初心者のための電子書籍の基本

eブック、つまり電子書籍とは、コンピューターやモバイルデバイスで読むために、特別にデザインされた文書です。電子書籍を書くにあたり、文字数やページ数には決まりがありません。10ページだけの本から辞書に至るまで、様々です。

電子書籍とは?

基本的に電子書籍とは、本を電子化したものです。電子書籍は固定された文書です。電子化されてはいますが、出版される際に完全な形態を取り、それを変えることはできません。時には再版されることもありますが、従来の本と同様、いったんテキストが設定されると、その形をとどめます。ちょうど印刷された本がそうであるように、電子書籍の内容は、フィクションでもノンフィクションでも、あらゆるジャンルをカバーしています。従来の書籍として出版できるものは、すべて電子書籍として出版できます。電子書籍は、デスクトップ、タブレット、Kindleのような電子書籍端末、スマートフォンなど、どのようなデバイスでも読むことができます。

電子書籍の利点

電子書籍の出版は、従来の出版社を通すよりずっと簡単です。新人の作家にとって、出版社を探すのは簡単なことではありません。自己出版する場合も、印刷費用がかなりの額になります。電子書籍を書こうと決めたら、マーケティングの手段として無料で配布することが可能です。電子書籍を販売した場合、従来の方法で出版する本よりも利益がはるかに多くなります。電子書籍の書き方を学ぶことで、市場に参入することができるかもしれません。

電子書籍は、作家にとって自分の本を世に送り出す良い方法ですが、読者にとっても書籍へのアクセスがずっと簡単になる方法です。本を注文して、それが届くのを何日も待つ代わりに、読者は本をダウンロードして開き、読み始めるという行動を数分でおこなえます。電子書籍に関しては、本を読むまでのハードルが低いので、同じ書籍でも、読者は実際の本より電子書籍を好んで読むかもしれません。マーケティングもまた、電子書籍の場合、コストが実際の本ほどかかりません。

電子書籍は、広く効率的に流通できるので、コンテンツマーケティングをおこなうのに人気のある方法です。電子書籍なら、商業的な会社は製品やサービスについて、また、どうやって問題の解決策を提供できるかを、詳細にわたって説明することができます。詳しい情報やユースケースを披露する素晴らしい方法であり、読者がそこから製品やサービスに興味を持ち、人に伝えたりする行為を促す方法として重要であるばかりか、それがさらに販売へとつながります。学校での電子書籍利用は、情報を補う際に最適です。アクセスしやすく、どこでも持ち運びができ、環境に優しいことは言うまでもありません。

新しく作成したオンラインコースのマーケティングをする場合も、作家として自分の名前を知らせたい場合も、電子書籍を書くのは最初のステップとして完璧かもしれません。

Close-up on the hands and tablet of a person who is reading an eBook at the breakfast table while their food goes slightly ignored

電子書籍のフォーマットを理解する

電子書籍のフォーマット作りには、電子書籍の視覚的なレイアウトも含まれ、本格的なスキルできちんと整えられた電子書籍は、それを読む読者に信頼性のある本であるという印象を与えます。ほとんどの場合、電子書籍は印刷された本と同じような体裁にフォーマットされています。これは読者に、印刷された本を読んでいるのと同じ身近さと信頼感を与えてくれます。本格的な外観を与える、電子書籍のテンプレートもあります。しかし、電子書籍のフォーマット作りは、視覚的なデザインのみにとどまりません。これは電子出版なので、どのファイル形式を使うか考慮する必要があります。

電子書籍の一般的なフォーマット

使うファイル形式によって、読者がどれだけ簡単にアクセスできるかが決まってきます。使用できるファイル形式は無数にありますが、電子書籍の多くは以下の一般的な形式を用いて作成されています。

PDF

電子書籍に加え、他の出版物にもよく使われる非常に人気のあるフォーマットなので、これが多分最も身近なファイル形式と言えるでしょう。電子書籍のファイル形式としてPDFを使うと、どのデバイスでも各ページが固定されます。1ページの単語数が常に同じなので、変更されるリスクはありません。小さな画面では文字が比較的小さくなるので、PDF形式の電子書籍はコンピューター画面の方が読みやすいでしょう。PDFは簡単に圧縮して供給できるので、読者の電子書籍端末のスペースをあまり取りません。PDFはPortable Document Format(ポータブル文書形式)の頭文字です。

EPUB

EPUBも電子書籍の形式としてよく使われているので、これもよくご存知かもしれません。EPUB書籍のページにはリフロー型テキストが採用されているので、小さな画面の場合、自動的に形態を変え、より少ない単語数を表示します。EPUBは、スマートフォンなどの小さなデバイスで電子書籍を読むのを楽にしてくれますが、その流動的なフォーマットのため、問題が起きるリスクがあります。EPUBには、多くの電子書籍端末でアクセスできます。EPUBはElectronic Publication(電子出版)の頭文字です。

MOBI/AZW3

MOBIは、Amazonの電子書籍ファイル形式の旧称です。現在はAZW3と呼ばれています。AZW3は電子書籍専用に設計されているため、Amazonのアプリでしか表示されません。しかし、Amazonの読書用アプリにある機能を備えています。また、PDFやEPUBと同様に、著作権保護対策 (DRM) をサポートしています。AZW3はKindle Format 8またはKF8とも呼ばれます。

EPUBやAZW3は、Kindleのようなアプリには最適のファイル形式ですが、PDFならば読者がどのデバイスを使っていても、同じ本にアクセスできます。PDFで電子書籍を出版すると、印刷した本とまったく同じ外観になり、本としての信用性を高めます。PDFを使うと、電子書籍にマルチメディアを組み込むこともできます。また、読者がハイライトや注釈を加えることもできます。必要な場合は、簡単にEPUBをPDFに変換するして、オーディエンスを拡大できます。

電子書籍の作成方法

電子書籍の初心者でも、既に電子書籍の出版を経験されている方でも、作成の第一歩は、まず書くことです。そのためには、どのような文書作成用のプログラムを使っても構いません。

1. 自分の電子書籍を書く

Microsoft Wordは、確実に信頼できる文書作成用プログラムですが、他にも色々あります。OpenOffice、Scrivener、Google Docs、WordPerfect といったプログラムも文書を.doc ファイルとして保存できます。これは一般的な文書作成用の文書形式です。Adobe Acrobatは、簡単に.docファイルを読み、PDFに変換することができます。

2. 電子書籍をデザインする

出版社から本を出版する場合は、自分で電子書籍を作成する必要はありません。著者は通常、行間、文字間、フォント選択などの作業には関わりません。しかし、自己出版する場合は、自分自身がデザイナーになります。

文書作成用のプログラムはどれも、書式、画像、グラフィックなどを異なった方法で扱うので、こうしたプログラムを電子書籍の書式設定に使うのは最適ではありません。Adobe InDesignは電子書籍などの文書をフォーマットするために、特別に開発されています。そして、Acrobatと併用できるよう設計されています。

InDesignを使うと、本文のテキスト、長い引用文、各章のタイトル(出版業界では、それぞれ、本文、引用ブロック、ヘッダーと呼ぶ)などのフォントなど、スタイルを選ぶことができます。InDesignなら、長い文章に必要とされる要素、例えばグラフ、イラスト、目次、タイトルページ、ページ番号をPDFに追加できます。自分の電子書籍のカバーもデザインできます。

3. 電子書籍のテンプレートを探す

電子書籍のスタイルを考案するのは、特に初めて出版する本の場合、大変な労力を要します。幸いなことに、電子書籍やその他の電子出版物のテンプレートは簡単に見つけることができ、また作業も楽です。テンプレートを使うと、自分に最適な書籍フォーマットを素早く探すことができます。例えば、カラースキームやフォントなど、自分の電子書籍で出したい、全体的な雰囲気を決定する要素を見つけることができます。

4. 自分の電子書籍のフィードバックをもらう

文章の編集と校正は、自分でしないようにしましょう。可能なら、誰かに自分の作品を読んでもらい、フィードバックをもらいましょう。別の人の目で作品を読んでもらうのは、執筆のプロセスと電子書籍の作成において、重要なことです。グラフィックデザイナーでもブロガーでも、すべてのクリエイターにとってフィードバックは有益です。電子書籍作成の一環としてフィードバックをもらいましょう。

Acrobatを使えばフィードバックを簡単に収集できます。自分の小説を原稿をチェックする人に読んでもらって最初の感想を聞く場合も、組織のためのB2B用電子書籍を作成する場合も、他の人の目で見てもらうのは必要なことです。AcrobatのPDFリーダーにあるメモ機能を使えば、校正者、クライアント、関係者など、自分の電子書籍を読んでくれる人は誰でも、その出版物のフィードバック(文章、グラフィックス、フォーマットなど何でも)を送ることができます。

作業を完了させる。生産性向上の鍵

Adobe Acrobat Pro

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電子書籍を配布するための準備

ファイルサイズが大きすぎてシェアできなければ、電子書籍のフィードバックを集められません。電子書籍をシェアする場合には、以下の点に注意しましょう。

  • 電子書籍のデザインが終わったら、InDesignファイルをPDFに変換して、PDFとして保存します。PDFは電子書籍のファイル形式として、最も一般的に使われていますが、それには理由があります。もし、あまり一般的でない形式で出版すると、情報が失われたり、読者が読む時に歪んでいたりするリスクがあります。PDFが「ポータブル文書形式」と呼ばれるのには、理由があります。PDFは、ワードプロセッサー、テキスト、グラフィック文書などのファイル形式にはできない方法で文書を保存します。
  • Amazon KindleやMicrosoft NOOKといった電子書籍端末は、PDFを取り扱っています。各プラットフォームに付属のアプリを使って、WindowsやmacOSでPDFを読むことができます。最も優れているのは、文書のフォーマット設定を、PDFがすべてのプログラムとデバイスにおいて変わらずに維持する点です。PDFの電子書籍をNOOKで読んでいる人も、ノートパソコンでMicrosoft Edgeを使って同じ本を読んでいる人も、まったく同じ書式でその本を読むことができます。
  • 電子書籍は、従来の本と同じくらいの長さになることがあります。これはファイルのサイズが大きく、ダウンロードに時間がかかるということです。幸いなことに、AcrobatのPDF圧縮ツールを使えばPDFのサイズをすばやく縮小でき、読者に簡単に読んでもらうことができます。テキスト、グラフィック、イラストのどれも失わずに、文書のサイズを小さくできます

初めて電子書籍を書く人が知っておきたい、ファイルを圧縮する3つの理由:

  • 出版社に提出するのが簡単
  • 電子メールに添付する際にサイズを縮小し、編集者や校閲者とすばやくシェアできる
  • 電子書籍を著者から直接買った人へ、もっと迅速に供給できる

自分の本を世界に向けて発信

自分の電子書籍について人々に伝えるのは、本を書くのと同じぐらい大変なタスクです。

電子書籍の宣伝

電子書籍が出版されたら、それを宣伝しましょう。自分の電子書籍をどう使うかは、その電子書籍のタイプによります。マーケティング戦略の一部となっている電子書籍と、文学作品の電子書籍とでは、宣伝が異なります。

マーケティングとしての電子書籍

電子書籍がコンテンツマーケティング戦略の一部の場合、LinkedInや、Eメール、webサイトのトップページ、その他、ターゲットとする人々が閲覧しそうな場所で宣伝しなければなりません。可能なら、検索エンジン最適化 (SEO) を施した、電子書籍のランディングページを作りましょう。マーケティング用の電子書籍は、大変貴重です。それは顧客となる可能性のある読者とじっくりコミュニケーションを持つ機会であり、自分に何ができるか相手にしっかりと見せることができます。

文学作品としての電子書籍

電子書籍が従来のフィクションあるいはノンフィクションのような作品なら、ソーシャルメディアに投稿し、ポッドキャストなどのメディアや作家が人前に出るイベントを使って宣伝して、書籍のタイトルと自分の名前を読者に知ってもらえるようにしましょう。従来の方法で出版する紙の本を宣伝するのと同じように宣伝しましょう。とにかく、大きなことをやり遂げたのです。屋根の上から大きな声で叫んでも良いでしょう。

電子書籍出版の目標が何であれ、それがどんなに長い本であれ、成功する道はきっとあります。圧縮ツールを使ってファイルを最適なサイズにし、数ある他の電子書籍リソースを活用して、自分が誇れる作品にしましょう。

もっと詳しく知る

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