーソナライズされた可読性フォーマットによる価値の実現」(Adobe MAX 2021におけるセッション)

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「ひとつのフォントではすべてに対応できない:フォントデザインと読解力」(Adobe MAX 2021におけるセッション)

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「読みやすくするためのパーソナライズ:ひとつのフォントではすべてに対応できない」(2021年SXSW EDUにおけるセッション)

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アドビの研究論文

THERIF: Themes for Readability from Iterative Feedback (ACM CHI EA '23)

Tianyuan Cai、Aleena Gertrudes Niklaus、Bernard Kerr、Michael Kraley、Zoya Bylinskii

この論文では、デジタル文書の3つのテーマ「Compact(コンパクト)」、「Open(オープン)」、「Relaxed(リラックス)」を紹介。各テーマでは、異なるフォント、文字間隔、単語間隔、行間隔が使用されています。難読症の度合いが異なる様々な年齢の読者を対象におこなったテストでは、読者それぞれのニーズに合わせて文書のテーマをパーソナライズすることによって、読みやすさが向上するという結果が出ています。ここで推奨されている3つのテーマは、参加者数百人のクラウドソーシングによるテスト、デザインセッション、および機械学習という一連のプロセスを数回繰り返した後に生まれたものです。

Digital Reading Rulers: Evaluating Inclusively Designed Rulers for Readers With Dyslexia and Without (ACM CHI '23)

Aleena Gertrudes Niklaus、Tianyuan Cai、Zoya Bylinskii、Shaun Wallace

インクルーシブデザインの原則に従い、デジタルリーディングルーラーの4つのデザインを提案する論文。リーディングルーラーは、主に難読症の読者が今読んでいる行を見やすくするために使用するものですが、この物理的なルーラーをヒントにデザインされたデジタル版は、デジタル文書の読みやすさ向上に役立ちます。調査の結果、多くの読者はこうしたシンプルなツールの使用を好むこと、またここで提案されているデジタルリーディングルーラーを使うことによって、難読症の読者の読む速度が上がることが明らかになっています。

Readability Research: An Interdisciplinary Approach (Foundations and Trends in Human Computer Interaction, 2022)

Sofie Beier、Sam Berlow、Esat Boucaud、Zoya Bylinskii、Tianyuan Cai、他

読みやすさに関する研究の概説に、研究を実施する際のガイドラインを盛り込んだ長文の論文。読書に関する実験をおこなう際に考慮する必要のある項目について言及しており、タイポグラフィに関する考察、読書人口、実験用のハードウェア(アイトラッカー、脳の画像化技術など)、各種メトリクス(速度、理解、好み、その他)、分析手法などを取り上げています。この論文の著者には、タイポグラファー、教育者、視覚科学者、神経科学者、コンピューターサイエンティストなどが名を連ねています。

Personalized Font Recommendations: Combining ML and Typographic Guidelines to Optimize Readability (ACM DIS, 2022)

Tianyuan Cai、Shaun Wallace、Tina Rezvanian、Jonathan Dobres、Bernard Kerr、Samuel Berlow、Jeff Huang、Ben D. Sawyer、Zoya Bylinskii

FontMARTに関する論文。FontMARTは推奨フォントを提案する機能で、読む速度を向上させるフォントをパーソナライズして提案することができます。252人のクラウドワーカーを対象に実施した調査では、FontMARTで推奨されたフォントを使った場合、読み手の読解力を妨げることなく、読む速度が1分間に14~25語まで向上しました。調査で良好なエビデンスが得られたことから、将来的にパーソナライズされたフォント推奨機能をユーザーインターフェイスに組み込むことが検討されています。

Towards Individuated Reading Experiences: Different Fonts Increase Reading Speed for Different Individuals (ACM TOCHI, 2022)

Shaun Wallace、Zoya Bylinskii、Jonathan Dobres、Bernard Kerr、Sam Berlow、Rick Treitman、Nirmal Kumawat、Kathleen Arpin、Jeff Huang、Ben Sawyer

大規模なクラウドソーシングを活用して実施した、可読性に関する研究の論文。16種類の異なるフォントの読みやすさを比較した内容です。この研究では、読者が最も読みやすいフォントで読む場合、最も読みにくいフォントと比べて読む速度が35%向上したことが明らかになりました。また、最適なフォントは読者によって異なるため、読み手ごとにフォントを選ぶ必要性も指摘しています。

Improving Reading Outcomes for Readers with and Without Dyslexia (Journal of Vision V-VSS, 2021)

Aleena Niklaus、Shaun Wallace

Vision Sciences Society Annual Meetingでポスターとして発表された、論文の概要。デジタルリーディングルーラーを使用することが、難読症の読者や一般的な読者の読みやすさの改善につながるという内容をより広範囲に紹介しました。3種類の異なるデジタルリーディングルーラーを調査した結果、「読みやすい」と感じるデジタルリーディングルーラーのデザインは読者によって異なることが明らかになりました。

 

Accelerating Adult Readers with Typeface: A Study of Individual Preferences and Effectiveness (ACM CHI LBW, 2020)
Shaun Wallace、Ben Sawyer、Rick Treitman、Zoya Bylinskii、Jeff Huang

読解力テストのデザインに関する短い論文。書体の違いが読者の好み、読む速度、理解力に及ぼす影響を調査する際の、リモートやオンラインでの読解力テストのデザインを紹介しています。アドビの最初の研究結果であるこの論文は、人気のあるフォントと速く読めるフォントは異なり、ひとつのフォントではすべてに対応できないということを立証しています。

アドビのパートナー

大学

セントラルフロリダ大学のVirtual Readability Lab

Ben Sawyer博士は、コンピューターマシンインタラクション研究の第一人者で、セントラルフロリダ大学で当ラボを設立し、デジタル文書の読みやすさについて最先端の研究をおこなっています。アドビはVirtual Readability Labとスポンサー提携をおこない、Sawyer博士率いるチームと協力して、デジタル文書の読解に関する複数の研究をおこなっています。

読みやすさの改善

Readability Matters

Readability Mattersは、アドビのようなパートナーのエコシステムを利用することで、各個人にとって読みやすいフォーマットが、デバイスやプラットフォームをまたいで利用できるようになることを目的として活動しています。

World Education

World Education

World Educationは、教育と社会・経済開発プログラムを通して貧困層の生活の改善に貢献しています。アドビのツールを成人の教育現場で試用し、成果を共有する予定です。