PDF様式の補助金・給付金の申請書類を作成する方法

補助金や給付金、支援金の申請書類を作成する際、PDF様式のひな形(フォーマット)しか準備されていないことがあります。また、WordやExcelのひな形からPDFへの変換が求められたり、ひな形がない資料の作成が必要となったりするケースも。
今回は審査を通過するために欠かせない、PDF様式のひな形を用いて申請書類に記載・編集する方法、WordやExcelで作成した申請書類をPDFへ変換する方法、回転や削除などPDFを微調整する方法などを紹介します。一つひとつの方法と注意点を押さえて、審査を通過させる準備を始めましょう。
PDF様式の申請書類が必要なケース
補助金や給付金、支援金などの申請書類は、以前はPDFのひな形のみ準備されるケースが多い傾向にありました。しかし最近では、WordやExcelの申請書類も増えています。
以下では、PDF・Word・Excel様式の申請書類が準備されている主な補助金、および、給付金の種類をまとめました。なお、対面の窓口申請が可能な場合もあるため、PDFファイルでの提出は必須ではありません。
新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動の縮小を余儀なくされた場合、従業員の雇用維持を図るために休養手当などの一部を助成するものです。対象者および対象企業は、特定の条件を満たすすべての業種の事業者です。上限額は、1人1日あたり8,355~15,000円です。
有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための助成金です。該当労働者の正社員化や処遇改善などの取組を実施したい事業者が対象です。支給額は条件によってさまざまですが、例えば労働者を正社員に登用したり、有期雇用労働者が正規雇用労働者に転換したりする場合、対象の労働者1人あたり57万円が支給されます。
雇用している労働者のキャリア形成を効果的に促進するために、職務に関連した専門的な知識や技能を修得させるための助成です。支給金額は条件によって異なりますが、例えば、中小企業の社員が、特定訓練コースの訓練を200時間以上受講した場合、対象者1人あたり50万円支給されます。
労働者が職業生活と家庭生活を両立できるよう支援するものです。例えば育児休暇等支援コースの場合、労働者が育児休暇の取得時と職場復帰時ぞれぞれの28.5万円の助成金が支給されます。
雇用調整助成金
PDF様式の申請書類を編集・記載する方法
PDF様式の申請書類を作成する場合、特に注意しておきたいのは「PDFファイルとして出力した後に、申請書類を編集してもいいかどうか」。中には確定申告書のように、編集を禁止されているものもあるため、注意が必要です。
それに加えて、通過するためにチェックしておきたいポイントは以下の4つあります。
<申請書類のチェックポイント>
・記載漏れがないか
・書類のデータファイルを編集後、フォーマットに大きなズレが発生していないか
・申請理由や応募理由を適切にアピールできているか
・手書きの場合、読みやすい字で書かれているか
これらのポイントを踏まえて、実際にPDFファイルを編集・記載してみましょう。
PDFファイルのまま編集する方法
PDF様式の申請書類は、PDFファイルのまま編集できます。この方法はフォーマットのズレが生じにくいため、もっともおすすめです。
PDFファイルを編集する際には、Adobe Acrobatの有料ソフトにある編集機能が有効です。ただし、編集ができないように保護されている場合、作成者にパスワードを共有してもらう必要があります。詳細はこちらをご確認ください。
なお、公的な申請書類には入力専用のPDFファイルが用意されているものもありますので、そちらを活用するとよいでしょう。以下では、Adobe Acrobatの無料Web版を使った3つの編集方法をご紹介します。
文字入力の方法
PDF内に文字入力をする場合、「注釈を追加」を利用します。ファイルをアップロードし、画面左側にあるツールバーの中から、「テキストコメントを追加」をクリック。任意の箇所で、文字が入力できるようになります。
書類内のチェックボックスにレ点を記載する方法
同じく「注釈を追加」で画面左側のツールバーの中から、「チェックマーク」を選択。任意の箇所でレ点が記載されますので、該当のチェックボックスをクリックしてください。
文字を枠線で囲む方法
同じく「注釈を追加」で画面左側のツールバーの中から、「丸で囲む」を選択。強調したい文字や箇所を自由に囲むことができます。
Word・Excelに変換して編集する方法
あらかじめMicrosoft Officeをインストールしておくことで、PDF様式の申請書類をWordやExcelに変換し、ファイル上に情報を入力できます。その際には、Adobe AcrobatのWeb版にある変換機能を使うとよいでしょう。
印刷して手書きする方法
Adobe AcrobatのWeb版にある「注釈を追加」機能や、WordやExcelへの変換機能を利用しない場合、PDF様式のファイルを印刷して手書きするのが一般的です。この場合、PDF様式のファイルそのまま印刷できるため、フォーマットからずれることがなく、安心して提出できるというメリットがあります。
一方で、申請書類は記入項目が多く、書類の作成に時間がかかるというデメリットも。書き間違えてしまうと書き直しが必要になったり、次年度以降に同じ内容で申請する際に一から書き直さなければいけなかったりします。そのため、必ずしも手書きで記入しなければならない場合を除いて、あまりおすすめはできません。
PDFを回転する方法
PDF様式の申請書類が複数ページある場合、「本来は縦向きであるべきページが、横向きになってしまっている」ケースもあります。そんな場合、PDFファイルを回転させると問題は解消できます。
Adobe AcrobatのWeb版を使う場合、回転させたいページを選択し、ツールバーから「左回転」または「右回転」のアイコンをクリックし、さらに「保存」をクリックすれば完成です。
提出書類を作成する方法
ひな形が用意されている申請書類以外にも、審査の際に必要な報告資料など、ひな形なしで書類の作成が求められるケースもあります。しかし、申請者が用意しているファイルが求められる形式と異なる場合は、ファイルを変換もしくは加工する必要があります。必要書類を提出できずに補助金を受けられないこともあるため、変換・加工方法を確認しましょう。
PDFに変換する
アップロード要件として「PDFでの提出」が指定されているケースがあります。WordやExcel、JPEGなど、PDF以外の様式のファイルしか手元にない場合は、PDFに変換する必要があります。それぞれの様式からPDFに変換するには、以下のAdobe AcrobatのWeb版の以下ページを利用しましょう。
PDFから変換させる
提出書類のアップロード要件に合わせて、PDFファイルをJPEGやWordなどの別様式に変換しなければいけないケースもあります。その場合は、Adobe AcrobatのWeb版の以下ページから変換しましょう。
審査の第一ステップは、きちんと書類を準備できているか
補助金や給付金、支援金の申請書類は、内容以前に提出要件に則っているか、抜け漏れやフォーマットのずれがないかなど、「きちんと書類を準備できているかどうか」が審査の第一ステップになります。一つひとつ準備を行いながら、申請書類の通過を目指しましょう。
(編集:ノオト)