契約書を電子化するには?仕組みやメリット、作り方をわかりやすく解説
契約書を電子化するには、Acrobat オンラインツールが便利です。以下のページをぜひチェックしておいてください。
みなさんは契約書の管理や処理に手間を感じたことはありませんか?
紙の契約書は保管場所が必要なうえに、署名や回覧などのやり取りに時間がかかることも少なくありません。
こうした負担を解消し、業務の効率化を実現する方法として注目されているのが「電子契約」です。
契約書を電子化したり、電子契約を導入したりすることで、手続きが迅速化し、保管スペースは不要になります。また、今回ご紹介するPDFツールを活用すれば、法的な有効性を確保しつつ、セキュリティ面でも安心して運用することが可能です。
この記事では、電子化によるメリットとデメリットをはじめ、電子契約の導入方法、紙の契約書との違いや法的なポイントをわかりやすく解説します。電子契約への移行を検討している方にとって、現場で役立つヒントをまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも「電子契約書」とは?
電子契約書とは、PDFファイルなどの電子データで作成された契約書のことです。
電子契約書では、署名や押印の代わりに、電子サインや電子署名を利用して契約の成立を証明します。
これらの電子署名は暗号技術によって本人確認や文書の改ざん防止が保証されており、法的に有効な手段として認められています。
電子契約書を活用すれば、契約書の送付や保管の手間が減り、契約業務の効率化を図ることが可能です。特に、取引量が多い企業ではコスト削減の面でもメリットが大きいため、導入が進んでいます。
関連:業務効率化の手法と進め方とは?基礎知識と現場で役立つアイデアを紹介
このように電子契約書では、契約の成立を証明するために、「電子サイン」や「電子署名」といったデジタル技術が使われています。
ただ、一見すると似ているこの二つですが、その特徴や信頼性には大きな違いがあります。
例えば「カンタンに契約を済ませたい場合」と「厳格な法的証明が求められる場合」では、どちらを選ぶべきかが異なります。それぞれの違いを理解することで、適切な方法を選択でき、スムーズかつ確実に契約業務を進められるようになるのです。
それでは次に、電子サインと電子署名の違いを確認していきましょう。
電子サインと電子署名の違い
電子サインと電子署名は、どちらもデジタルで文書に署名をする方法ですが、それぞれ役割や特徴が異なります。
まず、電子サインは広い意味での署名方法を指します。契約書や文書に、デジタルで名前や記録を付ける手法全般が「電子サイン」です。
より具体的には、例えば手書きのサインをスキャンしてPDFに添付したり、簡易な方法で名前を記録する手段も「電子サイン」と呼ばれます。
ただし、電子サインには法律で統一されたルールがなく、サービス事業者によって技術や信頼性が異なります。そのため、証明力が必要な場面で使うには注意が必要です。
一方、電子署名は、電子証明書を利用して署名者の身元確認や文書の改ざん防止を保証する、より信頼性の高い方法です。
電子署名は「電子署名及び認証業務に関する法律」に基づいて明確なルールが定められており、公開鍵暗号という技術を用いています。
この技術によって、文書が改ざんされていないことや、署名者が特定の人物であることを証明できます。そのため、電子署名は法的効力を求められる契約に適しているのです。
まとめると、電子サインはカンタンに署名ができる便利な方法ですが、法的な信頼性が高い電子署名とは役割が異なります。
法律や信頼性が重視される場面では電子署名が適しており、手続きの簡便さを優先する場合には電子サインが活用されます。利用する目的や状況に応じて、適切な方法を選びましょう。
なお、こうしたデジタル上で取引されたデータが原本であることを証明するために、「タイムスタンプ」と呼ばれる技術が用いられたサービスも増えています。
以下のページでは、近年内容が改正された電子帳簿保存法とタイムスタンプの仕組みについて、わかりやすく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?発行方法や不要となる条件を解説
電子サインと電子署名の違いを理解したうえで、「紙の契約書」「電子契約書」それぞれの特徴を知ることも重要です。
いずれの方法でも契約は結べますが、形式や運用、コストの面で大きな違いがあります。
業務効率化やコスト削減を考える際に、どちらが適しているのかを判断するためにも、それぞれの違いを確認していきましょう。
紙の契約書と電子契約書の違い
紙の契約書と電子契約書には、それぞれ異なる特徴があり、どちらを選ぶべきかは利用する場面や目的によって変わります。
状況に応じた最適な方法を選ぶためにも、続いてはそれぞれの特徴を押さえていきましょう。
紙の契約書の特徴
紙の契約書は、従来から使用されてきた馴染みのある契約方法で、現在でも多くの企業や組織で採用されています。
紙の契約書の特徴は、物理的な書面が残るため、法的な証拠として提示しやすい点にあります。また、長年採用されてきた契約方法であるため、信頼性や安心感が得られる点も特徴のひとつです。
一方で、いくつかの短所も抱えています。
まず、紙の契約書類は保管場所の確保が必要で、整理や管理にコストがかかります。また、紙は劣化や破損のリスクもあるため、長期保存する場合には保管方法に注意が必要です。さらに、必要な情報を探す際に手間がかかり、目的の情報を探すまでの効率も悪化しがちです。
電子契約書の特徴
電子契約書は、契約内容を電子データで記録する、比較的新しい形式の契約方法です。
PDFやMicrosoft Word形式で作成され、電子サインや電子署名を付与することで、本人確認や文書の改ざん防止が可能になります(※)。
(※ ただし、契約そのものに法的効力が発生するかどうかは、契約書の内容や作成時の状況によります。)
電子契約書の主な利点は、紙の契約書に比べて作成や管理、共有が効率的に行える点です。
また、収入印紙が不要なため、特に取引量が多い企業ではコスト削減に大きく貢献します。さらに、契約書の送付や受け渡しの手間が省けることで、業務全体の効率化も期待できます。加えて、クラウドサービスを活用すれば、一元管理が実現し、契約書の保管や検索もスムーズに行えるようになるでしょう。
一方で、電子契約を導入する際には課題もあります。すべての関係者が電子契約に対応できる環境を整えなければならない点は、ハードルのひとつといえるでしょう。
このように、紙の契約書と電子契約書は形式やコスト、保管方法などに違いがありますが、どちらも法的効力に関しては同じです。
ここで改めて、以下の表で、それぞれの特徴を比較してみます。
手元に残る安心感があり、
直感的に扱いやすい
紙の契約書と電子契約書には、それぞれの特徴や利点があり、用途や目的に応じて適切な方法は異なります。
しかし、業務の効率化やコスト削減を考えたとき、契約書の電子化には多くのメリットがあることに気付くでしょう。
次に、契約書を電子化することで得られる4つの主なメリットを詳しく解説します。
契約書を電子化する4つのメリット
契約書の電子化は、従来の紙ベースの契約業務と比較して多くのメリットがあります。
ここでは、契約業務の効率化やコスト削減、保管スペースの節約といった代表的なメリットについてご紹介します。
【メリット1】契約業務を効率化できる
電子契約を導入すると、契約書の作成から署名、送信までをオンラインで完結できます。
従来の紙ベースの契約では、印刷・郵送・社内回覧・押印などに時間がかかることが一般的でした。
しかし電子契約では、これらの手間がすべて不要となり、以下のような効率化が図れます。
- 電子署名を利用することで、すぐに承認が得られる
- 社内の承認プロセスが簡略化される
- 業務全体のスピードが向上し、締切が迫る案件にも迅速に対応可能
【メリット2】直接的なコストを削減できる
電子契約では、紙ベースの契約にともなう、以下のコストを削減できます。
- 印刷代:契約書を紙に印刷するための紙やインクの費用が不要
- 郵送費:契約書を郵送する際の切手代や運送費が不要
- 収入印紙代:電子契約では印紙税が課税されないため、収入印紙代を節約可能
特に、収入印紙代の削減は、契約件数が多い企業にとって大きなコスト削減効果があります。
電子契約によって収入印紙が不要になる理由については、以下の記事をご確認ください。
【メリット3】間接的なコストも削減できる
紙ベースの契約業務では、保管や管理に伴う間接的なコストが発生しますが、電子契約を導入することで、以下のような間接的なコストも削減できます。
- 保管スペースの節約:書棚や倉庫などの物理的スペースが不要になる
- 管理業務の効率化:デジタルデータとしてクラウドストレージやサーバーに保存することで、検索や整理がカンタンに
- バックアップの容易化:データの複製や復元が可能なため、保管にかかるリスクや追加費用を軽減
オフィススペースを有効活用できるだけでなく、管理業務にかかる時間や手間も削減できるのは、電子化の大きなメリットです。
【メリット4】契約データのセキュリティ向上
紙の契約書は、紛失や盗難、災害によるリスクが伴いますが、電子契約なら以下のような方法で安全に管理できます。
- アクセス制限:データにパスワードやアクセス権限を設定し、許可された者のみが閲覧可能
- バックアップ:クラウド上で複製・保管することで、データ消失のリスクを抑える
- 監査記録:誰が、いつ、どのように契約書にアクセスしたかを記録でき、不正防止にも役立つ
特に、機密性の高い契約書を扱う企業にとって、セキュリティの担保は重要なポイントです。
なお、アドビが提供するAdobe AcrobatはPDFファイルの品質を維持しつつ、高いセキュリティ性能を誇ります。書類業務の効率化やセキュリティ面でのお悩みをお持ちの方は、ぜひ無料体験からお試しください。
以上が、契約書をはじめとした書類を電子化するメリットでした。
このように利点の多い書類の電子化ですが、導入するうえではいくつか注意しておきたい点もあります。
それでは次に、契約書を電子化する際の注意点を確認していきましょう。
契約書を電子化する3つの注意点
契約書の電子化には多くのメリットがありますが、スムーズに運用するためには、事前に準備すべきことや注意すべき点がいくつかあります。
ここでは、「関係者間の調整」「法的制約の確認」「セキュリティへの対応」という3つの観点から、電子化する際の注意点を解説します。
1.関係者間の調整が必要
電子契約を導入する際には、まず社内での準備が欠かせません。
具体的には、新しいツールや業務フローに対する経営層や社員全体の理解と協力を得ることが不可欠です。そのため、導入の際は業務効率化やコスト削減の具体的なメリットを明確に示し、経営層の承認を得やすくすることが大切です。
また、その後に社員に対して電子契約の目的やツールの使い方をわかりやすく説明し、契約書の作成・署名・管理方法の変更点などを周知しましょう。移行時の混乱を防ぐためにも研修を実施して、日常業務での活用を具体的にイメージしてもらうことが重要です。
加えて、取引先への調整も欠かせません。
取引先が電子契約に対応していない場合、紙の契約書を併用せざるを得ず、業務が複雑化する可能性があります。こうした問題を防ぐためには、事前に取引先へ導入計画を共有し、電子契約の対応可否を確認しておきましょう。たとえ対応できない場合でも、紙と電子の契約書を使い分けるルールを整備し、効率的に運用できる環境を整えることが大切です。
2.法的制約の確認が必要
電子契約は多くの契約に適用可能ですが、一部には紙の契約書が必要なケースがあります。
例えば、事業用定期借地契約や任意後見契約書、農地の賃貸借契約書が必要な契約などは、2024年12月現在、電子化が認められていない契約です。これらの例外は事前に確認し、対象となる契約を適切に処理するよう注意しましょう。
また、電子契約の法的効力を確保するためには、適切な電子署名技術を選ばなければなりません。
特に、公開鍵暗号方式を用いた電子署名は、改ざん防止や署名者の本人確認を保証し、高い信頼性を持っています。信頼性の高い署名技術を導入することで、契約内容を法的に担保し、安全な運用を実現できます。
3.セキュリティへの対応が必要
契約書を電子化する際には、デジタルデータならではのリスクにも対応する必要があります。
そのため、セキュリティ対策としてアクセス権限を制限し、許可された人のみがデータを閲覧・操作できる環境を整えることが大切です。
さらに、データの暗号化が行えるツールを選び、不正アクセスや情報漏洩のリスクを軽減しましょう。
なお、クラウドサービスを利用する場合は、編集・変換する過程でファイルが暗号化されるか否かなど、セキュリティ面での使用を事前に確認しておくことが重要です。データがどのように保護されているかを把握することで、データ漏洩や不正アクセスといったリスクを最小限に抑えられます。
また、サービス提供者がどの程度のセキュリティ基準を満たしているかなどを確認することも、安全性を確保するうえで欠かせません。
Adobe Acrobatのセキュリティが選ばれる理由についてはこちらをご覧ください
このように、契約書を電子化するには、社内外の調整や法的制約の確認、セキュリティ対策といった準備が欠かせません。これらをしっかり整えることで、電子化のメリットを活かしながら、業務効率化やコスト削減が実現できます。
では、具体的にどのように契約書を電子化し、電子サインを付与すればよいのでしょうか。
次に、無料で使えるツールを活用した実践的な手順をわかりやすくご紹介します。
【無料】契約書をPDFに変換して電子化する方法(電子サイン)
契約業務を電子化するには、専門のサービスを利用する方法があります。
しかし、契約業務が日常的でない場合や、はじめて電子契約を求められた場合など、有料サービスを導入せずに電子契約を完結したいケースもあるでしょう。
ここでは、電子契約を無料で行える「Adobe Acrobat オンラインツール」で、契約書をPDFファイルに変換し、電子サインを施す方法をご紹介します。
なお、より法的効力の高い電子署名については「【有償版】PDFファイルの契約書に電子署名をする方法」の章をご確認ください。
スマートフォンやタブレットから電子サインの機能を使いたい方は、「Adobe Acrobat Reader」のモバイルアプリをダウンロードしてください。インストールおよび利用は無料です。
【Android版】Acrobat Readerをダウンロードする
なお、Acrobat Readerでは【手順1】で紹介する「PDFへのファイル変換」はできません。
PDFファイル以外の契約書を使って電子契約を締結したい場合は、あらかじめAcrobat オンラインツールにて【手順1】の操作を行ってください。
【手順1】契約書をPDFファイルに変換する
Microsoft WordやMicrosoft Excelで契約書を作成している場合、まずはPDFファイルに変換する必要があります。
Acrobat オンラインツールの「様々な形式からPDFに変換」を開き、契約書のファイルを以下のいずれかの方法でアップロードしてください。
- グレーの破線で囲われたエリアに、ファイルをドラッグ&ドロップする
- 中央の「ファイルを選択」ボタンをクリックして該当のファイルを選ぶ
ファイルがPDFファイルに変換されたら、「ダウンロード」ボタンをクリックし、PC内に保存してください。
これで、WordやExcelなどで作った契約書がカンタンにPDFファイルに変換されました。
【手順2】電子サインをする
次に、PDFファイルに変換した契約書に電子サインを入れます。
「PDFに電子署名を追加」を開き、「ファイルを選択」から先ほどPDFファイルに変換した契約書を選択しましょう。
アップロードが完了したら、ログインまたは無料登録を行います。
ログイン方法は、Adobe アカウントに加えて、Google アカウント、Facebook アカウント、Apple IDから選べます。登録は30秒ほどで完了します。
ログインが完了したら、画面左側のメニューに表示される「署名を追加」を選択します。
ポップアップが開いたら、上部の選択肢から任意のフォーマットを選びサインを作成してください。サインは以下の3種類から選べます。
- タイプ:入力した文字をサインとして使用
- 描画:自由に描画した形をサインとして使用
- 画像:アップロードした画像をサインとして使用
作成が完了したら、ポップアップの右下の「保存」ボタンをクリックします。
その後、PDFファイル内の任意の箇所をクリックするとサインを配置できます。サインの枠線上の円をドラッグすると、サイズを調整可能です。
住所、会社名、肩書、氏名など、サインが数行にわたって必要な場合は、上記の「署名を追加」と配置を繰り返します。
【手順3】ダウンロードする
電子サインが完了したら、ダウンロードしましょう。
画面右上の「ダウンロード」をクリックすると、以下のウィンドウが開きます。
PDF形式から「このPDF」を選択し、「PDFをダウンロード」をクリックしましょう。
データサイズが大きい場合は「圧縮したPDF」から好みの圧縮率を選び、「圧縮したPDFをダウンロード」をクリックして保存します。
ダウンロードが完了したら、メールやメッセージツールに電子サインをした契約書のファイルを添付して、取引先に内容の確認とサインを依頼し、送信します。
返送されたファイルに先方のサインがあることを確認できれば、契約業務は完了です。
【参考】取引先に電子サインを依頼する
Acrobat オンラインツールの電子サインの機能を活用すれば、取引先に契約書のPDFファイルを送り、電子サインを依頼できます。
電子サインを依頼する場合は、画面左側のメニューの「招待して電子サインを依頼」をクリックしてください。
このとき、「9MBを超えるファイルは電子サイン用に送信できません」と表示されることがあります。9MB以上のPDFファイルを使いたい場合、まずは「PDFを圧縮」機能でPDFファイルのサイズを小さくしてから送信しましょう。
「招待して電子サインを依頼」をクリックすると、左のツールバーが変わり、送り先のメールアドレスや電子サインのフィールドを設定できるようになります。
まずは、「受信者を追加」の箇所に、取引先のメールアドレスを入力します。
次に、先方の住所を記入してもらえるように、ツールバーの「フィールドを追加」の中から「文字列」をクリックします。文字列のフィールドが現れるので、住所を記入してもらいたい位置に配置しましょう。その後、「フィールドをカスタマイズ」をクリックします。
ツールバーが変わりますので、「複数行テキスト」にチェックを入れ、「テキストのデフォルト値」の欄に「住所」と入力しましょう。こうすることで、先方は「ここには住所を記入すればよい」と直感的に理解できるようになります。
また、「必須フィールド」にチェックを入れることで、先方の記入漏れを防げます。
続いて、会社名のフィールドを追加しましょう。
左のツールバーの「さらに表示」をクリックして、他のフィールドを表示します。
「会社名」を選び、先ほどの文字列のフィールドの下に配置します。
最後に、「電子サイン」を選び、会社名のフィールドの下に配置します。
サインを依頼された人は、ここで配置した欄にサインを入力することになります。
ここまで完了したら、画面左側のメニュー最下部にある「送信」ボタンをクリックします。
すると、受信者に設定したアドレス宛に、電子サインを依頼するメールが送信されます。
これで、契約書に自社の電子サインを行い、取引先にも電子サインを依頼できました。
次の章では、より法的証明力の強い電子署名を入れる方法を解説します。
【有償版】PDFファイルの契約書に電子署名をする方法
デジタル IDや公開鍵暗号などを用いた「電子署名」は、電子サインよりも法的な証明力が高い署名方法です。この電子署名を行うには、有償版の「Acrobat Pro」がオススメです。
この章では、デスクトップアプリ「Acrobat Pro」を使った電子署名の手順を解説します。
Acrobat Proには7日間の無料体験期間があるので、下記のリンクからぜひお試しください。
まずは電子署名を入れたいPDFファイルをAcrobat Proで開き、画面左側のメニューから「証明書を使用」を選択します。
次に「デジタル署名」をクリックします。
その状態で、署名を入れたい箇所をドラッグします。
すると電子署名に使用するデジタルIDの選択をするポップアップが表示されるので、過去にデジタルIDを作成している場合は希望のIDにチェックを入れ、「続行」をクリックしてください。
今回は「新しいデジタルIDを設定」を選択します。
すると、電子署名に使用する証明書のタイプを選択するポップアップが表示されるので、任意のものを選んでください。ここでは、「新しいデジタル IDの作成」を例に手順を進めます。
選択したら、「続行」ボタンをクリックしましょう。
続いて、新しいデジタルIDの保存先を選択します。
Windowsの場合、「ファイルに保存」か「Windows証明書ストアに保存」という選択肢が表示されます。また、Macの場合は、「ファイルに保存」か「Appleキーチェーンに保存」という選択肢が表示されます。今回のデジタルIDを、WindowsあるいはMacの他のアプリケーションでも使用したいときは、「Windows証明書ストアに保存」「Appleキーチェーンに保存」を選択してください。
今回は、PCに保存する「ファイルに保存」を選択します。選択したら、「続行」をクリックしてください。
続いて、ID情報を入力する欄が表示されます。
名前、部署、会社名、電子メールアドレスを入力しましょう。国/地域は「JP - 日本」を選択します。鍵アルゴリズムは、「2048-bit RSA」を選択することで「1024-bit RSA」よりもセキュリティを高められます。特別な理由がなければ、「2048-bit RSA」を選択しましょう。
また、デジタルIDの使用対象については、「デジタル署名とデータの暗号化」を選択することで、署名の信頼性と契約書の機密性の両方を高められます。
以上の入力が完了したら、「続行」をクリックしてください。
デジタル IDの秘密鍵を保護するパスワードの設定が求められるので、推測されにくい複雑な文字列を入力します。パスワードの強度が自動的に判定されて右にメーターが表示されるので、確認しながら安全なパスワードを作成しましょう。完了したら、「保存」を押してください。
このパスワードは電子署名を入れる際に必要になります。
作成したデジタル IDを選択して、「続行」をクリックします。
すると、署名を作成する画面が表示されます。
署名として表示する要素を変更したい場合は、「作成」を押してカスタマイズ画面を開いてください。
設定が完了したら「保存」を押して元の画面に戻ります。
署名に問題がなければ、左下の欄に前の工程で作成したパスワードを入力して、「署名」をクリックしてください。
署名が完了すると、PDFファイルを保存するポップアップが表示されるため、場所を選択して保存しましょう。Acrobat Proを使った電子署名の手順は以上です。
次の章では、Acrobat オンラインツールに関するよくある質問をご紹介します。
まずは無料のAcrobat オンラインツールから検討したいとお考えの方は、ぜひ確認してみてください。
「Adobe Acrobat オンラインツール」に関するよくある質問
最後に、Acrobat オンラインツールに関するよくある質問にお答えします。
気になる項目をチェックしてみてください。
無料で使えますか?
はい、無料で使えます。Acrobat オンラインツールなら、今回ご紹介した「PDF変換」や「電子サイン」だけでなく、PDFに関する25以上の機能を無料で使用可能です。
ただし、無償版のAcrobat オンラインツールには使用回数の制限があります。
一方、有償版のAdobe Acrobat Proなら、Acrobat オンラインツールの全機能を回数無制限で使えます。それに加えて、電子署名や墨消しといった機能もご利用可能です。(※ {{creative-cloud-pro}}を既にご契約中の方も、回数の制限なく全機能をお使いいただけます)
PDFファイルを扱う業務が多い方は、ぜひ有償版も検討してみてください。
安全に使えますか?
はい、安全に使えます。Acrobat オンラインツールは、アップロードされた情報を暗号化します。
ログインせずにAcrobat オンラインツールを利用した場合、アップロードしたデータはサーバーから削除されるので、安全です。ログインした場合は、アップロードや変換をしたファイルは暗号化された状態でクラウドストレージに自動で保存され、いつでも削除できます(セキュリティに関する取り組みについて詳しくはこちらもご確認ください)。
そのため、機密性の高い契約を交わす際も安心してお使いいただけます。
WindowsやMac、スマホ、タブレットなどで使えますか?
はい、どのOSやデバイスでも使えます。
Acrobat オンラインツールは、PCのOS(Windows・Mac)やモバイルデバイスの種類(iPhone・Android・タブレット)を問わずに、インターネットにつながってさえいればあらゆる環境で使用できます。
そのため、同じアカウントでログインすれば、PCで作成したファイルを転送せずに、スマホやタブレットで編集することも可能です。
ただし、本記事で紹介した「PDFに電子署名を追加」など一部の機能は、スマホやタブレットから利用するには無料アプリAcrobat Readerのインストールが必要です。
WordやExcelで作成したファイルに電子サインや電子署名をする方法はありますか?
はい、あります。Acrobat オンラインツールを使って、WordやExcelをPDFファイルに変換して、電子サインや電子署名を入れましょう。
以下のリンクから、WordやExcelをPDFファイルに変換し、電子サインや電子署名を付与してください。
PDFに関する25種類以上の便利機能が無料で使えるAcrobat オンラインツール
Acrobat オンラインツールは、今回ご紹介した「PDFに電子署名を追加」をはじめ、PDFに関する25以上の機能を無料で使用可能です。
例えば、PDFから様々なファイル形式への変換や、逆にPDF形式への変換も可能です。
Acrobat オンラインツールの詳しい情報については、以下の記事で紹介しています。
はじめてのAdobe Acrobat オンラインツール完全ガイド(概略版)
契約書の電子化や電子サインをはじめ、様々なPDF作業を効率的に行える「Adobe Acrobat オンラインツール」を、ぜひお試しください。
(執筆:ウェブライダー)
https://milo.adobe.com/libs/img/mnemonics/svg/acrobat-pro-64.svg
ぜひAdobe Acrobatオンラインツールをお試しください
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以下の記事では、PDFに関するお役立ち情報をご紹介しています。Adobe Acrobat オンラインツールを使って、日々の業務を効率化する方法をご紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
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電子署名の意味や仕組み、やり方を解説。「Adobe Acrobat オンラインツール」なら、無料かつカンタンにPDFファイルに電子サインできます。
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