ロゴデザインの副業を始める方法―必要なスキル、収入アップのコツ—
ロゴは、企業やブランドの「顔」とも言える重要なシンボル。最近は企業だけでなく個人での活動を発信する人も多く、ブランディングのためにロゴを作りたいという需要も増えています。
クライアント(発注者)の理念や思いが伝わるロゴを作成するには、デザインの腕だけでなくさまざまな能力が必要です。
今回はクリエイティブ分野の副業事情に詳しい、株式会社クラウドワークスの眞道祐介さんにインタビュー。専門家の知見をもとに、ロゴデザインの副業を始めるために必要なスキルの身に付け方、揃えておきたいツールや単価アップのコツを解説します。
目次
ロゴデザインが副業に向いている理由
ロゴデザインは、副業というスタイルと相性が良いジャンル。その理由を3つに分けて紹介します。
高い需要がある
モノ消費よりコト消費が重要視される現代において、ブランディングを大切にする企業は増加傾向にあります。また、個人がさまざまな発信方法を持てる世の中になり、スモールビジネスやスモールチームの動きも活発に。このような背景から、ロゴデザインは企業・個人問わず高い需要があります。
クラウドソーシングサービスに案件が多い
案件探しに役立つクラウドソーシングサービスの掲載数が多いことも、副業を始めやすい理由の1つ。日本最大級のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」には8,000件近くもの案件が掲載されています(2021年8月26日現在)。
全国から多くの案を募れる、提案をスピーディに受けられる、既存の人脈にはないデザイナーと出会えるなど、クライアントにとって数々のメリットがあることから、案件数はこれからも増えていくでしょう。
在宅で仕事が完結する
グラフィックデザイン全般に言えますが、パソコンやデザインソフトなどのツールがそろっていればどこでも作業を始められます。また、クライアントとのやり取りもテキストベースで行うことが多く、在宅で仕事ができる点も副業を行いやすい理由です。
ロゴデザインに求められる3つのスキル
では、ロゴデザインの副業において、具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。下記にて解説します。
高いデザインスキル
ロゴは企業やブランドにとって大切なアイデンティティです。理念やストーリーを表現し、見る人の印象に強く残るロゴ作成を実現するためには、イメージを的確に表現できる図形作成や描画のスキル、配色に関するノウハウ、魅力的な文字を作るレタリングスキルといった、高いデザインスキルが必要になります。
また、他とは違う個性のあるデザインを要求されるケースが多いため、アイデアの引き出しを豊富に持つことも大切です。
デザインツールを使いこなす技術
ロゴをデザインするにはAdobe Illustratorといった 画像描画ソフトを使いこなす必要があります。ロゴは既存のフォントや図形を組み合わせるだけでも作れますが、一から自分で描けるとオリジナリティを出しやすくなります。
また、Adobe Fresco のようなペインティングソフトを用いた、タブレットやタッチペンの操作にも慣れていると更に自由度が増してよいでしょう。
ヒアリング能力
ロゴ作成の案件を受注したら、クライアントが大切にしている理念、見る人に与えたいイメージ、予定している用途などをしっかりヒアリングしなければなりません。要望が抽象的な場合でも、いろんな質問を投げかけ、具体化していくのがポイントです。
ヒアリングに自信がない場合は、聞き取りたい項目を網羅したリストを用意しておくのがおすすめ。抜け漏れを防止しやすく、心に余裕を持ってクライアントと打ち合わせできます。
ロゴデザインに必要なツール
続いて、ロゴ作成の副業を始めるにあたって、揃えておきたいツールをご紹介します。
デザインソフト
デザインソフトについては、Illustratorがあればたいていの図形作成は可能です。そのほか、ペインティングソフトのFresco、画像の編集や加工ができるPhotoshopもあると便利。
タブレット、タッチペン
また、絵を描く道具として液晶タブレットやタブレット型端末、タッチペンも用意するとよいでしょう。
スマホでもロゴデザインは可能です。しかし、クライアントとの仕事では、コミュニケーションを取りながら、細かな修正対応をしなければなりません。納品ファイル形式の指定もあるため、調整のしやすさを考えると、パソコンを用意するのが望ましいです。
ロゴデザイン案件の単価はどれくらい?
ロゴデザインを副業にした場合、どれくらいの収入が得られるのでしょうか。日本最大級のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」でのロゴデザイン単価は、2万円~10万円の範囲に分布しています(2021年時点)。
多くの案の中から優秀なもののみが採用される「コンペ形式」は、単価が低めに設定される傾向があります。一方、指名で依頼される案件は自分で見積もりを出せるため、高単価での受注も可能になります。
ロゴデザインの副業収入を高める方法
副業として始めやすいロゴデザインですが、収入を高めるためにはいくつかコツがあります。以下に、初心者が意識したい2つの方法をご紹介します。
ポートフォリオを活用して案件数を増やす
副業を始めてすぐに高単価の案件を得るのは難しいため、売り上げを伸ばすには多くの案件を受注する必要があります。そのためには、まず自分がどんなロゴを作れるデザイナーなのかを広く知ってもらうことから始めてみましょう。
実績をまとめたポートフォリオを作成し、クラウドソーシングサイトのプロフィールに掲載したり、SNSで拡散したりして認知拡大をめざしてみてください。紙に印刷して知人といった身近なところから営業するという方法も有効です。
クラウドワークスのコンペ形式案件では、採否に関わらず応募した作品がポートフォリオに掲載されます。まだ実績が少ない人は、できるだけ多くの案件にチャレンジするとよいでしょう。
技術や提案力を磨いて高単価を狙う
技術や提案力を磨いてデザイナーとしての価値を高めることで、高単価案件も狙えるようになります。有名な企業のロゴを見て「なぜ優れているのか?」を自分なりに言語化する、良いデザインの要素を分析するといったの研究を重ねていくと、自分の中にノウハウが蓄積され、実際の案件に生かせます。
【眞道】
そのほか、印刷やウェブ、看板作成とった幅広い知識も備えることで、ロゴの活用方法をクライアントに提案でき、一層の価値向上と信頼獲得をめざせます。
未経験からスキルを学ぶ方法
続いて、未経験からロゴデザインの技術を習得していく方法をご紹介します。
まずは「効果的なロゴデザインの基本テクニック」や「ロゴをデザインするためのツール一式」を参考にしながら、Illustratorの基本操作を学んでみましょう。
慣れてきたら、少しずつクオリティアップにチャレンジしてみてください。アイデアの出し方、良いロゴの条件といった知識は「目を惹くロゴの作り方!ロゴ作成の基本とコツ」が参考になります。
【眞道】
初心者向けの練習として、既存の企業のロゴをトレースする、自分で何かひとつ架空の企業のロゴを作ってみる方法もおすすめです。クラウドワークス上のコンペ形式を題材にし、取り組まれている方もいます。
ロゴデザインでやりがいあふれる副業ライフを
ロゴはクライアントのシンボルとなる大切なもの。クリエイターとしての責任も大きいですが、自分の表現力や創造力を発揮して末永く使われるものを生み出せる、やりがいのあるジャンルです。Illustratorをはじめ、Photoshop、Frescoを活用して、ロゴデザイン副業の世界へ踏み出してみてください。
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取材協力:眞道祐介(しんどう・ゆうすけ)
株式会社クラウドワークス・社長室ワーカーエクスペリエンスチーム。地方創生担当として、地域パートナーや自治体と連携してクラウドソーシングの普及促進・ワーカー育成に携わりながら、ワーカー育成のナレッジをもとに、2020年5月にクラウドカレッジを開校。クラウドワークスに登録するユーザーを対象に、スキルアッププログラムの開発・運営を行う。また本業の傍ら副業として株式会社Naegiにてクリエイティブ制作に携わっている。
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(取材・執筆:北村朱里 編集:ノオト)
未経験から案件獲得を学ぶ方法
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