SQUARE - UNLIMITED SaGa page: 1 2
インタビューイメージ
アドビ:After Effectsを使用したメリットは?

岩田 従来の3DCGでの制作では、髪の毛の形を変えただけでもレンダリングし直す必要があるのですごく時間がかかったのですが、After Effectsだとレイヤーの入れ換えだけで済みます。PhotoshopとAfter Effectsを使って試行錯誤を繰り返しながらフィニッシュに近い絵を模索できたので、今までより格段に早く作業できました。

吉沢 After Effectsで良かったのは、コンポジションを作るときに、キャラクタのエフェクトごとにまとめて作れるのが便利でしたね。途中でキャラクタが変わったときも差し替えできます。

立石 顔の上に落ちる髪の影や衣服の揺れなど、細かな表現を加えていくと膨大な数のレイヤーになるのですが、After Effectsだと数を減らして整理できる。レイヤーを重ねてサガの絵柄に持っていくための素材作りやAfter Effects上でのコンポジットにはFFシリーズの倍以上の時間をかけていますね。それでも作り始めたのが今年の4月なのでほぼ半年という短期間で完成しました。

吉沢 まとめた状態でも300レイヤーはあるのですが(笑)。ツリー構造だと説明するのが難しいのですが、After Effectsのようにコンポジションが縦に並んでいるとレイヤーが探しやすいし、作業しながらの説明が楽でした。

アドビ:After Effectsは今後のゲーム制作にも活用できそうですね。

岩田 After Effectsを使ってみたところ、幅が広いので今後の仕事でも使っていけると思いました。使っているうちにマスターでき、触っていると偶然できあがったり、いろいろな発見があったりと、とても面白いソフトウェアです。専門的な知識がなくともアニメーターやテクスチャ担当など、いろいろな人が手軽に使えると思います。

直良 After Effectsなら専用マシンがいらないし、ソフトの価格も手頃なので導入しやすいというメリットもありますね。

岩田 僕自身はモデラーなのでAfter Effectsをそれほど使い込んでいなかったのですが、Photoshopとの連携がすごく楽で、Photoshopを知っていれば使えますね。フィルタも同じように使えるし、「こうしたい」と思ったものがチョイスできます。雪が降っているような動きのあるシーンを説明するときもAfter Effectsで簡単に作ったムービーがあれば伝わりやすいですね。

アドビ:今後の課題や次回作に向けての抱負をお聞かせ下さい。
UNLIMITED SaGaに登場する7人のメインキャラクター
UNLIMITED SaGaに登場する7人のメインキャラクター
 
岩田 仕事では映像に必要な素材をチョイスするのですが、今の技術とPhotoshop、 After Effectsを使って満足するものができたかなと思っています。今まで以上にいろいろなものを模索できたので引き出しが増えました。早く次の作品が作りたいですね(笑)。

吉沢 Photoshopのアクションで作ったものとか、制作途中ででき上がったボツネタなんかも結構あるので、そういうテクニックは今後どこかで役立ちそうです。

立石 今回はいいものを作りたいと思っている人が多く集まってくれたので、映像ディレクターとしてプレッシャーもありましたが、いい経験になりました。

直良 今回のプロジェクトでは、みんなでぶつかりあって試行錯誤したり、いろいろな表現が見つかったりしたことが大きな財産になりました。これらの経験は今後に活かせるのではないかと思っています。
作業画面 MayaでモデリングしたCGデータをAfterEffects上に配置し、その上から影や髪の毛、衣服など細かなパーツに分けたレイヤーを複雑に重ねることで「スケッチモーション」と呼ばれる表現が実現した
アドビ:本日はありがとうございました。

スクウェアの『UNLIMITED SaGa』はゲームの枠のとどまらない新しい表現への探求から生まれたといえる。常に「その先」を求めて前進し続ける姿勢こそが、ヒット作を生み出す原動力になっている。PhotoshopとAfter Effectsを連携し、試行錯誤から生まれた数々の技術を使った新しいゲーム制作への挑戦は、その成長の度合いをゆるめることなく次回作へと続いてゆく。
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