フリーランスのデザイナーやクリエイターはフルタイムより稼げる?
近年、フリーランス市場は急速に成長しており、専門職からフリーランスに転向する人が増えています。クリエイティブ分野でも同様の動きが見られ、フリーランスのデザイナーや短編コンテンツクリエイターに関する最新調査では、地域別の分布、平均報酬、需要の高いスキルや業界トレンドが明らかになりました。この調査を通じて、どのスキルや分野が収入アップにつながりやすいのか、また報酬が高い地域など、市場全体の傾向が見えてきました。
要約
- グラフィックデザイナーは、フルタイムよりもフリーランスのほうが最大で43%多く稼ぐことができる
- グラフィックデザインではオーストラリアが、短編コンテンツ制作ではアメリカが、フリーランスにとって最も高収入が得られる地域となっている
- イギリスでは、フリーランスのデザイナーやクリエイターの料金が他の地域と比べて最も低い傾向がある
- アメリカのフリーランスは、イギリスやオーストラリアに比べて、Upworkを通じた仕事の獲得数が最も多い
目次
フリーランスの報酬事情
グラフィックデザインやコンテンツ制作は高収入が期待できる職種ですが、地域や働き方で収入に大きな違いが見られます。
フリーランスのグラフィックデザイナーの平均時給は49.65ドル、短編コンテンツクリエイターはそれを上回る50.62ドルでした。
これを年間に換算すると、フリーランスのグラフィックデザイナーは約92,547ドルを稼いでおり、アメリカ労働統計局(BLS)が発表しているフルタイム勤務の平均年収64,550ドルと比較すると、最大で43%多く稼いでいることがわかります。
この差の背景には、フリーランスが仕事量や料金を柔軟に調整できることが挙げられます。フリーランスは需要やスキル、プロジェクトの難易度に応じて料金を設定し、複数のプロジェクトを同時に進めることで、フルタイム勤務の固定給を超える収入を得ることが可能です。
地域別に見ると、アメリカではフリーランスの4人に1人が年収10万ドル以上を稼いでいる一方、オーストラリアではその割合が20%にとどまります。
職種別では、グラフィックデザイナーはオーストラリアで最も高い収入を得ており、短編コンテンツクリエイターはアメリカで最も稼いでいます。一方、イギリスではどちらの職種も最も低い料金で仕事を引き受ける傾向があります。また、短編コンテンツクリエイターの料金がグラフィックデザイナーを上回っているのは、アメリカだけという結果になりました。
デジタルクリエイターに求められる人気スキル
次に、フリーランスのグラフィックデザイナーと短編コンテンツクリエイターを対象に、特に需要が高いスキルとそれに伴う報酬について調査しました。
グラフィックデザイナーでは、Upworkで「ロゴデザイン」が最も一般的なスキルとされており、一方、短編コンテンツクリエイターでは「TikTokコンテンツ制作」が最も人気の高いスキルでした。収入面では、グラフィックデザイナーは「ウェブデザイン」が最も高い収入につながるスキルで、時給は59.40ドル。短編コンテンツクリエイターでは「SNS向けコンテンツ制作」が最も高く、時給は60.84ドルという結果でした。
また、グラフィックデザイナーでは、プロフィールに「印刷物デザイン」(パンフレットやポスター、名刺などの制作)を記載している場合が、最も多くの仕事を獲得していました。一方、短編コンテンツクリエイターでは、「Adobe After Effects」のスキルを持つ人が最も多くの案件を受注しており、動画編集スキルの需要が現在の市場で特に高いことがわかります。
デジタルデザインにおける報酬と仕事量の性別格差
グラフィックデザインや短編コンテンツ制作のフリーランスでは、性別によって報酬や仕事量に違いがあることがわかりました。
女性フリーランスは、グラフィックデザインと短編コンテンツ制作の両方の分野で、男性より高い平均時給を得ており、時給は52.48ドルでした。一方、男性の平均時給は46.95ドルです。ただし、女性が完了した仕事の件数は平均44件で、男性の61件に比べて少ない結果となりました。また、イギリスの男性フリーランスは、性別や地域を問わず最も低い時給で仕事をしていることがわかりました。
地域別では、アメリカの男性フリーランスが最も多くの仕事を受注しており、アメリカの女性より43件多くの仕事を完了しています。全体的にも、アメリカのフリーランスは平均137件の仕事を受注しており、オーストラリア(92件)やイギリス(68件)を大きく上回っています。
一方、性別による報酬格差は縮まる可能性があり、調査時点では、Upwork上で10万ドル以上を稼いだフリーランスの割合は、男性が24%、女性が26%とほぼ同じでした。
創造性のコスト
フリーランスのグラフィックデザインや短編コンテンツ制作における報酬や仕事の機会は、スキル、地域、性別によって大きく異なります。中でもアメリカはクリエイティブ分野のフリーランスが活躍する国で、ビジュアルコンテンツクリエイターが最も多くの仕事を受注しているのが特徴です。
フリーランス市場やデジタルデザイン分野が拡大を続ける中、こうした業界のトレンドは、収入アップを目指すクリエイターやフリーランスのスキルを活用したい企業にとって、重要な参考材料となるでしょう。
調査方法
フリーランスデザイン市場を分析するため、Upworkに掲載された1,000件のプロフィールを調査しました。対象者は、グラフィックデザイナーと短編コンテンツクリエイターがそれぞれ50%ずつ含まれており、地域別ではアメリカが54%、イギリスが27%、オーストラリアが19%を占めていました。性別の割合は女性が58%、男性が42%でした。また、フルタイム雇用との収入比較には、アメリカ労働統計局(BLS)のデータを活用しています。
公正利用に関する声明
本調査の内容(フリーランスのグラフィックデザイナーやコンテンツクリエイターに関する分析)は、非営利目的であれば自由に共有していただけます。その際、調査結果や方法にアクセスできるよう、このページへのリンクの記載をお願いいたします。