広告効果とエンゲージメントを探る世界的調査
目次
要約
- 広告をきっかけとした購入について、メキシコの消費者は平均82ドル、南アフリカの消費者は79ドルを費やしており、これはドイツ(61ドル)、オーストラリア(59ドル)、アメリカ(58ドル)、イギリス(41ドル)を上回っている
- 広告をきっかけにした消費者支出では、InstagramとYouTubeの広告が最も効果的で、いずれも平均で86ドルの支出が見られる。世界的に見ても、多くの消費者がこれらのプラットフォームで広告に反応する傾向がある
- 世界中の消費者の3人に1人以上が、TikTokやInstagramリールなどのショート動画プラットフォームの広告に注目しており、特にZ世代ではその傾向が強い(48%)
- 世界全体で49%の消費者がインフルエンサーの紹介を見て購入を決定しており、Z世代ではその割合が60%と高い
世界の広告トレンド
デジタル化が進む現代、広告が溢れる中で消費者の関心を引くには、真のエンゲージメントを理解することが重要です。広告成功の鍵を探るために、1,010人の消費者を対象に「どこで広告を目にしているか」「広告によってどれくらいの支出があるのか」「どのプラットフォームが広告過剰と感じるか」を調査しました。この記事では、その結果から見えてきた現代の広告のトレンドについて解説します。
プラットフォーム別の広告効果
消費者の心をつかみ、購買意欲を引き出す要因は常に変化しています。最近、どのプラットフォームが世界の消費者に効果的だったのか見てみましょう。
多くの消費者(78%)が広告を見て商品を購入しており、特に購入を促された広告を見たプラットフォームは、エンゲージメントの高い順に以下のとおりです。
- YouTube
- TikTok
- Amazon
- テレビ
Instagramユーザーは、広告をきっかけに平均86ドルを消費しています。ただし、エンゲージメントが高いプラットフォームほど消費額が高いわけではありません。
YouTubeは消費者の支出を促す点では3位でしたが、平均支出額はInstagramと同じ86ドルで、動画コンテンツの広告効果が大きいことを示しています。また、Amazonは支出促進では6位でしたが、広告を見た後の消費額では80ドルで3位にランクインしました。
消費者の広告による平均支出を地域ごとに見ると、メキシコ(82ドル)と南アフリカ(79ドル)は、ドイツ(61ドル)、オーストラリア(59ドル)、アメリカ(58ドル)、イギリス(41ドル)に比べてかなり高くなっています。
プラットフォームの好みに関しても国ごとの違いが明確に表れました。メキシコでは64%、ドイツでは50%の消費者がInstagramの広告に最も反応しており、Instagramが優勢です。一方で、オーストラリアとイギリスでは34%がFacebookを好み、南アフリカ(61%)とアメリカ(31%)ではYouTubeが人気を集めています。
世界的に見ても、Instagramの広告に反応する消費者が最も多いことが判明しました。6カ国で行った調査では、1,000人以上のうち38%がInstagramの広告を見て興味を示しており、次いでYouTube(32%)、Facebook(31%)が続いています。
では、なぜこれらのプラットフォームの広告にユーザーは反応するのでしょうか?回答者の意見によると、「独創性」「質の高い制作」「共感性」が主な理由として挙げられています。特にZ世代では制作の質を重視する人が多く(53%)、一方でベビーブーマー世代ではその割合が25%と低くなっています。
Instagramの動画広告が短いことも、注目を集める理由のひとつかもしれません。ショート動画コンテンツは制作がかんたんで、様々なスキルやリソースを持つマーケターが手軽に活用できるため、急速に普及しています。その結果、消費者の注目を集めるようになり、世界の3分の1以上がTikTokやInstagramリールのようなショート動画プラットフォームの広告に注目していると答えており、特にZ世代ではその割合が48%に達しています。
効果的な広告の種類
次に、消費者が特に引きつけられるマーケティング手法を詳しく見ていきます。ポイントは、信頼感を与えることです。
「信頼できる、または魅力的なコンテンツを作るのは誰か」という質問に対し、81%の回答者がインフルエンサーの紹介よりもユーザー発信のコンテンツを選びました。これは、消費者が多くのインフルエンサーが商品紹介で報酬を受け取っていることを知っており、より信頼性の高い広告を求める傾向があることを示しています。
しかし、Z世代では26%がインフルエンサーを信頼しており、他の世代に比べて影響を受けやすいことがわかりました。これは、ベビーブーマー世代やX世代の8%という数字と対照的です。
それでも、全体の回答者の36%が、ユーザー発信のコンテンツを最も効果的な広告だと感じており、ショート動画も同様に効果的だと評価されています。特にZ世代ではその傾向が強く(49%)、若年層のメディア消費習慣の変化が見受けられます。一方で、ベビーブーマー世代やX世代の約半数が依然として伝統的なテレビCMを最も魅力的な広告と考えていますが、ミレニアル世代では28%、Z世代では26%にとどまっています。
また、スポンサー付きコンテンツは一部の地域(特にドイツやメキシコ)で人気があります。このタイプのマーケティングは、ブランドとスポンサーの信頼関係を示すことで、消費者の関心を引き、信頼性を高める効果があります。例えば、ブロガーが読者の興味に合った商品を紹介する投稿を書くと、読者はその紹介を信頼しやすくなります。
一方で、特定の層では動画コンテンツ、特にストリーミングTV広告が好まれる傾向があります。アメリカの消費者の多くは、ストリーミングサービスで配信される「OTT広告」と呼ばれる動画が最も効果的だと感じています。
広告の種類にかかわらず、インフルエンサーは消費者行動に大きな影響を与えています。世界中で半数近くの消費者がインフルエンサーの紹介に影響を受けており、特にZ世代では60%がその影響で購入に至った経験があります。SNSはZ世代とつながる上で重要で、インフルエンサーがSNSでの購買行動を大きく促進しています。この傾向は南アフリカで最も顕著で、63%がインフルエンサーの影響で購入していますが、イギリスでは34%にとどまり、慎重な姿勢が見られます。
広告の過剰配信に対する警鐘
効果的な広告とユーザー満足度のバランスは難しく、広告が多すぎるとユーザーがプラットフォームを離れてしまうことがあります。調査によって、その理由と影響が明らかになりました。
世界の消費者の約半数が、広告が多すぎるためにプラットフォームを離れた経験があると答えています。特にYouTubeでは21%のユーザーが広告の過剰さを理由に利用をやめており、メキシコではその割合が29%とさらに高くなっています。また、Facebookでも18%のユーザーが同様の理由で離脱しており、イギリスでは4人に1人がそのような経験を報告しています。
広告の過剰な掲載に対する不満は、世代を問わず広がっており、TikTokを多く利用するZ世代でも、6人に1人が広告が多すぎることを理由にお気に入りのSNSを離れています。また、Z世代は過剰な広告を理由にモバイルアプリを削除した割合が最も高く、79%がその経験を持っており、他の世代の72%を上回っています。
世界中の消費者の80%が広告が閲覧を妨げると感じており、特にメキシコ(87%)やZ世代(84%)でその傾向が強いです。また、無作為な広告とターゲティング広告に対するユーザー満足度の違いについても、議論が続いています。
消費者が自分に本当に必要な商品やサービスの広告を見たとき、それはマーケティング側だけでなく、消費者にとっても有益である場合があります。これに対し、無作為な広告はターゲティング広告よりも不快だと感じる人が多く(41%対15%)、特にメキシコでは半数以上の消費者がそのように感じています。
広告におけるイノベーション
デジタル広告で成功するためには、質と量のバランスが重要です。調査によると、ショート動画形式のユーザー生成コンテンツが世界中の視聴者に効果的であることが明らかになりました。広告主は、広告を過剰に配信することを避け、視聴者に響く戦略を見直すことが求められます。広告戦略における成功の鍵は、信頼性、オリジナリティー、そして多様な視聴者の期待に応えることにあります。
調査方法
広告の世界的なトレンドや視聴者の好みを把握するために、様々な国の1,010名を対象に調査を実施しました。参加者の30%はアメリカからの回答者で、オーストラリア、ドイツ、メキシコ、南アフリカ、イギリスからの回答者はそれぞれ14%を占めています。世代別では、Z世代が30%、ミレニアル世代が48%、X世代が17%、ベビーブーマー世代が6%となっています。
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